ソフトバンク子会社、生成AIでコンタクトセンターを変革–顧客対応を次のステージへ
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ソフトバンクの子会社であるGen-AX(ジェナックス)は1月23日、生成AI SaaS「X-Boost(クロスブースト)」の提供を開始すると発表した。コンタクトセンターなどの照会応答業務の効率化を支援する。
Gen-AXは、2024年7月に本格的に事業を開始したソフトバンクの完全子会社。企業向けの生成AI SaaSとコンサルティングサービスを提供し、企業のAIトランスフォーメーション(AX)を支援する。代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)の砂金(いさご)信一郎氏は「AIエージェントで新しい技術を提供し、業務を変革していくのが役割」と説明する。
X-Boostは、コンタクトセンターやバックオフィスなどでの問い合わせ対応を担う、照会応答業務を支援する生成AIサービス。問い合わせ内容を入力すると、マニュアルやよくある質問(FAQ)などの社内データからナレッジを検索し、回答案を自動生成して、オペレーターの画面に表示する。
単一のデータではなく、複数のデータを組み合わせて回答を自動生成できることが特徴。検索拡張生成(RAG)や、単語やテキストなどのデータを数値ベクトルデータに変換するエンベディングモデルなどを使い、高い回答精度を実現するほか、大規模言語モデル運用(LLMOps)により、導入企業自身がAIの精度を継続的に向上させ、自社の特性に合ったAIに「賢く育てられる」という。
「言語処理や深層学習の部分をパッケージにして、導入企業側で運用できることがポイント。企業側が自分たちで運用し、AIを育てる環境を作れるので、表面的なSaaSというよりは、裏側のLLMOpsまでを含めたプロダクトになる」(砂金氏)と導入企業側で育てられるAIであることを強調する。
使用画面は、3ブロックに分かれ、左から照会内容を記入し、履歴を参照することで、回答案が出てくる仕組み。「慣れるまでに時間がかかったり、教育に時間を割いたりするのはできるだけ避けたかった。なるべく直感的に使えるようにしたいという思いからUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)を作った」(Gen-AX プロダクトマネージャーの永野玲氏)とシンプルさにこだわる。
データは国内のサーバーで管理され、汎用AIモデルの学習には使用しないため、導入企業のデータが外部利用されることはない。現場での利用を通して、自社の業務に合ったデータの蓄積が可能だ。
Gen-AXによると、コンタクトセンターなど問い合わせ業務はトータルで10兆円の市場規模があり、その中でも内製のコールセンターや簡易窓口業務を担う9兆2000億円の市場をターゲットにしているとのこと。
ソフトバンク 専務執行役員 法人副統括 兼 Gen-AX 取締役 最高執行責任者(COO)の藤長国浩氏は「年商1000億円以上の大企業で、精密機器、自動車、ソフトウェア、カード、保険、銀行・証券、小売りの7業界に特化して提案していく。経験とノウハウ、業界の知識を深め、サプライチェーンなどに広げていきたい」と営業戦略を明かす。
会見にゲストとして登壇した日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&AIソリューション事業本部長の岡嵜禎氏は「X-Boostが特徴的なのは、業務で使える品質の回答精度を出せるか、いかにそれを運用していけるかの2つ。概念実証(PoC)と違い、業務に利用していくには継続的な改善が必要。実際に業務に携わる方がデータを改善し追加していく仕組みを導入しているのは実践的で素晴らしいポイントだと思う」と評した。
今後は、X-Boostでテキストベースの問い合わせ対応を効率化していくほか、音声の自動応答などの機能も追加していく計画。砂金氏は「2027年までに、企業とお客さまの接点がAI化される状況をソフトバンクグループがリードして作っていきたい」とした。