第5回:Sales DX総点検–カスタマーサクセスで顧客とのつながりを再設計

今回は「第5回:Sales DX総点検–カスタマーサクセスで顧客とのつながりを再設計」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載も今回で第5回となります。ここまでは、マーケティング、営業、カスタマーサポート、組織や機能の在り方について述べてきました。本稿では、新しい顧客接点として、「カスタマーサクセス」はどのようにあるべきなのか、顧客とのつながりにどのような影響を与えるのかについて考えたいと思います。

 近年、従来の製品やサービスを売り切るビジネスモデルから、「サブスクリプション」や「リカーリング」と言われるような顧客と継続的につながることで、収益を上げ続けるビジネスモデルを目指す企業が増えています。

 当社は2019年10~11月、22カ国770社のテクノロジー企業を対象にオンラインで調査を実施したところ、「マーケットトレンド」「競争環境の変化」「予測可能な収益の確立」を動機として、90%以上のテクノロジー企業がサブスクリプションビジネスへの移行を検討、もしくは検討中であると回答しています(図1)。

 製造業の割合が比較的多い日本においても、これまでは製品自体の品質や性能を強みとして「よりよいモノを作ればおのずと売れる」というビジネスモデルを貫いてきました。しかし、製品やサービスのコモディティー化が進むことで、差別化が難しくなるほか、低コストで同様の製品を展開する競合の出現が収益性を大きく低下させるという状況に直面しています。また、顧客側にも変化が見られ、従来のように製品自体の価値を追求するのではなく、その製品から得られる体験価値を重視するようになりつつあります。

 このような環境の変化は、多くの企業にとって顧客とのつながり、関係性を見直す大きな転機にもなっているはずです。これまで継続的に取り引きしていた顧客が抱える課題を理解できていたか、課題に対して的確な提案ができていたか、そもそも課題を見いだせるほどの対話やつながりを構築できていたか、顧客エンゲージメントの在り方を見直す必要性に迫られている企業も少なくありません。

 例えば、エンゲージメントの高い顧客は、そうでない顧客に比べて自社製品やサービスに対する消費割合、収益、利益率などの成長率が25%も高いというデータもあります。その上、新規顧客の獲得にかかるコストは、リテンション(維持)コストの5~25倍も必要とされ、さらには、MQL(マーケティング活動によって作られたリード)の98%が失敗しているなど、新規顧客の獲得がいかに高いハードルであり、既存顧客との関係性の維持が重要であるかが見て取れます。

 では、顧客との関係性を維持するには何が必要なのでしょうか。それは「顧客への理解」を深めることです。そこで重要になってくるのが、顧客データの収集から分析までの基盤と仕組みが整備されており、さらに組織(特に営業とカスタマーサポート)同士が緊密に連携できる業務プロセスが確立されているかどうかです。売りっぱなしの営業や、受け身な対応をしているサポート部隊だと、顧客との接点が「ツギハギ」になっており、顧客データの収集や一元管理ができず、顧客への理解が進まないといった悪循環から抜け出せなくなります。

 カスタマーサクセスという言葉は、既になじみがあるかもしれません。しかし、日本においてその認知度や組織の中でうまく機能している事例は少ないのが現状です。

 カスタマーサクセスとよく似た用語でカスタマーサポートがありますが、これは顧客に問題や課題が発生した際、適切かつ迅速に問題解決をサポートすることで、顧客満足度(CS)を維持・向上させることが主な役割です。そのため、顧客との関係性は単発的かつ断続的だといえます。

 一方、カスタマーサクセスの役割は、顧客を成功に導くことで顧客生涯価値(LTV)を最大化することです。そのためには、顧客が目指すべき成功像や実現の課題を知り、共に課題を解決する必要があります。これにより、顧客との関係性は先見的かつ継続的なものとなります。

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