【インタビュー】アップルがiOS 15で明らかにした「ヘルスケア」の未来、同社VPが語る初期Apple Watchから現在まで

今回は「【インタビュー】アップルがiOS 15で明らかにした「ヘルスケア」の未来、同社VPが語る初期Apple Watchから現在まで」についてご紹介します。

関連ワード (Apple、Apple Watch、iOS、iOS 15、WWDC 2021、アクティビティ、インタビュー、ヘルスケア、心拍数、心臓等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


Apple(アップル)が最近開催した世界開発者会議(WWDC)の基調講演には、iPhone、Mac、iPadの新機能が詰まっていた。2014年に最初のヘルスケアアプリがデビューして以来ほぼ一貫してそうだったように、それらの新機能には、個人のヘルスケアや健康を中心としたアップデートが含まれている。Appleがこの分野で行っている取り組みの影響は、すぐには評価できないことが多い。例えば、ヘルスケア関係の新機能は一般に、Appleのデバイスのソフトウェアで行われるユーザーインターフェイスの全面的な見直しほど目立つことはない。しかし全体として見ると、Appleは、個人が利用可能な、最も強力でわかりやすいパーソナルヘルスケアツールスイートを構築したようだ。そして、その勢いが衰える兆しは見えない。

筆者は、Appleの技術担当VPであるKevin Lynch(ケヴィン・リンチ)氏にインタビューする機会を得た。実はリンチ氏は、2014年9月のAppleの基調講演イベントにおいて、世界の舞台ではじめてApple Watchのデモを行った人物であり、Apple Watchが大きく成長するのを見てきただけでなく、Apple Watchにおけるヘルスケアの取り組みの進展に欠くことのできない人物でもある。Apple Watchがどのようにして今日の姿になったか説明してくれた。また、将来の展望のヒントも与えてくれた。

「これまでの進展ぶりに驚いています」と、最初のヘルスケアアプリについてリンチ氏は語った。「このアプリは実は、Apple Watchから始まりました。Apple Watchで、カロリー消費アクティビティと『アクティビティ』のリングを完成させるための心拍数データを取ったため、心拍数データを保存しておく場所が必要でした。それで、データを保存する場所としてヘルスケアアプリを作りました」。

Appleのヘルスケアアプリは2014年に、Apple Watchのアクティビティデータを保存する簡単なコンパニオンアプリとして始まった(画像クレジット:Apple)

そこでAppleは、中心になる場所ができれば、他の種類のデータも保存できるシステムを開発して、プライバシーを尊重した方法で開発者が関連データをそこに保存できるAPIとアーキテクチャも構築できることに気づいた、とリンチ氏は語る。最初の頃、ヘルスケアアプリは基本的にまだ受け身の格納庫で、ヘルスケア関係のさまざまな情報の接点をユーザーに提供していたが、Appleは間もなく、それをさらに発展させて他にも何かできることはないか、と考え始めた。そして、アイデアのきっかけはユーザーからもたらされた。

ヘルスケアに対するAppleのアプローチの主要な転換点は、ユーザーがApple Watchの機能を使って、Appleが意図した以上のことを行っていることにAppleが気づいたときに訪れた、とリンチ氏はいう。

リンチは次のように説明する。「私たちは、ユーザーに心拍数を示そうとしており、実際、ユーザーは自分の心拍数を見ることができました。私たちは、心拍数を消費カロリーの測定に使っていました。しかしある時、こんなことがありました。ワークアウトをしていないときに心拍数を見て、心拍数が高いことに気づいた一部のユーザーが【略】医師に診てもらうと、心臓の異常が発見されたのです。Appleはそのようなユーザーから手紙を受け取るようになりました。今でも、私たちがしている仕事について手紙が来ます。それはとてもうれしいことです。しかし、初期のそうした手紙の中にはヒントを与えてくれたものがありました。『待てよ、実は同じことをバックグラウンドで自分たちでできるんじゃないか』ってね」。

その後Appleは、心拍数が高い場合にアラートを通知する仕組みを開発した。ユーザーがあまり動いていないときにApple Watchが異常に高い心拍数を検出すると、それをユーザーに知らせることができる。休息時の高い心拍数は、潜在的な問題に関する良い指標である。Appleは後に、異常に低い心拍数の通知も加えた。これはすべてユーザーがすでに利用できるデータであったが、Appleは、目ざといApple Watchオーナーがすでに享受しているメリットを、先を見越して機能として提供できることに気づいた。

2017年、心拍数が高いことを知らせる通知がApple Watchに導入された(画像クレジット:Apple)

そこでAppleは、似たようなインサイトを探り出せる検討対象の分野を増やすための投資を大きく増やし始めた。ユーザーの行動によって研究対象の新たな分野が特定されるのを待つのではなく(リンチ氏によれば、これはチームにとって依然として重要であるが)、ヘルスケア機能の発展への道筋を切り開くために、臨床医や医療研究者の採用を増やし始めた。

その成果の一例が、WWDCで発表された「Walking steadiness(歩行の安定性)」である。これは、Apple Watch装着者の平均的な歩行の安定度を簡単なスコアで示す新しい基準だ。

リンチ氏は次のように説明する。「歩行の安定性【略】は実は、転倒の検出から得られたものです。私たちは転倒の検出に取り組んでいました。本当にすばらしい取り組みだったのですが、進めていくうちに、ただユーザーの転倒を検出するだけでなく、ユーザーが実際に転倒しないようにサポートする方法についてブレインストーミングを行うようになりました。転倒するその瞬間にサポートするのはかなり困難です。実際に転倒し始めたら、できることは限られています」。

リンチ氏は、Appleが2018年に導入した転倒検出機能のことを言っている。モーションセンサーのデータを使って、突然の激しい転倒と思えるものを検出し、転倒した装着者をできれば助けるために緊急アラートを送る機能である。Appleは、10万人が参加した心臓と運動に関する研究でユーザーの転倒検出データを調べ、それを歩行の基準に関する同じ研究でiPhoneから収集したデータと結び付けることができた。

「(心臓と運動に関する研究のデータ)は、この機械学習に関する仕事の一部でとても役立っています」とリンチ氏は述べた。「それで私たちは、特に転倒と歩行の安定性を中心とした研究に重点を置き、歩行の安定性に関する従来の測定データ一式を、真実を語る資料として使いました。アンケート調査、臨床観察、受診と医師による歩行の様子の観察も同様です。そして1~2年の間、研究対象の人が転倒することがあれば、転倒に先立つ測定基準をすべて調べて、『転倒の可能性を測る本当の予測因子は何か』を理解することができました。その後、それを基にモデルを構築できました」。

iOS 15におけるAppleのヘルスケアアプリの「歩行の安定性」に関する測定基準(画像クレジット:Apple)

実はAppleは、歩行の安定性の機能によって、ヘルスケアやフィットネスの業界では非常にまれなことを成し遂げた。個人のヘルスケアを中心として、臨床的に検証された、意味のある新しい測定基準を作ったのだ。ヘルスケアアプリでは、AppleのiPhoneのセンサーを通して受動的に収集されたモーションセンサーのデータに基づいて「とても低い」から「低い」または「OK」までのスコアが示される(リンチ氏の話では、iPhoneの方が、腰の位置にあるので測定基準をより正確に検出できるという)。おそらくこのデータは、ユーザーが本当に意味ある改善を実際に行うのに役立つだろう、とリンチ氏はいう。

「別のすばらしい点は、すぐに使えるということです」と氏は述べた。「変えるのが難しいものもある中で、歩行の安定性に関しては、改善するためにできるエクササイズがあります。それで、私たちはそうしたエクササイズをヘルスケアアプリに組み込みました。ビデオを見てエクササイズを行い、転倒する前に、安定性を改善するために努力できます」。

歩行の安定性というのはおそらく、ヘルスケアに関してAppleが重視する分野を最も効果的に具現化した機能である。持ち歩くデバイスが、周囲を取り巻く一種のプロテクターに変わるのだ。

Appleのヘルスケアアプリは、追跡対象の測定基準を概観するのにうってつけである。Appleは、目に映るものを理解することを容易にする、入念に吟味した状況認識情報のライブラリを着実に構築してきた(例えば、研究室のアップデートされた新しいディスプレイでは、結果がiOS 15でわかりやすい言葉に変換される)。しかし、革新の点でAppleが比類のない位置にいる分野の1つは、先を見越した、または予防的なヘルスケアである。リンチ氏は、歩行の安定性の機能はそうした努力の進展の結果であることを指摘した。

「歩行の安定性に関する取り組みは、私たちが『インテリジェントな保護者』と考えているこのカテゴリーに属します。『どうすれば、他の方法では見ることも気づくこともないかもしれないデータを使ってユーザーを見守るサポートができるだろうか。そして、変化の可能性を知らせることができるだろうか』ということです」と同氏は語る。

「インテリジェントな保護者」のカテゴリーは実のところ、当初はApple Watchとヘルスケアの計画に含まれていなかったことをリンチ氏は認めている。

「最初の頃は、『インテリジェントな保護者』について今のような考え方はしていませんでした。Apple Watch初期にユーザーから寄せられた手紙によって、私たちは、本当に意味のあるアラートをユーザーに通知できることに気づきました。ユーザーからの手紙のおかげで、本当に意義深いひらめきを得られました」。

Apple Watchの転倒の検出(画像クレジット:Apple)

そのような手紙は、ヘルスケアの機能に取り組むチームに今もひらめきを与えており、チームに動機付けを与えてその仕事が正しいことを証明するのに役立っている。リンチ氏は、Appleが受け取った1通の手紙を引用してくれた。ある人が父親にApple Watchを買ってあげたが、父親は自転車で外出中に自転車から溝に落ちてしまった。Apple Watchはその転落を検出し、父親の意識がないことも検出した。幸いにも、Apple Watchは緊急連絡先と911番に通知するように設定されていて、その両方に通知が送信された。Apple Watchによって地図上の場所が息子に通知されたので、息子は現地に駆けつけたが、現場ではすでに救急医療隊員が父親(幸い大事には至らなかった)を救急車に乗せているところだった。

リンチ氏は次のように語る。「『人について私たちが感知して知らせることができることとして、他に何があるだろうか』と考えたことはたくさんあります。ヘルスケアに関する取り組みの中で、私たちは、臨床的な観点から人について知るべき真に意味のある事柄とは何か、という点について常に話し合っています。また、人について感知できることについて科学的な観点からどう考えるべきか、という点についても話し合っています。この2つの点が重なる部分にこそ、収集データを理解して活用するための鍵があります。あるいは、疑問に対して臨床的にしっかりとした根拠に基づく回答を出すためのデータを構築する新しいセンサーを開発するヒントが得られる可能性があります」。

iOS 15でAppleのヘルスケアアプリに加えられる別の大きな変更は共有だ。ユーザーと家族や、医師など世話をする人の間で、ヘルスケアのデータを非公開で安全に共有できるようにする。ユーザーは、共有するヘルスケアのデータを正確に選ぶことができ、いつでもアクセスを無効にできる。Apple自体がデータを見ることは決してなく、データはデバイス上でローカルで暗号化され、受信するデバイスのローカルメモリーで復号化される。

iOS 15でのAppleのヘルスケアアプリの共有(画像クレジット:Apple)

ヘルスケアの共有は、インテリジェントな保護者に関するAppleの取り組みの自然な拡張である。これによって、個人のヘルスケアは、常にそうであった状態、つまり個人がつながっているネットワークによって管理される状態に引き上げられるからだ。しかも、現代のテクノロジーとセンサー機能によって拡張されている。

リンチ氏は次のように説明する。「見守り対象の相手はその情報を見たり、変化の通知を受け取ったりすることができ、見守る人は小さなダッシュボードで情報を見ることができます。特に年配者やパートナーの世話をする人にこれが大いに役立つことを願っています。一般的に言って、ヘルスケアの過程で相互にそうしたサポートができるようになります」。

リンチ氏は、単に他の方法では見いだせなかったデータを明らかにすることが目的ではなく、実際には、ヘルスケアに関連した家族間のコミュニケーションを活発にしたり、普通なら決して生じないような個人的なつながりの扉を開けたりすることが目的だということを指摘している。

「最近どれくらい歩いたかとか、よく眠れるかといった話を自然にすることがないような状況で、会話が促されます。そうしたことを共有する気があるなら、さもなければしなかったような会話ができます。医師とのやり取りでも同じです。医師とやり取りするとき、医師は患者の普段の健康状態をあまり見ていないかもしれません。サイロ思考になって、その時の血圧など、部分的にしか診ません。では、医師と話すときに、どうすれば短い時間で全体像を伝えて、会話の内容を豊かにするサポートができるでしょうか」。

医師との共有は、医療提供者の電子医療記録(EHR)システムとの統合に依存するが、リンチ氏によれば、そのシステムでは相互運用可能な標準が使用されていて、さまざまなプロバイダーがすでに米国を広くカバーする準備を整えている。この機能を利用する医療従事者は、ユーザーが共有するデータをWeb表示のEHRシステムで見ることができる。データは一時的に共有されるだけだが、医療従事者は患者のために、簡単に特定の記録に注釈を付けて、永続的なEHRに保存し、必要に応じて診断結果や治療過程をバックアップできる。

EHRには導入と相互運用性の点で困難な問題に直面してきた歴史がある。この点についてリンチ氏に尋ねると、同氏は、Appleが何年も前にEHRとの連携に取り組み始めた当時は、実際に機能させるためにApple側に多大の技術的な負担が求められたと語った。幸い、業界は全般的に、もっとオープンな標準の採用に向かった。

「業界は、もっと標準化された方法でEHRに接続する方向に大きく変化してきました。確かにAppleは、EHRに関するすべての問題に取り組み、改善を支援するために努力してきました」とリンチ氏は語る。

ユーザーと医師の両者にとって、Appleのヘルスケアアプリが持つ大きな潜在的メリットの1つは、長期にわたって大量のデータにアクセスできることである。Appleのプラットフォームにこだわり、ヘルスケアアプリを使ってきたユーザーは、少なくとも7年ほど心拍数のデータを追跡してきたことになる。その理由で、iOS 15の別の機能であるHealth Trends(健康のトレンド)は、将来に向けてさらに大きな影響力となる可能性を秘めている。

iOS 15のAppleの健康のトレンド機能(画像クレジット:Apple)

リンチ氏は次のように説明する。「トレンド機能では、長期的な変化を調べ、各分野で統計的に重要な変化の特定を開始します。最初は20ほどの分野が対象となります。注意すべきトレンドが現れ始めたら、それを強調表示し、その様子を表示することができます。例えば、休息時の心拍数に関する現在と1年前のデータを比較できます」。

これもまた、Appleの心臓と運動に関する研究と、Appleがその研究から継続的に引き出したインサイトの結果である。Appleはこの研究の間、提供するインサイトの微調整に大いに力を注いだ。活用できるインサイトをユーザーに提供すると同時に、過剰な負荷や混乱の増大を回避するためだ。

「健康のトレンドのような機能を扱う場合、インサイトでユーザーを圧倒したいとは思いません。しかし、示すべき関連情報がある場合は、それを抑えたいとも思いません。どのように調整すべきか考えました。私たちは、心臓と運動に関する研究で得たデータを調整することに力を注いだので、それが公開されている様子を見ると胸が高鳴ります。これは何度でも言います。これは長期的な変化を理解する本当に強力な方法になると思います」。

Appleのヘルスケアに関する今日までのストーリーは主に、iPhoneやApple Watchに搭載されている、最初は別の目的を持っていたセンサーを通じてヘルスケアに関するすばらしいインサイトが継続的に提供されたことによって成り立っている。以前はまったく不可能で、実際的ではなかったことだ。その状況は、Appleが、Apple WatchやAppleの他のデバイスに統合できる新しいセンサー技術を探し出して、日常のさらに多くの健康問題に取り組むという、意図的な戦略へと進展した。また、Appleは引き続き、既存のセンサーを使う新しい方法を見つけ出している。iOS 15に追加された、睡眠中の呼吸数の測定が主な例である。一方で、さらに多くのことを行うため、次なる新しいハードウェアの開発にも取り組んでいる。

しかし、将来のヘルスケア機能の観点から見ると、さらに可能性を探るべき分野は、センサーの融合である。歩行の安定性は、iPhoneとApple Watchが単に独立して機能する結果ではなく、Appleがそれらを組み合わせて活用するときに得られる成果である。Appleのソフトウェアとハードウェアの緊密な統合によって強化される分野もある。そのような分野は、デバイスとそのデバイスに搭載されているセンサーで構成されるAppleのエコシステムとして増殖し、成長を続ける。

インタビューの最後に、AirPodsのことを考慮に入れるとどんな可能性が開かれるのか、リンチ氏に尋ねた。エアポッドにも独自のセンサーがあり、iPhoneやApple Watchでモニタリングされるヘルスケア関連データを補完できるさまざまなデータを収集できるためだ。

「現在すでに、いくつかのデバイス間でセンサーの融合を行っています。ここには、あらゆる種類の可能性があると考えています」とリンチ氏は語った。

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画像クレジット:Apple


【原文】

Apple’s recent Worldwide Developers Conference (WWDC) keynote was packed with new features for iPhones, Macs and iPads — and like it has done pretty consistently since the debut of its original Health app in 2014, those included updates focused on personal health and wellness. Often, it’s impossible to assess the impact of the work Apple is doing in these areas in the moment, and health-related feature announcements aren’t generally as splashy as user interface overhauls for Apple’s device software, for instance. But viewed as a whole, Apple has built probably the most powerful and accessible suite of personal health tools available to an individual, and it shows no signs of slowing down.

I spoke with Apple Vice President of Technology Kevin Lynch, who actually demonstrated the Apple Watch for the first time on the world stage during Apple’s September 2014 keynote event. Lynch has seen Apple Watch grow considerably during his time at the company, but he’s also been integral to the evolution of its health initiatives. He explained how it became what it is today and provided some hints as to where it might go in the future.

“It’s been amazing how much it’s evolved over time,” Lynch said, referring to the original Health app. “It actually started from Apple Watch, where we were capturing heart rate data for calorimetry activity, and [Activity] ring closure, and we needed a place to put the heart rate data. So we created the Health app as a place to store the data.”

Apple Health began as a simple companion app to store activity data from the Apple Watch in 2014. Image: Apple

From there, Lynch says Apple realized that once you had this centralized location, they could develop a system that could store other data types, as well, and create an API and architecture that allowed developers to store related data there, as well, in a privacy-respecting way. In the early days, the Health app was still essentially a passive storehouse, providing users one touchpoint for various health-related information, but the company soon began thinking more about what else it could offer, and inspiration came from users.

User-guided evolution

A key turning point for Apple’s approach to health came when the company saw that users were doing more with features available via the Apple Watch than the company ever intended, Lynch said.

“We were showing people their heart rate, and you could look at it — we were using it for calorimetry,” he told me. “But some users actually were looking at their heart rate when they weren’t working out, and noticed it was high. […]They would go talk to their doctor, and the doctor would find a heart issue, and we would start getting letters about this. We still get letters today about our work in the space, which is amazing. But some of those early letters were clueing us into ‘Wait, we could actually look for that ourselves in the background’.”

Apple then developed its high heart rate alert notifications, which can tell users when Apple Watch detects an unusually high heart rate that occurs when they aren’t moving around very much. High resting heart rates are good indicators of potential issues, and Apple also later added notifications for unusually low heart rates. This was all data that was already available to the user, but Apple saw that it could proactively provide it to users, providing the benefits already enjoyed by the most vigilant of all Apple Watch owners.

Apple Watch introduced high heart rate notifications in 2017. Image: Apple

From there, Apple started investing more heavily in thinking about more areas where it could glean similar insights. Rather than waiting for user behavior to identify new areas to explore (though Lynch says that’s still important to the team), the company started hiring more clinicians and medical researchers to chart the path forward for Health.

One example of where that led was announced at WWDC: Walking steadiness, a new metric that provides a simple score of how stable a Watch wearer’s average gait is.

“Walking steadiness […] actually came from fall detection,” Lynch said. We were working on fall detection, and that’s been really awesome, but as we’re working on it, we’re brainstorming about how we can actually help people not fall, rather than just detecting that they fell. It’s pretty tricky to do that in the moment — there’s not much you could do once that’s actually happening.”

Lynch is referring to the fall detection feature that Apple introduced in 2018, which could use motion sensor data to detect what was likely a sudden and severe fall, and provide emergency alerts to hopefully render aid to the wearer who had fallen. Apple was able to look at fall detection data for users in its 100,000-participant strong Heart and Movement study and combine that with data gathered from the iPhone in the same study about walking metrics.

“[The Heart and Movement study data] has been super helpful in some of the work here on machine learning,” Lynch said. “And then we did a focus study particularly around falls with walking steadiness, where we used [as] the source of truth a set of traditional measurements of walking steadiness; so questionnaires, clinical observation, people meeting with doctors and they’re observing the person walking. And then as over the period of a year or two, as people in that study happened to fall, we were able to look at all their metrics ahead of that and understand, ‘What are the real predictors here of potential fall?’ Then we were able to build a model around that.”

Apple’s Walking Steadiness metric in Apple Health in iOS 15. Image: Apple

Apple actually accomplished something with its Walking Steadiness feature that is very rare in the health and fitness industry: It created a clinically validated, meaningful new metric around individual health. The Health app assigns a score from Very Low to Low or OK, based on motion-sensing data passively gathered through Apple’s iPhone sensors (the phone is better able to detect these metrics since it’s positioned on your hip, Lynch says). Perhaps best of all, according to Lynch, the data is actually something people can use to make real improvements.

“The other compelling thing is that it’s actionable,” he said. “Some of these things can be harder to change. But with walking steadiness, there are exercises you can do to improve your walking steadiness. And so we built those into the Health app. You can watch the videos and do the exercises and work to improve your steadiness ahead of falling.”

Walking steadiness is perhaps the best expression yet of an area of increased focus for Apple when it comes to health: Turning the devices you carry with you into an ambient protector of sorts.

‘The Intelligent Guardian’

Apple’s Health app provides a good overview of the metrics that you might want to keep track of, and the company has steadily built out a library of vetted contextual information to make it easier to understand what you’re seeing (including through new updated lab displays that translate results into plain language in iOS 15). But one of the areas where it’s in a unique position to innovate is in proactive or preventative health. Lynch pointed out that the walking steadiness feature is a progression of those efforts.

“The walking steadiness work is in this category that we think of as ‘Intelligent Guardian’; it’s ‘How can we help watch out for people with data that they may not otherwise be even looking at or aware of, and let them know of potential changes,” he said.

Lynch admits that the ‘Intelligent Guardian’ category wasn’t something that was initially really part of the plan for Apple Watch and health.

“In the early days, we weren’t as onto this line of thinking about ‘Intelligent Guardian’, as we are now,” he said. “Those early letters were really inspiring in terms of [pointing out] we could actually let people know these things that are really meaningful.”

Fall detection on Apple Watch. Image: Apple

Those letters still inspire the team working on health features and help motivate the team and validate their work. Lynch cites one Apple received where a person had purchased an Apple Watch for their father, and while his father was out biking he got thrown off the bike and fell into a gully. Apple Watch detected the fall, and also that he was unconscious, and the Watch was luckily set up to notify emergency contacts and 911, and did both. It provided the son with a location on a map, so his son rushed to the spot, but found paramedics on scene already loading his father (who ended up being okay) into an ambulance.

“Now, there’s a lot of thought that we put into ‘What are the other things that we could maybe sense about someone and let them know about?’ ” he said. “Our work on health very much involves this ongoing discussion of, from a clinical perspective, what is really interesting to know about somebody? Then from a science perspective, what do we think that we can sense about somebody? It’s this intersection of what might we be able to know and extract from the data that we gather, or are their new sensors that we might be able to build to get some data that could answer the questions that, clinically, we think would be really valid.”

A community approach to individual health

Another big change coming in iOS 15 for Apple Health is sharing. Apple will allow private, secure sharing of health data from users to loved ones and caregivers, including doctors. Users can choose exactly which health data to share, and can revoke access at any time. Apple itself never sees that data, and it’s encrypted locally on your device and then decrypted in local memory on the receiving device.

Apple Health Sharing on iOS 15. Image: Apple

Health sharing is a natural extension of Apple’s work with the Intelligent Guardian since it elevates personal health care into what it always has been — something managed by a network of connected individuals — but augmented by modern technology and sensing capabilities.

“The other person you’re watching out for can see that information, and be notified of changes, and you can see a little dashboard of the data,” Lynch said. “That’s going to be super helpful, we hope, for people, especially as you’re caring for an older adult, or caring for a partner of yours — that’s going to basically enable people to do that kind of mutual support on their health journey.”

Lynch points out that it’s not just about surfacing data that people might not otherwise find, but it’s actually about opening the door for more communication around health between families and personal networks that typically might never happen.

“It enables conversations, where maybe people wouldn’t maybe naturally talk about how much they’ve been walking lately or how their sleep’s been going,” he said. “If you’re up for sharing that, then it can be a conversation that maybe you otherwise wouldn’t have had. And then it’s the same with doctor interactions; when you’re interacting with a doctor, they may not have a great view of your daily health. They have these little silo views of blood pressure at the time and stuff like that, so how can we help you tell your whole story when you’re talking with your doctor and make that conversation even richer than it would have been otherwise, in a very quick period of time?”

Sharing with a doctor relies on integrating with a healthcare provider’s electronic healthcare records (EHR) system, but Lynch notes that it’s using all interoperable standards to make this work, and they have a range of providers with large footprints in the U.S. already lined up to participate at launch. Healthcare professionals using this feature will be able to see data users share with them in a web view in their EHR system, and while that data is only shared ephemerally, they can easily annotate and store specific readings in their permanent EHR for a patient should they require it to back up a diagnosis or course of treatment.

I asked Lynch about the state of EHR, which has had a tricky history in terms of adoption and interoperability, and he said that it’s true that this is something they initially started working on years ago, at a time when making it work would have required a much more massive technical undertaking on Apple’s side to make it actually work. Luckily, the industry in general has been trending toward adopting more open standards.

“There really has been a change in how you can connect to the EHRs in a more standardized way,” he said. “And certainly, we’ve been working with and across all of them to help get this mature.”

Benefits of a long-term user relationship

One of the biggest potential benefits for both users and their doctors of Apple Health is just how much data they can gain access to over time. Apple users who have stuck with the platform and used Health have now been tracking at least heart rate data for around seven years. That’s why another iOS 15 feature, Health Trends, has even more potential future impact.

Apple Health Trends in iOS 15. Image: Apple

“Trends is looking at the longer term changes, and starting to identify what may be statistically significant changes in those areas,” Lynch explained. “There are about 20 areas that we’re starting with to do this, and if we start seeing those notable trends, then we can highlight those to you and show you how, for instance, your resting heart rates change now, you know, versus a year ago.”

This is once again the result of the Apple Heart and Movement study and the insights that the company continues to derive from that work. During the study, Apple focused a lot on how to fine-tune insight delivery, so as to ensure that it was providing users with information they could use, but at the same time avoiding any kind of overload or generating more confusion.

“When you work on something like trends, we don’t want to overwhelm people with insights, if you will, but we also don’t want to like not have, you know, if there’s something relevant to show, we don’t want to suppress that. How do we tune that in? So we did a lot of that tuning with the data that we have in the Heart and Movement study, and we’re excited to see how it goes with the with public launch, and we’ll keep iterating on it. We think this is going to be a really powerful way for people to understand long-term changes.”

The future is fusion

Apple’s health story to date is largely one made up of realizations that the sensors the iPhone and Apple Watch carry, originally for other purposes, can provide tremendous insights into our health on a continuous basis — something that previously just hasn’t been possible or practical. That evolved into an intentional strategy of seeking out new sensor technologies to integrate into Watch and other Apple devices to address even more daily health concerns, and Apple continues to figure out new ways to use the sensors that are there already — the addition of respiratory rate measurement during sleep in iOS 15 is a prime example — while working on what new hardware comes next to do even more.

Perhaps one place to look for even more potential in terms of future health capabilities lies in sensor fusion, however. Walking steadiness is the result of not just the iPhone or the Apple Watch acting independently, but of what’s possible when the company can use them in combination. It’s another place where Apple’s tight integration of software and hardware give it an edge, and it multiplies as Apple’s ecosystem of devices, and the sensors they carry, continues to grow.

I ended our interview by asking Lynch about what kind of possibilities might open up when you consider that AirPods, too, contain their own sensors and gather different data that could complement that monitored by the iPhone and Apple Watch in terms of health.

“We already do sensor fusion across some devices today, and I think there’s all kinds of potential here,” he said.

(文:Darrell Etherington、翻訳:Dragonfly)

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アクティビティ(activity)とは - IT用語辞典 e-Words

アクティビティ【activity】とは、「活動」という意味の英単語。ITの分野では、人間の行動や作業、業務手順の単位、システムや回線の稼動状況などの意味で用いられることが多い。コンピュータやソフトウェア、オンラインサービスなどでは、利用者によるシステム上の様々な操作や行動を総称してアクティビティということがある。

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activityの意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書

1000万語収録!Weblio辞書 - activity とは【意味】活発,敏活... 【例文】His house was full of activity.... 「activity」の意味・例文・用例ならWeblio英和・和英辞書

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レジャー一覧・アクティビティ一覧|そとあそび

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アクティビティ管理 - Google Account

アクティビティ管理. アカウントに保存されるデータにより、Google サービス全体でさらにカスタマイズされた機能をご利用になれます。. Google アカウントに保存されるデータはご自身で設定できます。. ウェブとアプリのアクティビティ. Google マップや Google 検索などの Google サービスにおいて、検索の高速化、おすすめ機能の精度向上、カスタマイズの充実を図るため...

アクティビティを削除する - Android - Google アカウント ヘルプ

Android スマートフォンまたはタブレットで、デバイスの設定アプリ [ Google] [ Google アカウントの管理] を開きます。. 上部の [ データとカスタマイズ] をタップします。. [アクティビティ管理] で [ アクティビティ管理を行う] をタップします。. [ウェブとアプリのアクティビティ]、 [YouTube の履歴]、または [ロケーション履歴] で [ 自動削除] をタップします ...

アクティビティ | 【公式】星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳 - 大 ...

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