「PowerPoint」スライドが企業の戦略を左右する?

今回は「「PowerPoint」スライドが企業の戦略を左右する?」についてご紹介します。

関連ワード (オフトピック等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 企業の従業員の中には、自社の最高経営責任者(CEO)をはじめとする幹部らが、組織戦略の舵を握っていると考えている人もいるかもしれない。

 しかしある研究者らによると、このありふれたオフィスソフトウェアを誰が利用するかによって、組織の意思決定は大きく影響を受ける可能性があるという。

 ウォーリック・ビジネス・スクールの教授であるSotirios Paroutis氏とLoizos Heracleous氏、そしてシドニー大学ビジネス・スクールの名誉教授であるEric Knight氏は、企業における「PowerPoint」スライドの利用に関する調査を実施した。この調査では、PowerPointスライドの作成や編集を担った人々が企業の戦略的方向性に大きな影響を与えることが明らかにされるとともに、自社の戦略策定に参画したいと考える従業員はプレゼンテーションの作成に加わるべきだと示唆されている。

 この研究結果は「The power of PowerPoint : a visual perspective on meaning making in strategy」(PowerPointの力:戦略の意味付けにおける視覚的な観点)という論文として発表された。そこでは、スライド作成に用いられたテクニックが戦略にまつわる会話に影響を与え、その後どのような行動が採られるかを左右したことが明らかにされている。

 この論文には「われわれの研究結果では、視覚に訴えかけられるPowerPointスライドを作成する人は、戦略的方向性を左右する力を手にしていることが示唆されている。PowerPointの視覚的機能は、戦略に関する会話の方向性と、その後の活動と密接に結び付いている」と記されている。

 また、「PowerPointのスライドを作成、編集する人は、この戦略の方向性に強い影響を与える。このため、PowerPointの力を最大限に引き出すような利用方法は、マネージャーが戦略に対する取り組みの性質とペースを形成していく上で必要不可欠だ」とも記されている。

 このリサーチャーらは、スライドのドラフト(草稿)パックをベースにして、さまざまなマネージャーのグループがそれらを発展させていくのは、社内でよりオープンな戦略プロセスを生み出す上での優れたアプローチになると主張している。

 Paroutis氏は「われわれの調査から、重要な戦略的ツールとしてのPowerPointスライドが、組織の戦略を生み出す上でどのように用いられているのかが浮き彫りになっている。スライドは最終成果物ではなく、取り組みと幅広い議論を活性化するためのツールなのだ」と述べている。

 また同氏は、こういった能力が「スライド制作者の力量に依存する」ため、組織は誰をスライド制作者にし、誰を聴衆にするのかを熟考するべきだとも述べている。

 「可視化と、ビッグデータの分析が一般的になり、戦略の分析とコミュニケーションに組み込まれたPowerPointプレゼンテーションの利用が増えるとともに、マネージャーによる戦略の提示方法が本当に重要なものになっている」(Paroutis氏)

 PowerPointによるプレゼンテーションの作成(あるいは閲覧)をあらゆる人が望んでいるわけではないが、リサーチャーらはその力を過小評価するべきではないと述べている。そして「PowerPointは、陳腐化の源として批判されてきているが、われわれは正反対の見方をしている」と述べている。

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