マイクロソフトが発表した分析プラットフォーム「Fabric」とは

今回は「マイクロソフトが発表した分析プラットフォーム「Fabric」とは」についてご紹介します。

関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Microsoftは米国時間5月23日、新製品として、統一アナリティクスプラットフォーム「Fabric」を発表した。その背景には、データ分析を行うプロジェクトの規模が拡大していることや、顧客がクラウド支出の削減を求めていることがある。同社は、Fabricについて、「企業が必要としているデータやアナリティクス関連のあらゆるツールを統合した、統一アナリティクスプラットフォーム」だと説明している。

 この発表は、同社が5月23日から3日間にわたって開催した開発者向けカンファレンス「Microsoft Build 2023」で行われた。

 Fabricのワークロードは同社の複数のアプリケーションを組み合わせたもので、主力アナリティクスアプリケーション「PowerBI」、複数のデータストアをまたいで大規模なアナリティクスを行うためのツール「Azure Synapse Analytics」、OpenAIと共同開発した生成AIサービス「Azure OpenAI Service」が含まれている。Fabricは、統合されたコンピュートとストレージを基盤としてこれらのアプリケーションをまとめている。

 Microsoftは、「顧客は、1つのコンピュートプールを購入すれば、それをすべてのFabricワークロードで使用できる」と述べている。「コンピュートキャパシティを1つにまとめれば、あるワークロードで使われなかったキャパシティをほかのワークロードで利用できるため、経費の大幅な削減につながる」と述べている。

 それを支えるのが、「OneLake」と呼ばれる新しいデータレイクだ。OneLakeは、Microsoftのアプリケ―ションをまたいだデータアップロード先として使われている「OneDrive」のデータレイク版だと考えればいい。

 OneLakeを使うメリットは、どのクラウドコンピューティング環境でワークロードを実行しているかに関わらず、同じストレージプールを利用できることだという。

 「OneLakeが持っている重要な機能の1つが『ショートカット』だ。OneLakeは、不必要に情報を移動させたり複製したりすることなく、ユーザーやアプリケーションが簡単にデータを共有できるようにする。ショートカットを使えば、OneLakeで『Azure Data Lake Storage Gen2』、『Amazon S3』、『Google Cloud Storage』のデータレイクストレージを仮想化できるため、開発者がクラウドをまたいでデータを構成・分析できるようになる」と同社は述べている。

 これによって、それぞれのクラウド環境に「データサイロ」ができてしまうのを防げるとMicrosoftは言う。

 同社最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏は、ウォール街のアナリストに対して、顧客はクラウド利用を「最適化」しようとしている(つまり、経済の不確実性に対処するために月々の経費を削っている)と述べたことがある。同製品がコンピュートキャパシティやストレージの経費を抑えようとするものであるのは、明らかにこうした状況を意識したものだ。

 同社は4月24日に、インテリジェントクラウドビジネス製品の成長は鈍化したものの、同社の予想を上回ったと述べている。Nadella氏は、ウォール街のアナリストが参加する電話会議で、「私たちは従業員に対して、顧客の最適化を支援するよう動機付けている。長期的に見れば、それが顧客のロイヤルティや長期契約を維持することにつながると考えているためだ。顧客は、ワークロードの継続的な最適化を支援してくれるMicrosoftのようなクラウドプロバイダーは信頼できると知っている」と発言している。

 同時にFabricが、新たなスタイルのデータベースやアナリティクスを提供するベンダーへの対抗策であることは明らかだ。Microsoftがさまざまなビジネスツールを作るための基盤にしてきた従来のリレーショナルデータベースと競合状態にあるSnowflakeやDatabricksは、複数のクラウドコンピューティングサービスを横断的に扱えるデータレイクとデータウェアハウスをベースとして、数十億ドル規模のビジネスを生み出した。

 これは、Microsoftのようなベンダーにとって、こうしたサービスが従来のリレーショナルデータベースやツールよりも大きな存在になる可能性があることを意味している。

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