テレワーク向けPCは本当に十分な機能を備えているか? 日本HP「Dragonfly G2」の実力を試す

今回は「テレワーク向けPCは本当に十分な機能を備えているか? 日本HP「Dragonfly G2」の実力を試す」についてご紹介します。

関連ワード (出荷台数、生体認証、通信規格等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、It Media News様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 2020年は丸ごと新型コロナウイルス感染症の年になってしまった。感染拡大を防ぐため政府は企業などに出勤者を7割減らすよう要請し、世間ではテレワークが一気に浸透。オフィスで働くのが当然だった状況は一変し、今では自宅作業をメインに必要なときだけPCを持って出社する仕事スタイルの人も多いだろう。

 そこで必要なのがノートPCだ。これまでオフィスでのみ働いていた人はPCを持ち運ばなくてもよかったが、家とオフィスを移動するなら携帯性が必須になる。ノートPCは営業職の人のように社外を歩き回る人だけでなく、誰にでも必要なものになりつつある。

 日本のPC業界ではもともとノートPCの需要が高く、かなり前からノートPCの出荷台数がPC全体の出荷台数の過半数を占めていた。その割合は年々増加し、調査会社のMM総研によると、20年には国内PC総出荷台数の約7割をノートPCが占めるようになった。かなりのノートPCがテレワークのために購入されたと推測できる。

 では、テレワークをするうえでPCに求められる機能はどんなものだろうか。気軽に持ち運べる軽さ、仕事が快適にできる処理速度、外に持ち出しても安心なセキュリティ機能など、さまざまな観点が考えられる。

 今回、筆者は日本HPが21年2月に発売したノートPC「HP Elite Dragonfly G2」(以下、Dragonfly G2)を試用する機会を得た。「全ての場所がオフィスに変わる」という触れ込みのこのPCは本当にテレワークに適したモデルなのか、早速レビューしていきたい。

石井英男

フリーライター。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。

PCやモバイル機器などハードウェア系記事を得意とする。

プログラミング道場「CoderDojo」のメンターとして子供たちにプログラミングを教える活動をしている。

テレワークに適したノートPCの要件とは

 まずはテレワークに適したノートPCの要件を改めて考えよう。テレワークとは文字通り、オフィスの決められた机ではなく遠く離れた場所(tele)で仕事(work)を行うことだ。好きな場所で仕事をするには「携帯性」「堅牢(けんろう)性」「バッテリー駆動時間」が重要になる。

 持ち運びが前提なら薄くて軽いことがベスト。個人的には重量が1.5kg以下なら合格ラインにあると考えている。しかし画面が小さすぎては仕事もしにくい。13型程度は最低限欲しいところだ。持ち運ぶ際に少しラフに扱っても壊れない堅牢性も必要になる。

 移動中や屋外など電源のない場所で使うことも考えると、バッテリー駆動時間は長い方が安心だ。これまでの経験では、電子情報技術産業協会が定める「JEITA測定法Ver.2.0」で12時間以上持つとされていれば1日仕事をするには十分だ。

 しかし、テレワークはいつでもどこでも仕事ができるだけではいけない。常に快適かつセキュアに働けなければ、業務効率の低下や情報漏えいなどのリスクにさらされてしまう。

 快適に仕事をするにはCPUやメモリのスペックも重要だが、通信機能もいいに越したことはない。インターネット接続はもはやあって当たり前だ。クラウド活用も進む中、ネットにつながずに仕事をするのは難しい。通信速度が遅いようでは必要な資料やデータを表示するだけでも時間がかかりイライラしてしまう。いつでも高速通信できるのがベストだ。

 さらに、業務で使う以上は顧客情報や企業機密などのデータを取り扱うこともある。カフェやコワーキングスペースで利用する場合、情報を盗み見られないよう横からののぞき見を防止する機能も欲しい。移動中の紛失対策もできるとより安心感がある。

テレワークに必要な要素を全て持つ「Dragonfly G2」

 いよいよDragonfly G2を評価していく。Dragonfly G2は13.3型液晶を搭載した2in1モバイルノートPCだ。サイズは約30.43(幅)×19.73(奥行き)×1.61(最薄部の高さ)cmとスリムで、重量は約1.15kg。満足できる携帯性といえる。

 本体は軽く丈夫なマグネシウム合金製。米国国防総省が定めた調達基準(MIL-STD-810)にも準拠。Dragonfly G2は、122cmの高さから落とす、風塵が舞う環境で動作させる、周辺温度をセ氏マイナス51度から60度まで変化させるといった過酷なテストをクリアした。合計12時間に及ぶHP独自の落下テスト、加圧テストなども耐え抜いた堅牢性を持つ。

 基本スペックも非常に高い。モデルによって構成は異なるが、今回の試用機はCPUに第11世代のインテルCore i7-1165G7(8スレッド、最大動作周波数4.70GHz)を搭載。GPUとして「Iris Xe グラフィックス」を内蔵しており3D描画性能も高い。メモリは標準で16GB、ストレージはNVMe対応の512GB SSDを搭載している。

 実際に普段行っている作業をして負荷をかけてみた。Webブラウザでタブを100近く開けて、オフィスソフトを二つ同時に使いながらフルHDの動画を編集しても十分快適だった。

 参考に、PCのパフォーマンスを計測するベンチマークテスト「PCMark 10」とストレージの性能を測る「CrystalDiskMark 8.0.2」を実行してみた。結果は下の画像の通りで、重さ1.2kg未満のモバイルノートPCとしてはトップクラスのハイパフォーマンスといえる。総合してみれば一般的なデスクトップPCよりも高性能と言っていい。

 また、Dragonfly G2はインテルが提唱する高機能PCの指標「インテル Evo プラットフォーム」に適合した製品でもある。この指標では「第11世代Coreプロセッサを搭載する」「1秒以内に起動する」といった厳しい要件が要求されている。インテル Evo プラットフォームに適合しているということは、快適なノートPCとしてのお墨付きをもらっているようなものだ。

 これだけ高性能ながらバッテリー駆動時間も最大約17.6時間(JEITA測定法Ver.2.0)と十分満足できる長さだ。高速充電にも対応しており、電源OFFまたはスリープ時なら、約30〜45分で50%まで、約90分で90%まで充電できるスピード感がうれしい。

 無線機能も充実だ。Wi-Fi 6やBluetooth 5など最新の通信規格に対応する他、オプションで4G LTE/5G通信機能も付けられる。いつでもどこでもセキュアにネット接続できるので、テレワーカーにとっては非常にありがたい。

改ざん防止、生体認証、紛失対策……何重にも掛けたセキュリティ対策

 テレワークで使うことを考慮するとセキュリティ機能も強化する必要がある。持ち運ぶことで生じるリスクにも対策が必要だからだ。Dragonfly G2は「改ざん防止」「生体認証」「紛失対策」などさまざまな対策を標準搭載している。

 まずは基本のサイバー攻撃対策だ。HPのPCはハードウェアとソフトウェアの両面からデバイスを何重にも保護している。

 これだけの対策を標準で搭載しているのだから、まさに至れり尽くせりだといえる。

 次にテレワークならではの対策だ。社外で作業する場合に気を付けるべきは「不正ログオン」「のぞき見」「盗難・紛失」だ。

 不正ログオンにはWindows Helloによる生体認証で対抗する。Dragonfly G2は指紋認証と顔認証に対応。第三者にパスワードを盗まれる心配はない。

 のぞき見対策としては「HP Sure View Reflect」がある。これはいわば内蔵プライバシーフィルターだ。カフェなどでテレワークをするとき、隣に座った他人に画面をのぞかれる心配がなくなる。キーを一つ押すだけで有効・無効を切り替えられるのが便利だ。

 さらに盗難・紛失対策のため、Dragonfly G2は忘れ物防止タグ「Tile」のモジュールを内蔵している。事前にスマートフォンと連携させておけば地図上にデバイスの位置を表示できる。デバイスが移動した場合に地図上で追跡することもできる。

見やすいタッチ操作対応液晶と使いやすいキーボード

 見た目や本体の操作性も見ていこう。Dragonfly G2は「コンバーチブルタイプ」と呼ばれる形のPCだ。液晶とキーボードは分離せずヒンジが360度回転するようになっている。

 通常のノートPCスタイルの他、テント、スタンド、タブレットという4つのスタイルで利用できる。画面を確認しながら持ち歩きたいときはタブレットスタイル、他人に画面を見せるときはスタンドスタイルなど、場面ごとに使い分けられるのが便利だ。

 液晶ディスプレイはフルHD(1920×1080ピクセル)で暗い場所でも見やすい高輝度モデル。タッチ操作にも対応し、専用のペンを使えば手書きでメモを取ったりWeb会議ツールのホワイトボード機能などを使ったりできる。

 キーボードの使い勝手も優れている。日本語配列の全86キーでキーピッチは18.7mm、キーストロークは1.5〜1.7mm。モバイルノートPCながら手が大きい人でも窮屈な印象はない。キータッチも安定感があるので快適にタイピングできる。バックライト搭載で暗いところでも仕事ができるのもうれしい。

 キーボード側面にはThunderbolt 4規格対応のUSB Type-Cポートを搭載。1秒間に最大40Gbitまでの高速データ転送の他、USBポート経由の高速充電も可能だ。

 液晶やキーボード、ポインティングデバイスは、ユーザーとPCとの直接的なインターフェースだ。長時間にわたるテレワークを快適にこなせるかどうかは、液晶の見やすさや、キーボード、ポインティングデバイスの使いやすさに大きく左右される。Dragonfly G2はそうしたインターフェースもかなり洗練されている。

 これまでに見てきたように、Dragonfly G2はテレワークに適したノートPCの要件の全てを高いレベルで満たした、テレワーカーの強い味方となってくれるモデルだ。テレワークを前提として新たにモバイルノートPCを導入するなら、自信を持っておすすめできる。

HP Elite Dragonfly G2

 重さ989g、厚さ16.1mm、CNC削り出しのマグネシウムボディーの軽量ビジネスPC。多彩なセキュリティ機能に加え、のぞき見を防止する内蔵型プライバシースクリーン、物理シャッターを備えたカメラ、コラボレーションを促進する全方位マイクなど、ビジネスに必要な全てをエレガントなボディーに備えました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

【対処方法】「[D193]認証できませんでした。生体認証の設定 …

目次イメージ端末情報操作手順 イメージ 端末情報 機種名: Android OSバージョン: 接続方法: 操作手順 1.「設定アプリ」をタップする。 2.「ドコモのサービス/...

JCV、 既存システムに容易に高度な生体検知と顔認証を実装 ...

-お客さまのシステムに、生体検知を組み合わせたセキュアな顔認証の実装が可能- ソフトバンク株式会社の子会社である、日本コンピュータビジョン株式会社(本社:東京都千代田区、以下「JCV」)は、世界最高峰*の顔認証テクノロジーを搭載した小型2眼カメラ「M20 AI Visionモジュール」の提供を開始します。

オンライン本人認証方式の実態調査 報告書 - IPA

2 章にオンライン本人認証の概要、第3 章にオンライン本人認証に関わ る具体的なインシデントに関する調査結果を報告する。第4 章では、インターネットサービスに おいて提供しているオンライン本人認証の実態調査の結果、及びインターネットサービス利用者

無線LANの規格と通信速度の関係 - エレコム - ELECOM

無線LANの規格と通信速度の関係。無線LAN(Wi-Fi)には6つの通信規格と3つの周波数帯が存在します。それぞれ通信速度や特性が異なりますので、無線LANルーターを購入する際は、その内容をよく把握して選びましょう。

次世代通信規格開発でフィンランドと連携へ 日本の産学官組織 ...

【NHK】6Gやビヨンド5Gなどと呼ばれる次世代の通信規格の開発を加速させようと、日本の産学官の組織がフィンランドの先進プロジェク…

標準規格(通信分野)一覧表|一般社団法人 電波産業会 - ARIB

 · 標準規格等一覧 標準規格(通信分野)一覧表 標準規格(通信分野)一覧表 to ENGLISH site ※「標準規格番号」をクリックすると標準規格が入手できます。 標準規格番号 標準規格名 最新版数 改定年月日 策定年月日 備考 STD-T121 ...

11ac・11nとは ~Wi-Fiの通信規格~ – ワイファイの使い方初 …

Wi-Fi関連機器のパッケージなどでよく目にする「11ac」「11n」などは、Wi-Fiの通信規格を表しています。それぞれのWi-Fi機器がどれくらいの性能を持っているのか、目安を示すための基準となります。その規格が、「IEEE 802.11」です。「11ac」や「ac」という表記は、「IEEE 802.11ac」が省略されたものです。

ロボットとエレベーターが“メーカー問わず”通信連携--経産省 ...

経済産業省は6月4日、ロボットを導入し易い環境(ロボットフレンドリーな環境)を実現するため、ロボットとエレベーターの連携に関する規格「ロボット・エレベーター連携インタフェイス定義」を策定したと発表した。

1.ロボットとエレベーターが通信連携するための規格に ... - …

サービスロボットの普及に向けて、ロボットを導入し易い環境(ロボットフレンドリーな環境)を実現するため、経済産業省では、2019年に「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」を設置し、必要な施策を推進しています。この取組の一つとして、今般、ロボットとエレベーターの連携に関する規格が策定されました。また、同タスクフォースが目指すロボットフレンドリーな未来を紹介する動画を作成しました。

「OPC UA」はなぜさまざまな規格の通信をつなげることがで …

スマート工場化や産業用IoTなどの流れの中で大きな注目を集めるようになった通信規格が「OPC UA」です。「OPC UA」はなぜ、産業用IoTに最適な通信規格だとされているのでしょうか。本連載では「OPC UA」の最新技術動向についてお伝えします。第2回である今回は、「つなげる」を切り口とし、「OPC UA」の相互接続性とTSN対応について紹介します。 (1/2)

ギガビットクラスの高速通信を可能にする「IEEE 802.11ac ...

2014年1月に正式な規格として承認された「IEEE 802.11ac」は、理論最大速度6.9Gbit/sと、ギガビットイーサネット並の高速な通信を可能にする無線LAN規格だ。その概要を解説。

FAX の通信規格

 · 通信規格 仕様 G3 規格 家庭やオフィスで一般的な FAX の規格で、音声信号で通信します。 アナログ回線 (ADSL 契約も含む) につなぎます。 読み取り解像度は水平・垂直ともに 200dpi で、データは MH または MR 符号で圧縮さ ...

通信講座・動画配信 | 日本規格協会 JSA Group Webdesk

 · 日本規格協会では、通常開催しているセミナーだけでなく、 業務があり通学するには、時間的に余裕がない 遠隔地のため通学に時間と費用がかかる など、セミナーに参加できない方々に適した通信教育プログラムを下記にご用意しております。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
ゼットスケーラー、ビジネスの好調ぶりを説明–製品計画も明らかに
IT関連
2024-09-28 23:46
ゲッティイメージズ、画像生成AIサービス「iStockの生成AI」発表–著作権侵害の心配なし
IT関連
2024-01-11 21:35
NEC、マルチモーダル生体認証ソリューションを販売–顔認証技術と虹彩認証技術を搭載
IT関連
2022-11-11 21:43
オリンパス、タレントマネジメント基盤をグローバルで稼働–プロセスのシンプル化と標準化を実現
IT関連
2023-09-01 07:42
日本ロジテム、統合人事システム「COMPANY」を導入–グループ全体の人事情報を管理
IT関連
2022-08-14 06:14
KPMGジャパン、生成AI利用支援サービスを提供–最新動向も調査
IT関連
2023-06-22 01:45
OpenAI、よく考えて回答する新AIモデル「OpenAI o1」を発表
IT関連
2024-09-14 07:02
パナソニック、米ソフトウェア大手買収へ協議
IT関連
2021-03-11 13:46
スクエニがNFTシール「資産性ミリオンアーサー」ティザーサイト公開、LINE Blockchain採用しLINEが二次流通市場を構築
ブロックチェーン
2021-06-10 03:06
AWSの「Amazon S3」が15周年–オブジェクト数は100兆個以上に
IT関連
2021-03-16 19:55
第4回:これからの日本企業のためのコンポーザブルERP活用法
IT関連
2023-12-27 06:46
DockerがWebGPUを用いてGPUを抽象化、AI処理などGPUを使ったコンテナ化アプリのポータビリティを実現する技術を開発中。DockerCon 23
Docker
2023-10-13 14:17
ヘルスケア企業の意思決定結果を予測するLumiataが14.5億円調達
ヘルステック
2021-01-17 02:51
AIへの信頼は高まっている–Oracle幹部が語る財務とAI、RPAと比べたメリット
IT関連
2021-02-15 06:17