IBM、カナダで量子コンピューティングシステム導入へ–ケベック州と提携
今回は「IBM、カナダで量子コンピューティングシステム導入へ–ケベック州と提携」についてご紹介します。
関連ワード (経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
IBMが、カナダのケベック州政府との提携の一環として、同国初となる「IBM Quantum System」を設置する計画を発表した。
同社は、量子コンピューティングや人工知能(AI)、クラウド、リサーチ関連のプロジェクトを含む、さまざまなイニシアチブでケベック州政府と協力する。また、新たに立ち上げられた「Quebec-IBM Discovery Accelerator」を通じて、ケベック州政府やシャーブルック大学と協力し、半導体やエネルギー、サステナビリティー、ライフサイエンスといった分野のプロジェクトに取り組む研究者を支援する。
ケベック州のFrancois Legault首相は、IBMの量子コンピューターによって、「AIやモデリングなどの分野でわれわれが驚くほどの進歩を遂げる」道が開かれるとコメントした。
Legault氏は、「高度なテクノロジーで革新し、未来のエコノミーにおけるリーダーとなるケベックの可能性は計り知れない。われわれは世界クラスの大学、クリエイティブな起業家、有能な労働者を擁する」とし、「量子科学はコンピューティングの未来だ。ケベックの『イノベーションゾーン』で、われわれはケベックをこのような未来の最先端に位置づける」と述べている。
IBMによると、ケベック州ブロモンにある同社の研究施設は、半導体のパッケージングなどに用いられるシリコンフォトニクス関連の取り組みに注力する。またQuebec-IBM Discovery Acceleratorは、ケベック政府が推進するシャーブルックの「量子イノベーションゾーン」、ブロモンの「マイクロエレクトロニクスイノベーションゾーン」とも協力して取り組みを進めるという。
ケベック州のプロジェクトでは、世界で5番目となる専用のIBM量子システムが導入される。これまでに、ドイツのフラウンホーファー研究機構、東京大学でシステムが導入されているほか、クリーブランドクリニック、韓国の延世大学校でもシステムを導入する予定だ。また、イリノイ大学アーバナシャンペーン校や、英国の科学技術施設協議会(STFC)のハートリーセンターでもAcceleratorを実現している。
IBMのアクセラレーテッドディスカバリーインキュベーションのディレクターであるAnthony Annunziata氏は米ZDNetに対して、同社の目標はAccelerated Discovery(発見の加速化)と量子コンピューティング双方のエコシステムを世界各地に構築することだと述べた。同氏は、シャーブルック大学の研究施設を「世界クラス」だとし、Acceleratorはそのような取り組みに基づいて構築されると話した。
同氏は「われわれは特に、新たなバッテリーや二酸化炭素回収といった、サステナブルな応用分野での新素材を発見するプロジェクトに期待している。また、健康分野、特に疾病の新たな知見や新たな治療方法につなげられる発見を加速させることにも力を入れていく計画だ」と説明した。
「われわれはQuebec-IBM Discovery Acceleratorや、最近発表したその他の拠点で、科学に根ざす難問に対して力を合わせて新興テクノロジーを適用する、グローバルなパートナーコミュニティーを構築しようと注力している。IBMでは『発見に向けたコミュニティー』というコンセプトを推進している。このコンセプトは、難問に取り組もうとしている人々の下にわれわれのテクノロジーと専門性を提供し、さまざまな分野の人々を結集させようというものだ」(Annunziata氏)
IBMのシニアバイスプレジデントでリサーチ担当ディレクターのDario Gil博士は、Quebec-IBM Discovery Acceleratorについて、量子コンピューティング、AI、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を組み合わせて利用することで、大規模な問題に取り組むイノベーションのオープンなコミュニティーを構築する広範な取り組みの一環だと述べている。