横須賀の空、牛丼が飛ぶ 吉野家らがドローン配送実験
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神奈川県横須賀市内で6月に行われたドローンを使った食べ物の配達実験では、作りたての牛丼が市内の高度約50mの上空を約5kmにわたって飛び、医療業務に奔走する病院スタッフのもとに、できたてアツアツの状態で届けられた。ドローンで医療従事者に食べ物をオンデマンド(注文対応)配送する実験は国内初という。ドローンや自動走行ロボット(UGV)などの無人機が行き交い、人々の暮らしを支えるといった近未来型の都市像を描く同市が、実現に向けてまた一歩踏み出した。
実験は県と市、同市立市民病院、ドローンの開発・運航会社のエアロネクスト、牛丼チェーンの吉野家、フード宅配業の出前館、通信業者のアクセスの7者が協力して実施した。
型崩れせずに
実験の工程は、市民病院のスタッフが昼食時間帯にスマートフォンのアプリで牛丼を注文、約5km先で待機する吉野家のキッチンカーで牛丼を調理・箱詰め、出前館のスタッフが約200m先の離陸地点(立石公園)に運び、ドローンに搭載。公園内から離陸させ、海上・陸上を自律飛行し、病院の屋上でスタッフが受け取る──という段取り。
今回は、午前から午後にかけて2回のフライトを実施し、ともに成功を収めた。いずれのフライトでも、箱詰めされた4つの牛丼は平均高度約50mで海上・陸上を飛行。12、13分かけて病院屋上に到着し、注文した病院スタッフが受け取った。
”空飛ぶ牛丼“をその場で試食した臨床工学技士の橋口宗矢さんは「(牛丼が)型崩れすることもなく、しかもアツアツで届いた」と驚き、看護師のクォン・ヘリムさんも「院外に出る時間を取られず便利。実用化されたらとてもいいサービスだ」と期待した。
同院管理者(院長)の北村俊治さんは「食べ物に限らず、災害時の病院への物資輸送などに応用できそうだ。市の取り組みに参加できてうれしい」と話した。
実用化に課題も
ドローンの機体は約170(幅)×140(奥行き)×45cm(高さ)。80サイズ(3辺計80cm以内)の段ボールを搭載し、重さ約5kgまでの荷物を積める。飛行速度は時速約25〜30km、航続距離は約20km。物資輸送の幅広い利用が期待されている。
機体を開発したエアロネクストの田路(とうじ)圭輔社長は「国内で年間に運ばれる荷物約45億個のうち、約44%に当たる約20億個が80サイズ以下。大きな商機となるだろう」と見込む。ドローン輸送は国も推進している。
6月、改正航空法が可決・成立。政府は22年度をめどに、「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」(レベル4飛行)の実現を目指しており、新たなインフラ化への期待が高まる。
ただ、実用化に向けては課題も少なくないようだ。田路社長は「機体の安定性を確立し、荷物を崩さずに飛ばすことができる」と自信を見せるが、「ドローンスタッフの育成や質向上が必要になってくる」という。
市創業・新産業支援課の松尾秀敏課長は「機体を意外に大きく感じる人もいるだろう」と感想を述べ、「安全運航は大前提。公道や人家の上空を通るので、住民の理解を得る必要がありそうだ」と見込む。
高齢者も安心
一方、出前館の清村遙子取締役は「無人機への搭載の仲介など、さまざまな形態の配達に対応できるよう、配達員の教育に力を入れていく」と意気込む。横須賀市がドローンやUGVなどの無人機によるサービスに力を入れる背景には、「谷戸」と呼ばれる高低差のある地形が市内に点在するという事情がある。
生活シーンでは坂道や階段を上り下りする機会が多く、高齢化の進行によって買い物困難者のさらなる増加が予想されているからだ。そうした中、無人機の活躍は、社会課題を解決すると同時に、近未来型の都市像を実現する足がかりにもなるとして市が期待を寄せており、公道を使ったUGVでの配送実験も並行して進めている。
市では「高齢者も安心して暮らせるまちづくりを目指している。横須賀の谷戸から谷戸をドローンが飛び交う未来を想像している」としており、地域の課題解決に向けた取り組みは着実に進んでいるようだ。
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