オラクル、「Oracle Database 23ai」をクラウドで提供開始–AIベクトル検索などの機能強化

今回は「オラクル、「Oracle Database 23ai」をクラウドで提供開始–AIベクトル検索などの機能強化」についてご紹介します。

関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 日本オラクルは5月9日、データベースソフトの最新版「Oracle Database 23ai」を同社のクラウド環境から提供すると発表した。グローバルでは米国時間5月2日に発表している。Oracle Database 23aiは長期サポートリリースであり、「Oracle AI Vector Search」のほか300を超える主要機能が追加されている。

 現在、Oracle Database 23aiは「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上の「Oracle Exadata Database Service」「Oracle Exadata Cloud@Customer」「Oracle Base Database Service」「Oracle Database@Azure」で利用可能となっている。

 Oracleでデータベース・プロダクト・マネージメント担当バイスプレジデントのJenny Tsai-Smith氏は9日の記者説明会で、「アプリケーション開発の迅速化」「ミッションクリティカルなデータ」「データのためのAI」の切り口で新機能の一部を紹介した。

 「アプリケーション開発の迅速化」ではまず、リレーショナルモデルとドキュメントモデルの両方のデータモデルの利点を統合する「JSON Relational Duality」が挙げられた。これは、アプリケーションのデータ使用方法とリレーショナルデータベースのデータ格納方法のミスマッチに対処するものになるという。「JSON Relational Duality Views」を活用することで、アプリケーション開発者はデータに対して単一のデータモデルを選択する必要がなくなるというメリットがある。

 もう一つは「Operational Property Graph」で、アプリケーション開発者はプロパティーグラフクエリー(PGQ)を使用して、データ間やデータ内のつながりを追跡するアプリケーションを構築できる。アプリケーション開発者は業務データ上で直接グラフモデルを定義し、新しいISO標準SQL/PGQ構文を使用してグラフにクエリーを実行可能になる。これにより、複数の金融取引のようなデータ間の接続、パターン、関係を分析するアプリケーションを簡単かつ迅速に作成できるという。

 「ミッションクリティカルなデータ」については、「Oracle Globally Distributed Database with RAFT」「Oracle True Cache」「データベース内SQLファイアウォール」の3つが紹介された。

 「Oracle Globally Distributed Database」は、クラウド上のデータを1つのデータベースではなく複数の場所にある複数の物理データベースに分散して格納しながら、アプリケーションに対しては単一のデータベースイメージを提供することを可能にする。今回、これらの物理データベース間にRAFTレプリケーションを導入し、データ損失ゼロの自動フェールオーバーを可能にする。データベース内部のレプリケーションをRAFTベースのプロトコルで統合することで、フォールトトレラント(耐障害性の高い)な分散データベースの作成と管理を簡素化する。また、アクティブ/アクティブの可用性を維持するための手動プロセスの必要性を低減するとしている。

 Oracle True Cacheはインメモリーで動作し、一貫性を維持しながらアプリケーションに対して透過的かつ高性能な中間層キャッシュとして機能する。データベースサーバーの負荷を軽減しながら、アプリケーションの応答時間を短縮できる。トランザクションにおけるあらゆる時点でのデータの一貫性が自動的に保持される点を特徴としている。

 データベース内SQLファイアウォールは、SQLインジェクション攻撃を含む不正なSQLからデータベースを保護する機能になる。Oracle Database 23aiには「Oracle SQL Firewall」が組み込まれており、ハッカーや侵害された内部アカウントからのリスクに対処するためのソリューションを提供する。また、「Oracle Data Safe」を活用して複数のSQLファイアウォールを監視できるようになっている。

 「データのためのAI」の目玉機能がAI Vector Searchになる。AI Vector Searchを活用することで、特定のキーワードやデータ値ではなく、概念(セマンティック)を理解してドキュメント、画像、データなどの情報を検索可能になる。大規模言語モデル(LLM)を活用して、自然言語でのクエリーにより、非公開のビジネスデータからより正確で関連性の高い結果を抽出できる。ビジネスデータとベクトルデータを同一のデータベースで格納・処理することで、AI Vector Searchを既存のビジネスアプリケーションにスムーズに統合することができ、データの安全性を維持しながら、AIのユースケースを実装可能になるとしている。

 ほかにも、アプリケーションが膨大なデータセットと大規模なユーザーベースに対してAIベクトル検索を実行できるようにする「Oracle Exadata System Software 24ai」、異なるベクトルストア間でリアルタイムにベクトルデータを複製できるようにする「OCI GoldenGate 23ai」などの新機能も紹介された。

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