コスト削減で生まれた資金を成長投資へ–リミニストリート ラビンCEOが示す新たな立ち位置
今回は「コスト削減で生まれた資金を成長投資へ–リミニストリート ラビンCEOが示す新たな立ち位置」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
長年、第三者保守サービスを軸に企業のITコスト削減を支援してきたRimini Street。近年は、単なるコスト削減にとどまらず、削減で生まれた資金を将来の成長投資へと導く役割を強化している。最高経営責任者(CEO) 兼 取締役会会長のSeth Ravin氏に、同社の新たな展開について話を聞いた。
–Rimini Streetの最近の動向について教えてほしい。
Rimini Streetは創業以来、企業のITコスト削減を支援することに注力してきた。近年では、単にコストを削減するだけでなく、その削減によって生まれた資金を、お客さまが将来の成長のためにどのように投資すべきかというコンサルテーションにも力を入れている。当初、コスト削減後の資金活用はお客さま自身が行うものと考えていたが、実際には「Rimini Streetを信頼しているから、最適な投資先を提案してほしい」というご要望を多くいただくようになり、ビジネスの在り方が大きく変化した。
現在、われわれはコスト削減を提供するだけでなく、日本そして世界における真のイノベーションを推進する企業へと進化を遂げている。そのための独自の手法が「Rimini Smart Path」になる。
–Rimini Smart Pathとは、具体的にどのようなものか。
Rimini Smart Pathは、企業の変革を3つの段階で支援するプロセスだ。第1段階では、お客さまが本来価値を生み出さない高額なソフトウェアのアップグレードや移行といった支出を抑制する。多くの企業が数百~数千ものソフトウェア製品を抱える現代において、各ベンダーが最新バージョンへの移行や新機能の導入を推奨する中、最高情報責任者(CIO)は全てに対応することが困難な状況にある。われわれは、お客さまのIT予算と現状のシステムを詳細に分析し、無駄なコストを削減するための具体的なアドバイスを提供する。
第2段階は「最適化」になる。ここでは、既存のシステムをさらに効率化し、パフォーマンスを向上させることで、運用コストの削減と業務効率の改善を図る。システムの合理化や改善を通じて、お客さまはより多くの資金、人材、時間を確保できるようになる。
そして第3段階が「変革」になる。ここでは、第1、2段階で創出したリソースを、AIの導入や高度な自動化といった真のイノベーションに投資することを支援する。特に、AIが人の業務を代替することには、大きな可能性がある。
Rimini Smart Pathの最大の特徴は、これらの変革プロセス全体を、お客さまが既に持っているIT予算の中で実現できるという点だ。コスト削減によって生まれた資金を再投資するため、追加の予算を必要としない。
–日本市場ではどういった顧客の課題やニーズがあるのか。
日本の企業は、世界的に見ても非常に先進的な技術に関心を持っているが、一方で、その導入や活用には慎重な姿勢が見られる。特に、既存のビジネス文化や意思決定プロセスが保守的であるため、グローバルな技術革新のスピードに追いつくことに課題を感じている企業が多いようだ。多くのCIOが、「新しいテクノロジーを導入したいが、現状の予算や知識ではどうすればいいか分からない」という悩みを抱えている。
また、多くのシステムインテグレーター(SIer)やソフトウェアベンダーが、最新のシステムへの移行や大規模なアップグレードを提案するが、それが必ずしもお客さまのビジネス価値向上に直結するとは限らない。われわれは、お客さまの真のニーズに寄り添い、既存の資産を最大限に活用しながら、段階的にイノベーションを実現する道筋を示すことが重要だと考えている。
–ServiceNowとの連携について進行状況は?
ServiceNowは、Smart Pathの重要なパートナーになる。ServiceNowの最新機能と当社のERPサポートの経験を組み合わせることで、お客さまにより包括的なソリューションを提供できるようになった。
ServiceNowのエンタープライズAIは、個々のシステムに閉じたAIではなく、企業全体のデータを統合し、横断的な視点からビジネスプロセスを最適化することを可能にする。これにより、Workday、SAP、Oracle、Salesforceといった異なるシステム間でのワークフローの自動化や、AIを活用した高度なタスク実行が可能になる。
従来のERPベンダーは、最新製品への移行を前提にAI活用を提案するが、われわれのソリューションは既存のシステムをそのまま活用できるため、お客さまは高額な移行コストやリスクを負うことなく、最新のAI技術の恩恵を受けることができる。これは、SAPをはじめとする既存のベンダーにとって、大きな変革を促すものと考えている。
–日本市場におけるビジネス状況と今後の展望を示してほしい。
日本市場は、Rimini Streetにとって非常に重要な市場であり、過去11年間で400社以上のお客さまにご利用いただいている。その多くが日本の大手企業だ。当初は、米国に進出している日本企業の現地法人を中心にサービスを提供していたが、現在では、ほぼ全ての産業のお客さまにサービスを提供している。
今後も、日本市場への投資を積極的に継続していく方針だ。日本には、われわれのサービスを必要としている多くの企業が存在しており、将来的には政府機関への支援も視野に入れている。現在、日本国内の事業拠点には70〜80人の従業員がおり、今後も人員を増強していく予定だ。
また、お客さま同士が業界や企業の垣根を越えて、イノベーションに関する知見や課題を共有するイベント「Street Smart」を、東京と大阪で年2回開催している。このイベントは、単なる情報交換の場ではなく、トップエグゼクティブが集い、未来を切り拓く知見を共有する場所となっている。