教員と生徒のニーズに応えるカシオの教育事業–「ClassPad.net」の軌跡

今回は「教員と生徒のニーズに応えるカシオの教育事業–「ClassPad.net」の軌跡」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 電卓をはじめ、電子辞書や電子楽器、時計など、教育の場でCASIOのロゴを目にしたことがある人は少なくないだろう。カシオ計算機の教育事業は、1972年に関数電卓「fx-1」の発売から始まり、1985年にはグラフ関数電卓、1996年には電子辞書「EX-word」の第一号機を発売した。

 新型コロナウイルス感染症の拡大を機に教育現場の姿や在り方は変化し、デジタル端末を用いた授業やデジタル教科書の利用、オンラインによる学習などが広まっている。同社では、2018年にクラウド型学習サービス「ClassPad.net」を海外向けに提供。2021年9月から日本国内でのサービス提供を開始した。電卓や豊富な辞書と学習コンテンツを搭載したアプリとして小・中・高・大学に展開している。同社 EdTech事業部 EdTech開発部 商品戦略室 リーダーの米原哲也氏と同部 UX開発室の隅岡大輝氏に話を聞いた。

 カシオ計算機における教育事業のステイトメントは「Boost your Curiosity」。日本語にすると「学びの支援を行い、あなたの学びへの好奇心を高める」という意味になる。米原氏は、「私たちは教師ではないが、(ツールの提供を通して)支援を行うことで、学ぶ人の好奇心を高めて学びを発展していく、これが教育の中で最も重要だと考えている」と説明した。

 同社の製品は、ユーザーのニーズをもとに開発やアップデートが行われる。グラフ関数電卓においても、数学教諭の「数式では理解しづらいため、グラフ化できると理解が深まる」という意見からグラフが描画される電卓を開発したという。また、電子辞書においても、英語や国語の授業で利用する辞書は重く持ち運びづらいという声や、一つの単語を多角的に調べたいというニーズから、複数の辞書を搭載した電子辞書を開発した。

 長年にわたる取り組みから、同社ではグラフや関数をベースとした理系と電子辞書をベースとした語学系の教育を中心に、ユーザーのニーズに応えたサービスを展開。これらのサービスをクラウド上で提供したのが、ClassPad.netになる。

 同サービスの特徴は、オールインワンのICT学習アプリであることだと米原氏は強調する。「オンライン辞書機能」「デジタルノート機能」「授業支援機能」「学習ツール」を一つのプラットフォームに搭載しているため、アプリを切り替えることなくスムーズに使えることも利点だ。アカウントを登録すれば、学習用のPCはもちろん自身のスマートフォンや自宅のタブレットなどさまざまな端末からアクセスできるため、通学中や自宅でも学習を進められる。

 デジタルノート機能は、ノートにさまざまな「ふせん」を貼り付けることができる。ふせんは、文字を入力できる「テキストふせん」や、撮影した写真・動画を取り込み、書き込みができる「カメラふせん」、参照したページのリンクを貼り付けることができる「リンクふせん」、辞書で調べたことを残す「EX-wordふせん」など多岐にわたる。ふせん機能を活用することで、板書の手間を省き、自分で調べてまとめるという生徒の思考力の向上にも期待できる。

 生徒がまとめたふせんは、授業支援機能を活用して教員やほかの生徒に送信することもできる。これにより、教室内やグループ内での調べ学習を容易に共有ができるとしている。また、ふせんを利用して教員と生徒間で課題を送受信でき、教員はフィードバックを記入して返却することが可能だ。課題の提出期限を設定することで生徒の提出忘れを防止するほか、即座に収集できるため教員の手間を省くことも期待できる。

 学習ツールでは、「数学」「英語」に関して豊富な機能を搭載しているという。数学の学習では「ClassPad Math」を活用して、簡単にグラフや図形を画面上に描くことができる。また英語では、文法の理解を支援する「enHack 全力英語」や、発音判定・矯正指導を行う「プロンテストコール」を通して「読み・書き」のほかに「話す・聞く」のスキル向上を目指すことができるとしている。

 ユニークな取り組みとして、ある高校では「探究的な学び」でClassPad.netを活用し、地域をピーアールする提案を行った。生徒一人一人が地域活性化に向けてキャラクターを作成し、グループによる討論や教員からのフィードバックを重ねて成果物を展示した。教員からは、「探究学習は成果物だけでなくプロセスを含めて評価をすることが難しかったが、ClassPad.netを利用することで生徒の作成過程が履歴として見ることができ、途中経過を含めた評価がしやすくなった」という声が挙がったという。

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