「Solus 4.6」レビュー–初心者に特にお薦めの使いやすい「Linux」ディストロ
今回は「「Solus 4.6」レビュー–初心者に特にお薦めの使いやすい「Linux」ディストロ」についてご紹介します。
関連ワード (さまざまなLinuxディストリビューションの世界、特集・解説等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
筆者は時々、「人々が『Linux』を使わないのはなぜなのか」という疑問について考えることがある。多くの場合、Linuxについてあまり知らないことがその理由である。2つ目の理由は、LinuxがプリインストールされたPCを販売する大型店を見つけるのが難しいことだ。3つ目の理由はコマンドラインである。そう、コマンドラインだ。
考えてみてほしい。「Windows」に関連するさまざまな欠陥やセキュリティ問題、コストを回避するために使用できる素晴らしいOSが存在するが、そのOSでは、コマンドラインの使用を余儀なくされる可能性もある、と誰かに伝えたらどうなるだろうか。
読者の皆さんが、コマンドラインを使いたがる初心者ユーザーに最後に出会ったのはいつのことだろうか。おそらく、そんな初心者ユーザーに遭遇したことは一度もないはずだ。
だからこそ、筆者は初心者ユーザーに適したLinuxディストリビューションを検討するとき、コマンドラインを使用する必要があるかどうか、そして、必要な場合はどのように使用すればいいのかを常に確認するようにしている。そのため、レビュー期間中は、対象のディストリビューションが実用に耐え得るかどうか確認するために、コマンドラインの使用を意図的に避けることにしている。
幸い、「Solus」の開発元が公開した最新リリースは、とても使いやすかった。そのため、筆者はSolusのテスト期間中、意図的にターミナルウィンドウを開くことさえしないようにした。
正直、ターミナルウィンドウを使う必要がなかったことに驚いた。もちろん、使用することもできたが、重要なのは、使用を余儀なくされる場面があるかどうかということだ。
筆者はSolusの「Budgie」版をダウンロードした(Budgieに愛着を抱いているため)。そして、このディストリビューションは、「Windows 8」や「Windows 10」「Windows 11」からLinuxに乗り換える人にとって理想的な環境であると感じた。
筆者がBudgieデスクトップを愛用しているのは、心ゆくまでカスタマイズできるからだ。Windows風のデスクトップが好みの人も、Budgieでニーズに対応できる。「macOS」風のレイアウトが好みの人も、設定オプションをいくつか調整するだけでいい。
ただし、初心者ユーザーの場合は、とりあえずBudgieをそのまま使用した方がいいだろう。初期状態のBudgieの使い方に慣れた後で、設定を変更してほしい。興味のある人のために紹介しておくと、macOS風のデスクトップに変更したい人は、以下の手順を実行するといい。
これでmacOS風の見た目になったはずだ。
それでは、Solusのレビューに戻ろう。
筆者は、以前にもSolusを使用したことがあり(そのときもBudgieデスクトップと組み合わせて使用した)、使っていて楽しいといつも感じていた。Solusは、ユーザーに対する先入観を一切持たずに設計されたLinuxディストリビューションの1つなので、非常に一般的なデスクトップOSという印象を受ける。それは良いことだ。
Solusは誰でも使用できる。Linuxの経験が全くない人にとって、Solusは生産作業や娯楽、創造に必要なものをすべて備えた典型的なOSだ。足りないものがある場合は、「ソフトウェアセンター」からアプリをインストールできる。
ソフトウェアセンターでは、アップデートを適用したり、サードパーティーアプリ(クローズドソースのものも含まれる)をインストールしたりすることも可能だ。
ソフトウェアセンターの「サードパーティー」セクションからは、「Android Studio」(「Android」の開発環境)、「EnPass」(パスワードマネージャー)、「GitKraken」(「Git」のGUIツール)、「Google Chrome」「Google Earth」「Insync」(ファイル同期ツール)、「Moneydance」(財務管理ソフトウェア)、「Ocenaudio」(オーディオエディター)、「Plex Media Server」「Slack」「Spotify」「Sublime Text」「TeamViewer」などのアプリをインストールできる。
Solus 4.6の差別化要因は、これといった差別化要因があまりないことだと思う。少し矛盾しているように聞こえるが、次のように考えてみてほしい。Solusの開発元は、複雑さや見慣れない要素が全くなく、普通に機能するOSを作り上げた。
Windowsユーザーはコマンドラインを扱う必要がないのに、なぜLinuxユーザーにコマンドラインが必要なのか。Linuxユーザーがコマンドラインを使わなければならないという道理はない。それこそがSolusの存在意義だ。ターミナルが不要であることに加えて、SolusのBudgie版には、Linuxによくあるおまけ的な機能も搭載されておらず、実用的なデスクトップに仕上がっている。
確かに、筆者は多種多様な機能を備えたLinuxデスクトップディストリビューションが大好きだが、基本に立ち返って、きちんと機能するディストリビューションを使用するニーズがあることも理解している。Solusはまさにそのニーズに対応したディストリビューションだ。
Linuxディストリビューションが初心者ユーザーに適しているかどうかを検討するとき、筆者はそのディストリビューションをWindowsと比較して、一方から他方に乗り換えるのが簡単かどうかを確認する。ユーザーがLinuxにWindowsアプリケーションをインストールしたいのかどうか、または、インストールする必要があるのかどうかも考慮に入れる。Windowsアプリケーションを使用するには、「Wine」(とほかのいくつかのもの)が必要だ。
Solus 4.6の開発元は複雑な要素を導入しないように努めている。平均的なデスクトップユーザーはブラウザー内でほぼすべての作業を実行する。そうしたアプローチのおかげで、Windowsアプリをインストールする必要性は大幅に低くなっている。ブラウザーウィンドウ内から、生産作業に取り組んだり、娯楽を楽しんだり、銀行取引を行ったり、スケジュールを管理したりすることなどが可能で、ほぼどんなニーズにも対応できる。
そうした観点から見ると、その作業を実行するのに超高性能のOSは必要ない。正常に機能するOSがあれば十分だ。そして、Solus 4.6のBudgie版はまさにその役割を立派に果たす。
筆者の見る限り、Solusに欠けているものは何もない。
初期状態で、「Firefox」「LibreOffice」「Celluloid」(動画プレーヤー)、「Hardware Drivers」(ハードウェアのドライバーのインストールや削除に使用する)、「Rhythmbox Music Player」などのアプリを備えている。興味のある人のために紹介しておくと、Solus 4.6にはカーネル6.10.13-304が搭載されている。最新リリースではないものの、優れたハードウェア検出機能やパフォーマンス、セキュリティを提供する新しいカーネルだ。
注意事項もある。Solusはパッケージマネージャーの「apt」や「dnf」を使用する代わりに、「eopkg」ツールを採用している。この事実を軽く紹介するだけにとどめたのは、コマンドラインの使用があたかも任意であるかのようにSolusにアプローチすることが本記事の目標であるからだ。
ただし、コマンドラインを使いたい人は、eopkgについて詳しく調べる必要がある。eopkgを使うのは、驚くほど簡単だ。例えば、「Audacity」オーディオエディターを「Ubuntu」にインストールするには、以下のコマンドを使用する。
Solusでは、そのコマンドは以下のようになる。
Linuxに少しでも興味がある人には、Solus 4.6(特にBudgie版)を試してみることを強くお薦めする。すぐに使いこなすことが可能で、使用していて楽しいと感じるはずだ。Solusは、Linuxの経験が全くないユーザーから、何年も経験のあるユーザーまで、ほぼどんなユーザーにも最適な選択肢だ。
Solusは、優れたバランスと使いやすさを備えており、高い信頼性と安全性、パフォーマンスを提供する。愛さずにはいられないディストリビューションだ。