マイクロソフトのナデラCEOはAIについて何を語ったか

今回は「マイクロソフトのナデラCEOはAIについて何を語ったか」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、Microsoft 会長 兼 CEOのSatya Nadella氏と、Datadog Japan プレジデント&カントリーゼネラルマネージャー 日本法人社長の正井拓己氏の「明言」を紹介する。

 Microsoft 会長 兼 最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、同社の日本法人である日本マイクロソフトが先頃、東京・有明の東京ビッグサイトで開催した「Microsoft AI Tour 2025」の基調講演で、上記のように述べた。「エージェンティックな世界をつくろう」といった表現に、同氏のAIエージェント普及への姿勢を感じたので、明言として取り上げた。

 Nadella氏がスピーチを行った基調講演の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは冒頭の明言をはじめ、同氏が生成AIおよびAIエージェントについて語った内容から筆者が印象に残った発言を取り上げたい。

 Nadella氏はエージェンティックな世界について、「個人や組織、チーム、業務プロセスなど至る所でこれからAIエージェントが普及し、さまざまなやりとりが行われるようになる」と述べた上で、「当社のミッションは『地球上のあらゆる個人とあらゆる組織がより多くのことを達成できるようにする』ことだ。新たなテクノロジーの力によってミッションの達成に向けて、まい進していきたい」と力を込めた(図1)。

 また、同氏は「AIは、個人においては検索や情報の取得、ゲームなどの娯楽、買い物など、また企業や組織においては顧客へのサービスや従業員に対してなど、さまざまなやりとりにおけるエクスペリエンスを変革させる。そのインパクトはすさまじいものがある」とも語った。

 もう1つ、筆者が印象に残った発言を紹介する。Nadella氏は同社のAIエージェントの基になる生成AI「Copilot」について、「CopilotはAIのためのユーザーインターフェース(UI)だ」と表現した。その上で、「当社はこのCopilotを既存のアプリケーションやブラウザー、さらにはOSにも組み込み、皆さんに日常生活の中で容易に利用していただけるようにする。そうやってこれからさまざまなところに登場するAIエージェントも、Copilotベースでのやりとりで使いこなしていっていただきたいと考えている。そのため、当社では個人向けのCopilot、企業や組織向けのCopilotをそれぞれ提供し、皆さんの日々の生活や仕事に寄り添う存在となっていきたい」との思いを語った。

 その意味で、同社が提供するサービスで大きなインパクトがあるのは、多くのユーザーが利用する「Microsoft 365 Copilot」だ。このほど、「Researcher」と「Analyst」といったAIエージェントの追加も発表した。こうしてみると、Copilotは着々と進化し、増幅しているようだ。

 Nadella氏の話を聞いて筆者が改めて感じたのは、「CopilotのWindows化」だ。この点については前回(1年前)のこのイベントでも話題に上っていたので「改めて」と表現した。正確には「UIにおけるWindowsからCopilotへの進化」だろう。

 Microsoftにはこれまで、経営トップの交代や、ソフトウェアパッケージからクラウドサービスへの移行など、転機となる象徴的な動きが幾度かあったが、今回の進化はユーザーに与えるインパクトという意味で、ひょっとしたら最も大きな転機になるのではないか。筆者はそう感じている。

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