シスコ、Wi-Fi 7対応のアクセスポイント提供へ–Catalyst/Merakiを統合
今回は「シスコ、Wi-Fi 7対応のアクセスポイント提供へ–Catalyst/Merakiを統合」についてご紹介します。
関連ワード (ネットワーク等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
シスコシステムズは11月21日、最新のワイヤレス規格に準拠した「Cisco Wireless Wi-Fi 7アクセスポイント」を発表した。従来はCisco Catalyst/Meraki系列の製品があったが、今回両者の統合が完了し、同一のハードウェア/品番の製品に対し、ユーザーが運用管理体系(ライセンス)をオンプレミス型(Catalystの手法)かクラウド型(Merakiの手法)を選択できる形になった。
Wi-Fi 7アクセスポイントについて説明したシスコシステムズ 執行役員 ネットワーキング事業担当の高橋敦氏は「単なるアップグレードではなく、ワイヤレスネットワークの可能性を根本から再考したもの」と紹介した。既に受注を開始しており、12月の出荷を予定している。
CatalystとMerakiの統合に加え、今回からは国/地域別の製品展開も排除し、「世界中どこでも機能する単一の製品モデル」として出荷される。従来は利用可能な周波数帯や電波関連の法規制などの差異があることから、国や地域に応じて個別の仕様・認証を取得して発売するのが一般的だったが、近年はハードウェアは共通化しておき、ソフトウェアによって国/地域別の適合を取るという手法が実現可能になってきたことを受けての取り組みだろう。
今回発表となったのは、「CW9176I」「CW9178I」および「CW9176D1」の2モデル3機種。CW9176IとCW9178Iはスペックの違いで、9178Iが上位機種という位置付け。CW9176D1は志向性アンテナ搭載モデルという位置付けで、スペック的にはCW9176Iと同等となる。運用管理ライセンスについては「ニーズに応じてネットワーク管理のアプローチを自由に選択し、進化させられるライセンスモデルになっており、管理形態に合わせて全てのアクセスポイントをシームレスに切り替えることが可能」だという。アシュアランスに関して、高橋氏は「Cisco ThousandEyesと連携し、エンドツーエンドのデジタル体験の保証を実現できるようにデザインされている」とした。
エクスペリエンスアシュアランスという観点から、米Cisco Systemsでバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー Cisco ThousandEyes事業担当を務めるJoe Vaccaro(ジョー・バッカーロ)氏が同ソリューションについて紹介した。同氏はThousandEyesの役割を端的に「インターネットにおける『Google Map』の提供」とした上で、「ユーザーが自分で管理しているかどうかに関係なく、ネットワーク上の経路を明確に把握し、理解できるようにする」とした。
Vaccaro氏はWi-Fi 7時代におけるThousandEyesの役割として、エンドユーザーの体験を悪化させるような何らかの障害が発生した際に、原因がユーザーの端末なのか無線LAN部分なのか、インターネットなのかアプリケーションなのか、素早く診断できるようにすることだと説明した。今回打ち出しているエスクペリエンスアシュアランスに関しては「より良い接続体験を提供すると約束できるようにする」ことだと語った。
現在はThosandEyesとMerakiダッシュボードの統合が進行しており、ユーザーはMerakiダッシュボード上でThousandEyesがもたらす情報を確認し、問題の所在を視覚的に把握できるという。AI技術の活用により、問題箇所の特定や対応策の推奨なども実現している。
Vaccaro氏は、Cisco SystemsによるSplunkの買収について触れ、「Splunkと併用し、同社がもたらすアプリケーション体験に関する情報とThousandEyesのネットワークインテリジェンスを組み合わせることで、ITサービス全体に渡るデジタル体験を包括的に俯瞰できる」としている。
2024年3月に買収されたSplunkもオブザーバビリティに注力する姿勢を示しており、ThousandEyesから得られる情報も含めて包括的なオブザーバビリティを実現するとしていることから、改めてVaccaro氏にSplunkとの機能の重複はないのか/どのようにすみ分けていくのかを追加で尋ねたところ、同氏は「機能の重複はない」との認識を示した。
Vaccaro氏は「ThousandEyesとSplunkは、デジタルレジリエンスという同じような問題に対する解決策といえるが、機能的な重複はない。デジタルレジリエンスを実現するには3つの主要な要素が必要だ。(1)広範なオブザーバビリティ、(2)アプリケーションやネットワーク、インフラなどからさまざまな形式の大量のデータを取得して理解する能力、(3)ネットワーク内部に存在する脅威や外部からの攻撃/侵害を理解して環境を安全に維持する能力――この3つがデジタル体験の保証のために必要になる。ThousandEyesはネットワークレイヤーにおける接続性の領域にフォーカスしており、問題を検出して局所化し、解決することに注力している。そして、ThousandEyesが実現するインテリジェンスはSplunkともシームレスに統合され、ユーザーのデジタル環境全体に対する理解をさらに深められる」と説明した。
「Splunkが提供するアプリケーションからインフラに至る広範なオブザーバリティにThousandEyesのコアネットワークに関する深い洞察を加えることで、オブザーバビリティを拡張し深められるため、これは重複ではない。加えるなら、全世界で多数のユーザー企業がThousandEyesとSplunkを組み合わせて活用しており、クリティカルアプリケーション/ネットワークの両方に対してユーザー体験(UX)の保証を可能としている。こうしたユーザーは、ThousandEyesがもたらすインテリジェンスを追加のデータセットと共にSplunkに統合し、ビジネスサービスやアプリケーションの健全性の把握に活用している」(Vaccaro氏)