NTTデータグループの2023年度決算は増収、2025年度売上目標を4.7兆円に上方修正
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NTTデータグループは5月9日、2023年度(2024年3月期)の通期連結業績とともに、2025年度の連結売上高で4兆7000億円を目指す計画を発表した。2025年度は、4カ年の現中期経営計画の最終年度に当たり、これまでの計画では4兆円超としていたが、2023年度実績で当初計画を超える4兆3700億円を達成しており、4兆円“超”の幅を拡大した格好だ。
記者会見した代表取締役社長の本間洋氏は、「日本セグメントの堅調な成長やNTT Ltd.の連結拡大の影響によって、2025年度はさらに事業を拡大し、4兆7000億円の売上規模を目指す。同時に稼ぐ力を高め、質を伴った成長を目指す。経営目標達成に向けて全社一丸となって取り組む」と力強い成長ぶりを示して見せた。
中期経営計画で連結営業利益率10.0%や海外EBITA率10.0%、年間売上高50億円以上となる顧客基盤で120社獲得を目指すなどの目標を打ち出してきたが、これらの目標に変更はない。しかし、売上高が拡大すれば、当然ながら連結営業利益率10.0%の着地点も高まることになる。また、NTT Ltd.の連結によって海外事業の売上拡大が貢献しているだけに、海外EBITA率10.0%も、絶対値としては当初計画より拡大する。今回の発表は、事実上の上方修正といっていい内容に見てとれる。
今回発表した2023年度の通期業績を見ても、高い成長を遂げていることが分かる。売上高は前年比25.1%増の4兆3673億円、営業利益は同19.5%増の3095億円、税引前利益は同2.4%増の2486億円、当期利益は同10.7%減の1338億円、当期包括利益は同35.4%増の3008億円となった。また受注高は、NTT Ltd.を除き前年比75.8%増の4兆7909億円となっている。
売上高は、富士通の3兆7560億円、NECの3兆4773億円を上回る規模であり、NTTデータグループの成長ぶりが浮き彫りになった。本間氏は、「NTT Ltd.の連結化による売上拡大と為替影響などにより増収となった。日本と欧州の事業が好調に推移したことも業績拡大に貢献している。受注高は公共・社会基盤、金融、北米における大型案件の獲得などがあり、大幅に増加した」と語る。
当期利益は前年割れだが、データセンター投資の拡大に伴う有利子負債の増加、金利上昇による金融費用の増加、税金費用の増加があったことが原因だ。この数値だけでは、業績予想に対しても未達となっている。だが本間氏は、積極的なデータセンター投資を継続する姿勢を示す。
2023年度実績で3905億円のデータセンター投資を行い、インドやドイツ、米国、マレーシアの13のデータセンターでサービス提供を開始した。2024年2月には、東京センチュリーのグループ会社と米国シカゴのデータセンター事業について共同運営することを決定。さまざまな角度からデータセンター投資を進めているところだ。
「データセンターは、旺盛な需要を背景にして高い市場成長を見込める。NTTデータグループとしても、成長市場でしっかりとマーケットポジションを獲得するための投資を勧め、2024年度も2023年度と同等規模のデータセンター投資を行う」と語った。
現在30都市・約120棟のデータセンターにおいて、約1120メガワット(MW)規模のサービスを提供している。「データセンターの世界シェアは6%であり、3位のポジションにある」と本間氏は自信を見せた。実は、投資を除いたデータセンター事業の2023年度の売上高やEBITDA、EBITDA率は、2025年度の計画を既に上回っており、その点でも好調ぶりが分かる。
「データセンターは社会インフラになっていく。生成AI需要を確実に取り込むべく、積極投資を継続する。投資はレバレッジを効かせているが、投資回収には一定期間を要するため、ROICやNet Debt EBITDA倍率は一時的に悪化する。稼ぐ力の拡大とREITを活用したデータセンター資産の流動化を柱に、2025年度における投資収益性の回復と財務健全性の確保を目指す」とも本間氏は語った。
2024年度の当期利益も、積極投資の継続に伴う金融費用の増加の影響を受けると見ているが、増益を計画しているという。データセンター投資は、最終利益にマイナスの影響を及ぼす要素だが、将来に向けた投資として同社に手綱を緩めるつもりはないようだ。