マイクロソフトによる「Microsoft Cloud」の説明が新鮮に聞こえたのはなぜか
今回は「マイクロソフトによる「Microsoft Cloud」の説明が新鮮に聞こえたのはなぜか」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本マイクロソフト 執行役常務 クラウド&ソリューション事業本部長の岡嵜禎氏と、BeeX 代表取締役社長の広木太氏の発言を紹介する。
日本マイクロソフトは先頃、米Microsoftのグローバルイベント「Microsoft Ignite」に合わせて日本向けに「Microsoft Ignite Spotlight Japan」を開催した。岡嵜氏の冒頭の発言はそのキーノートで、同社のクラウドサービス「Microsoft Cloud」について説明したものである。
どこが「明言」なのかというと、Microsoft Cloudの中身が変わったわけではないが、「6つのソリューション」に整理して図1のように描いてイベントで見せたのは、筆者の記憶では今回が初めてのことだ。同社はこれまで、Microsoft Cloudの全体像を説明する際には図2を用いてきた。ちなみに図2は、同社が昨年(2021年)10月に開いたイベントで表示していたものである。どう変わったかは見比べれば一目瞭然。端的に言うと、これまで(図2)は全体の構造とサービス名を記したものだったが、今回(図1)はソリューションの内容で6つに分けて見せた格好だ。
岡嵜氏は図1に示した6つのソリューションについて、それぞれ次のように説明した。
「Infrastructure」は、クラウドからエッジまでの包括的なソリューションを提供しており、インフラに必要なケイパビリティーをスピーディーに整備していくことができる。
「Digital and app innovation」は、クラウドネイティブなアプリケーションをスピーディーに構築することが可能だ。
「Data and AI」は、データベースやデータ分析、データガバナンスのために包括的に統合されたプラットフォームを提供しており、データ価値の最大化はもちろん、蓄積されたデータとAIを組み合わせて、さらにイノベーションを加速させることができる。
「Modern work」は、生産性やコラボレーション、ビジネスプロセスといった日々の業務に関わる製品を統合して提供しており、生産性を上げながらITコストを低減することが可能だ。
「Business applications」は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で、IT部門だけでなく現場の業務部門でもアプリケーションを容易に作成できるようにしたいというニーズに対応。また、ビジネスアプリケーション分野でも生産性向上とともに、よりハイレベルなユーザーエクスペリエンスを提供できるようにしていく。
「Security」は、マルチクラウドからエッジに至るまで、「ゼロトラスト」を基軸として包括的なセキュリティソリューションを提供していく。
なお、それぞれのソリューションに適用するサービスについては、同社のMicrosoft Cloud紹介サイト参照していただきたい。
さて、Microsoft Cloudの全体像を示す内容が図2から図1へ変わったことで筆者が感じたのは、「プロダクト視点から顧客視点への転換」だ。果たして、Microsoftの中で何かが変わったのか。日本マイクロソフトでは、アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)の幹部だった岡嵜氏が8月1日に入社し、今回のイベントで現職として初めて公の場に立った。衝撃的な移籍だ。それもあって、今回のMicrosoft Cloudの説明は新鮮に聞こえた。同氏がこれからどんな手腕を発揮するか。注視していきたい。