AI専門組織を設置する日本企業は米英独の半分–ガートナーが分析
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ガートナージャパンは5月9日、AIへの組織的な取り組み状況に関する調査結果を発表した。それによると、AI専門組織を設置している日本企業は38%で、比較分析した米国、英国、ドイツの76%の半分にとどまっていることが分かった。12カ月以内の設置予定でも米国、英国、ドイツの23%に対して日本では8%にとどまっている。
この結果は、ガートナーが2023年10~12月に米国、英国、ドイツで企業の役職者703人を対象に行った調査と、2024年1月に従業員100~999人の日本企業の役職者400人を対象に実施した調査および同2月に大企業中心層446人を対象に実施した調査を分析したものになる。
これについて同社シニア ディレクター アナリストの一志達也氏は、海外企業と比べて日本企業のAI専門組織の設置は、現時点で半分、1年後にはさらに差が広がると指摘し、「このことがAIによる価値の創出や企業競争力に直結するとは言い切れないが、組織的なAI活用の進展には少なからず影響すると見るべき」とコメントした。
同氏は、日本企業のAIに対する興味や関心が海外企業並みに高いと想定しつつ、この結果は企業としての姿勢や取り組み方の違いと見ている。
日本は、AIに限らず専門性を自社に備えて内製するのではなく外部に委ねようとする傾向があるとし、同氏は「ここで問題となるのは、『誰が、組織としてAIを活用する機会を探求するのか』。AIの価値を引き出して日々の活動に定着させるには、誰かしらがリーダーとなり、一定の専門性を備えたチームを構成して、外部リソースの活用と内部の取り組みを、責任を持って推進する必要がある」と指摘する。
調査からAI専門組織の主なリーダーは、海外では最高情報責任者(CIO)、最高技術責任者(CTO)、最高データ/アナリティクス責任者(CDAO)なのに対し、日本ではIT部門幹部、CIO、事業部門の幹部になっていた。
また、AI開発に必要な人材とスキルの現状では、十分確保できているのが海外では22%、日本の中堅企業では10%、日本の大企業では7%だった。一方で、人材不足としているのが海外では26%なのに対し、日本の中堅企業では34%、日本の大企業では64%にも上っている。
同社は、人材不足を補うには、既存人材の教育、外部採用、外注のいずれかだとした。調査で人材を必要に応じて確保できるという回答は、海外では52%、日本の中堅企業では56%だったが、日本の大企業は29%と大幅に少なく、大企業では人材の枯渇感が強い状況にあった。
AI技術導入時の障壁について、日本の大企業では「人材の不足」「データの収集や品質の問題」「技術的なスキルの不足」が突出して高く、日本の中堅企業では「人材の不足」「AIのユースケースが見つからない」「事業部門を巻き込めていない」「プロジェクトの計画の問題」が上位だった。海外では突出した回答がなく、AIモデルに対する信頼不足、AIの倫理・公平性・偏見に対する懸念などが多かったという。
一志氏は、日本企業もAI専門部門を設置しているところでは、複数の事業部門で複数の業務プロセスにAIを適用している割合が海外並みであるなど引けをとっていないと指摘する。しかしながら、調査に回答した企業の過半数がAI専門部門の設置すら検討せず、AIの試験的な運用段階にとどまっている割合も突出して高いとして警鐘を鳴らしている。