産業界にクラウドモデルを展開するシーメンス–日産の導入も発表

今回は「産業界にクラウドモデルを展開するシーメンス–日産の導入も発表」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Siemensは8月30日、6月にドイツで発表したデジタル基盤「Siemens Xcelerator」に関する日本のメディア向け説明会を開き、ITと制御系技術(OT)を融合させる新たな事業戦略の展開を表明した。また、日産自動車へのSiemens Xceleratorの提供も発表した。

 Siemens Xceleratorは、同社の産業制御システムを利用する製造やエネルギー、建設、運輸などの業界向けに展開するオープンなデジタル基盤と位置付けられている。各種業界で利用されるアプリケーションやソフトウェアをSaaSモデルで提供するほか、産業制御システムやセンサーなど現場で使われるエッジデバイスからのデータを活用する「デジタルツイン」の基盤の役割も有する。

 Siemens Xceleratorを展開する上で同社は、IT各社とも協業する。協業ソリューションの第一弾として、NVIDIAの3次元設計コラボレーション基盤の「NVIDIA Omniverse」と接続し、産業用メタバースを提供していくことにしている。なお同社は、以前に産業向けIoT基盤の「MindSphere」を展開していたが、今回IoTモジュールとしてSiemens Xceleratorに統合したという。

 説明会の冒頭で同社取締役 デジタルインダストリーズCEO(最高経営責任者)のCedrik Neike氏は、現在の産業界が気候変動とコロナ禍、国際紛争の3つの事象がもたらす急激な情勢の変化に直面し、デジタルを活用したイノベーションを推進しなければならないと説いた。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)をはじめとする変革の実現は、あらゆる業界の企業に共通する課題だが、Neike氏によれば、同社として産業制御システムという物理的なインフラを主体にした独自性の高いデジタルビジネスを推進したものの、現在ではよりオープンで豊かなエコシステムを特徴とするデジタル基盤の提供に方針を転換。IT業界ではおなじみのクラウドモデルを取り入れたSiemens Xceleratorの展開に至ったとする。

 一方で、Neike氏は、IT業界側が掲げるようなデータやソフトウェア中心のテクノロジーだけでは、物理空間とサイバー空間の融合によるイノベーションの実現が困難だとし、同社が有する産業制御システムなどの巨大な物理インフラを組み合わせられる点に強みがあるとした。IT側のテクノロジーやビジネスモデルを活用しつつ、物理空間の膨大なデータを活用するデジタルツインの基盤が同社の新たなデジタル戦略の中核になるとした。

 「1つの工場から得られるデータは、毎月2.2テラバイトにもなるが、ほとんど活用できていない。これを活用するための基盤がXceleratorであり、オープンなエコシステム、オープンなAPIを通じたデータ連携を可能にする。あらゆる関係者がアクセス可能な基盤であり、多様で豊富なデータによるシミュレーションを通じてコラボレーションを図り、イノベーションを実現していける。Siemensはあらゆるものをつなげることができる」(Neike氏)

 また、グローバルセールスおよびカスタマーサクセス担当エグゼクティブバイスプレジデントのBob Jones氏は、同社が約15年に渡って100億ユーロもの投資を継続し、デジタルソフトウェア企業に変革したと説明。同社のデジタル基盤によって、顧客やパートナーが現実空間のデータをサイバー空間のシミュレーションに取り込み、シミュレーション上でさまざまな改善を試行して成果をすぐ現実空間の物事に反映できるとした。

 特に中小企業に向けては、かつてなら人や資金などの制約によって先進的なアプリケーションやソフトウェア、データ活用基盤などを導入できなかったが、「Xceleratorのアズ・ア・サービスモデルによって柔軟で迅速な導入を可能にする」とアピール。顧客事例として、成層圏の気球飛行ビジネスの実現を目指すスタートアップのSpace Perspectiveを挙げた。同社は、Amazon Web Services(AWS)のIaaSとSiemensの設計SaaSを組み合わせ利用し、成層圏を航行可能な気球の複雑な設計をリーズナブルに行えているという。

 併せて発表された日産との協業では、日産の新型電気自動車「アリア」の生産ラインの立ち上げをSiemensが支援した。この生産ラインにSiemensの制御システムなどが導入され、Xceleratorとセキュアに連携して、デジタルオートメーションを推進していくとしている。

 Neike氏によれば、現状では同社顧客の約15%がデジタルツイン環境を導入しているといい、今後3年間で3倍の増加を見込んでいる。産業用メタバースは、デジタルツインにおけるソリューションの一例であり、「メリットは多種多様な要素を1つに統合できること、人工知能(AI)などの要素技術を自在に組み合わせられることだが、実は文化を変革する。研究開発やエンジニアリングといった現実空間では分断されている組織が仮想空間では1つに(協働できるように)なる」などと、同社が新たなデジタル戦略を推進する意義を強調した。

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