レッドハット社長が掲げた「ハイブリッドクラウドの25」とは何か
今回は「レッドハット社長が掲げた「ハイブリッドクラウドの25」とは何か」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、レッドハット 代表取締役社長の岡玄樹氏と、ZVC JAPAN 代表取締役会長 兼 社長の下垣典弘氏の発言を紹介する。
米Red Hatの日本法人レッドハットは先頃、2023年度(2023年12月期)の事業戦略について記者説明会を都内で開いた。岡氏の冒頭の発言はその会見で、「25」という数字を大きく掲げて同社の成長と深く関係していることを述べたものである。
会見の内容については速報記事をご覧いただくとして、ここでは冒頭の発言に注目したい。
岡氏は25という数字の意味について、次のように説明した。
「クラウド時代が到来し、とりわけパブリッククラウドサービスの利用が広がったように感じるが、実際のところ世界のITアセット全体のうち現時点でパブリッククラウドへ移行したのは25%に満たないという調査結果がある。一方、(パブリッククラウドとオンプレミスを連携させて効率よく利用する)ハイブリッドクラウドの市場成長率は前年対比で25%程度とみられている。この『2つの25』が意味するのは、当社のこれからの成長余力がいかにあるかということだ」
これが、同氏が言うところの「ハイブリッドクラウドの25」だ(図1)。
実は、上記の話に先立って、同氏は次のように述べた。
「Red Hatは2023年で創業30周年を迎えた。日本への市場参入も(1999年と)早かったので、IT分野では老舗企業とも見られているが、そうした中でも当社の差別化要因がブレることはなかった。それはオープンソースの会社であるということだ。オープンソースの理念や考え方、そしてオープンソースソフトウェアをいかにして世の中に浸透させ、お客さまに貢献していくか。それをミッションに掲げてこれまで尽力してきた」
上記の発言は、会見の冒頭だったこともあって、他の記事ではあまり取り上げられていないようだが、筆者はこの内容に岡氏の並々ならぬ決意を感じた。その理由が分かる話が、この後に続いた。
「2022年はわれわれにとって非常に大きな変化の年だった。長年にわたってRed Hatの経営トップを担い、主力製品のRed Hat Enterprise Linux(RHEL)の企業向けサブスクリプションモデルをビジネスとして確立させたPaul Cormier(ポール・コーミア)から、全製品の統括責任者を務めていたMatt Hicks(マット・ヒックス)へCEO(最高経営責任者)が交代した。だが、トップが代わってもわれわれのビジネスに対する姿勢は変わらない。新しいCEOのHicksも『われわれはオープンハイブリッドクラウドの実現でお客さまのビジネス変革を支援する』とのメッセージを発信している」
こうした背景もあって、「コアビジネスの拡大」「サブスクリプションとクラウドサービスの両立」「エッジビジネスの基盤を構築」の3つからなるレッドハットの2023年度の事業戦略が定まった。30周年の節目を迎えて経営刷新を図ったRed Hat。その日本法人をリードする岡氏も心機一転という思いなのだろう。そうした緊張感が伝わってきた会見だった。
ただ、「2つの25」が今後、同社にとってネガティブな方向に変化する可能性もある。そうしたリスクも踏まえて、岡氏の経営手腕に注目していきたい。