企業におけるマルチクラウド活用の進展と阻害要因
今回は「企業におけるマルチクラウド活用の進展と阻害要因」についてご紹介します。
関連ワード (クラウド、調査で読み解くマルチクラウド化の現状と課題等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
現在、世界のさまざまな業界、規模の企業がマルチクラウドの利用を進めています。本連載は、HashiCorpが実施した調査を結果まとめた、「クラウド戦略実態レポート(State of Cloud Strategy Survey)」から、企業のクラウド活用状況や今後の利用方針、課題点、クラウドの成功に関連する主要なテクノロジーなど、さまざまな洞察を解説していきます。第2回は、マルチクラウド活用の進展と阻害要因について取り上げます。
米国国防総省が、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureによって激しく争われていた100億ドルの「Joint Enterprise Defense Infrastructure(JEDI)」契約をキャンセルし、両社が一部を取得する可能性が高く、新しいマルチクラウド環境を推進していくと発表し、話題になりました。
日本でも政府が、「クラウド・バイ・デフォルト原則」を発表しています。これは政府機関が情報システムを構築する際に、まずクラウドから検討するというものです。また、クラウドサービスを検討する際の指針として「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」を策定しています。
このような政府の方針を企業が参考にしていきます。しかし、マルチクラウドについては、異なる様子が調査によって明らかになりました。調査結果では、企業の76%が既にマルチクラウドのアーキテクチャー(複数のクラウド、パブリックまたはプライベート)を採用しており、回答者の10人に9人が今後2年間でマルチクラウドを採用すると回答しています。
多くの企業が積極的にマルチクラウドを推進している要因は何でしょう。調査から幾つかのことが明らかになっています。その1は、単一のクラウドベンダーロックインを回避することでした(回答者の30%)。しかし、これは保守的な動きのようであり、クラウドインフラでサポートしようとしているアプリケーションに最適なものを考慮していません。
HashiCorpの共同創設者兼最高技術責任者(CTO)であるArmon Dadgarは、マルチクラウドを選択する理由が、そのユースケースと同様に、いかに幅広く多様であるか語っています。例えば、企業が求めるIT環境のポータビリティー(可搬性)では、データからワークロード、トラフィック、ワークフロー全体に至るまで、さまざまなタイプのポータビリティーを考慮する必要があります。
しかし調査結果では、マルチクラウドを推進する最大の理由は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」(34%)で、それ以外は分かれました。いわゆる「守りの投資」(コスト削減:28%、運用効率化:19%)もありますが、多くは改善や加速といった「攻めの投資」に意欲を示しています。
回答者は、スケーリングを可能にし(25%)、新しいテクノロジーを使用し(19%)、ビジネスに価値を提供する(19%)方法を探していることが分かります。最も分かりやすいのは、「選択の余地がなかった」の回答が5%と、非常に少なかったことでしょう。