ナイスジャパン、大阪にサービス基盤を構築–顧客体験向上にAIを推進
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ナイスジャパンは3月7日、メディア向けの事業戦略説明会を開催した。新たに大阪でサービス基盤を構築したことによるサービスの可用性向上と、コンタクトセンター業務におけるAI活用を通じた顧客体験(CX)向上策の取り組みなどを説明した。
説明会の冒頭で社長のOlivier Georlette氏は、直近のビジネス状況を紹介した。グローバルでは、コンタクトセンターへの導入が100万席を突破する規模に成長しており、国内でもソニーやトヨタファイナンスなどの大手をはじめとして、1000席規模のコンタクトセンターを運用する企業への導入が増えているとする。
日本法人の体制では、2023年までに営業やプリセールスなど20人近い増員を図っており、65人規模に人材リソースを拡充。2024年もサービスのリソースを倍増させる計画という。パートナー面では、2023年7月に名古屋市に本社を置くトラムシステム、2024年1月にはNTTコミュニケーションズと協業を開始しており、12社のパートナーを通じた中小から大手までの顧客に対応する体制を一層強化した。
Georlette氏は、戦略の柱と位置付ける「デジタル」「クラウド」「アナリティクス」「AI/自動化」への投資を継続しており、クラウドCX基盤の「NICE CXone」を中心とするソリューションが導入企業におけるCXの高度化に寄与していると強調。顧客へのサービス提供のさらなる安定化に向けた基盤の増強、AIを活用したコンタクトセンター向けアプリケーションの展開が2024年の事業戦略の柱になると示した。
続いて登壇したソリューションコンサルタントディレクターの山崎彰一氏、セールスディレクターの島田宏巌氏が2024年の事業戦略の細部を説明した。
山崎氏によると、ナイスジャパンでは、2022年からまず東京でNICE CXoneの基盤構築を進め、音声系サービスから提供を開始した。Amazon Web Services(AWS)の大阪リージョンを活用して進めていた新しい基盤の構築も完了し、2024年3月に本番稼働を開始させた。これによって東京と大阪による同社のサービス基盤が冗長化され、万一の災害などによって一方の基盤の稼働が困難になってもサービスを安定して継続できる可用性が向上した。
山崎氏は、「顧客からも事業継続計画(BCP)の強化を要請されてきたことから、この取り組みで音声系とアプリケーションのBCP構成が実現している。東京と大阪は、アクティブ-アクティブ構成で稼働しており、広域障害が発生しても、もう一方でサービスを維持できる。24時間のネットワーク運用センター(NOC)による監視を行っており、広域障害時でも迅速な復旧を行うことができる」と述べる。
コンタクトセンター向けアプリケーションでのAI活用は、リアルタイムなテキスト化・要約、翻訳、生成AIによるオペレーター業務支援機能を導入する。テキスト化は、話者を切り分けて通話をリアルタイムに文字に起こし、その内容もAIでリアルタイムに要約、要約の結果をCRMシステムへ自動連携できる。
リアルタイムAI翻訳機能は、特に国外からのインバンドコール時におけるオペレーターのコミュニケーションを支援する。現時点では65言語に対応しており、各言語の話者の音声を認識してAIで日本語に翻訳し、オペレーターに提示する。オペレーターの日本語による応答内容も発信者の言語にリアルタイムに翻訳する。
オペレーター業務の支援では、生成AIと同社独自のアルゴリズムを活用し、オペレーターが生成AIのチャットウインドウに問いかけるなどし、会話内容のテキスト化、要約作成、感情表示、よくある質問と回答の検索・提示を行う。
島田氏は、「日本市場を米国や英国と並ぶ投資対象の強化国に位置付けている。日本固有の要件や品質に対応することはもちろん、製品の日本語化も迅速に行っており、日本の体制強化を通じた日本のお客さまへの対応の向上も引き続き図っていく」と表明した。