AIの普及はローコード/ノーコード開発にどのような影響を与えるのか

今回は「AIの普及はローコード/ノーコード開発にどのような影響を与えるのか」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ローコード/ノーコード開発市場はすでにかなりの大きさになっているが、今後はさらに拡大するとみられている。これらのツールに人工知能(AI)アシスタント機能が加われば、市場の成長はさらに速まるかもしれない。

 ForresterのアナリストJohn Bratincevic氏らの調査によれば、世界のローコード/ノーコード開発の市場規模は132億ドル(約2兆円)に達しており、2019年以降、平均約21%の年間成長率で拡大しているという。同氏は、これだけの成長を見せているのは「IT部門におけるローコード開発の制度化」が進んでいるためであり、企業の開発者の87%がローコード/ノーコード開発のツールやプラットフォームを使用していると述べている。Bratincevic氏は、シチズンデベロッパーへの普及が進めば2028年には市場規模が約300億ドル(約4兆5000億円)になる見込みであり、「開発の大衆化はIT部門以外の労働者にも及んでおり、そのペースが減速する兆しはない」とも付け加えている。

 この勢いをさらに加速させる可能性がある重要な要素がAIで、今後4年間で市場規模が500億ドル(約7兆5000億円)に達する可能性があるという。ただしこれは、AIがシチズンデベロッパーの増加に繋がるケースであり、同氏は逆に、「AIを組み込んだ開発プラットフォーム(TuringBots)によって、従来のハイコード開発の生産性が高まり、プロの開発者がローコードを拒否して、すべてをハイコード開発に戻す可能性もある」とも述べている。

 Bratincevic氏は、AIとローコード/ノーコード開発プラットフォームの統合によって健全に市場が成長していけば、AIがこの市場に与える影響は、その2つの間のどこかに落ち着くのではないかと考えているようだ。

 ただし、ローコード開発プラットフォームでAIアプリケーションが実現できるかどうかは(シチズンデベロッパーやプロの開発者にその準備が整っていると仮定して)難しい問題だと言える。なぜなら、そのためには優れた開発スキルが必要になるからだ。OutSystemsの共同創業者であり同社のAI責任者を務めるRodrigo Coutinho氏は、Amazon Web Services(AWS)が最近配信したポッドキャストで、「生成AIを使った開発で使われている言葉は、本当の意味では英語ではない」と述べている。

 「(生成AIを開発で利用するには)そのための英語の方言を覚えなければならない」と同氏は言う。「今のところ、それにはプロンプトエンジニアリングのコースを受講する必要がある。これは、機械が理解できる話し方を覚える必要があるからだ。使っている単語は同じでも、人間と話すときとは話し方は違う」

 この言語の壁が、以前から期待されてきたソフトウェア開発の大衆化を妨げる可能性がある、と同氏は言う。「その話し方は、C#やJavaScriptほどは複雑ではない。しかし、開発のために言語を覚える必要があるという点では同じだ」

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