「Windows 10」は実際どれくらい稼働しているか?–統計データでは実態をつかみきれず
今回は「「Windows 10」は実際どれくらい稼働しているか?–統計データでは実態をつかみきれず」についてご紹介します。
関連ワード (オフトピック等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
毎月1日ごろになると、テクノロジー専門サイトが一斉に「Statcounter Global Stats」の図表を基に、ほぼ同じ内容の記事を作成する。
今週はこうしたチャートを頻繁に目にすることになるだろう。多くの記事には、筆者がそのデータの意味をどう捉えているかを説明するとともに、時には業界アナリストの意見が引用されることもある。
2月は、「Windows 10」(上部の紫色の線)の人気が低下し、「Windows 11」(中央の青色の線)の人気が上昇している理由について、多くの人がその説明を試みるだろう。
今朝(米国時間2月3日)早くに「Google News」をチェックしたところ、既にこれらの記事が掲載されていた。
筆者が特に気に入ったのはForbesの記事で、次のような大胆な主張をしている。「1月の統計が発表され、Statcounterによると、Windows 11のアップグレードのトレンドが逆転し、過去31日間で約4000万人が急にPCをアップグレードした」
これらの記事に対しては、「なぜこうなったのか?」という疑問が湧くのは当然だが、それよりも「これは本当に起こったのか?」や「確かなのか?」「このデータは意味をなさないのではないか?」と捉える方がいいかもしれない。
というのも、Statcounterの「市場シェア」レポートは、技術系ブロガーが毎月記事を書くための良い口実となるが、実際の世界とはほとんど関係がなく、月ごとのスパイクのほとんどは単なる統計的ノイズに過ぎない、という現実があるからだ。
Statcounterのサイトからダウンロードしたデータを使って作成した別のチャートで、筆者が言いたいことを見せよう。このグラフでは、2022年1月から2025年1月までのデータを含むようにパラメーターを変更し、米国だけを対象とした。そのデータを「Excel」に差し込み、彼らが公表しているような折れ線グラフを作成したが、2つの変更を加えた。まず、Windows 10とWindows 11のデータポイントに3次多項式トレンドラインを追加し、これらの月次数値の一般的な方向性を示した。そして、誤差を示すためにトレンドラインの両側に影をつけた。
全く違う話に見えてこないだろうか。
Statcounterのウェブ解析サービスを利用しているサイトでは、Windows 10を実行しているPCからのページビューが着実に減少し、Windows 11を実行しているPCからのページビューが着実に増加している。そして、これらの傾向は、データに多少の変動があっても、長期にわたって一貫している。
この説明では「市場シェア」について触れていないことに気づくだろう。Statcounterのデータはページビューをカウントしており、訪問数やセッション数、個々のデバイスをカウントしているわけではない。
そして間違いなく、これらの毎月の変動は本当に単なるノイズである。2024年1月からの「Windows 8.x」(下部の明るい青色の線)を見てほしい。1000万人や2000万人が元旦に古いWindows 8デバイスを起動して数週間使用した後、全て押入れに戻したと本気で思っているのだろうか。それはあり得ない。
その他の月次スパイクも、どれも意味をなさない。2024年12月に何百万人もの人々がWindows 11をアンインストールし、その1カ月後に気が変わったとは考えにくい。もちろんそんなことはない。データが混乱しているだけだ。
ここではっきりさせておきたい。筆者は、Statcounterの人々が宣伝効果を上げるために、こうした機会を利用したことを責めるつもりはない。しかし、その背後にある基礎データを疑うことなくStatcounterのグラフに依存している全てのジャーナリストやアナリストと真剣に話し合いたい。