米国立研究所、核融合で画期的成果–投入量を上回るエネルギーを生成

今回は「米国立研究所、核融合で画期的成果–投入量を上回るエネルギーを生成」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 「科学分野における大きなブレークスルーの達成」がうわさされていた。そして、そのうわさは本当だったようだ。米国のローレンスリバモア国立研究所(LLNL)の科学者らは現地時間12月13日、制御環境下における核融合実験で初めて、投入したエネルギー量を上回る出力を得たと発表した。

 米国家核安全保障局(NNSA)のJill Hruby長官は同日の記者会見で、「われわれは今回、世界に大きな革命をもたらせるクリーンなエネルギー源の実現に向けた最初の、暫定的な一歩を踏み出した」と述べた。

 この成果は、カリフォルニア州サンフランシスコにあるLLNLの国立点火施設(NIF)の取り組みによって達成された。同施設は長きにわたって、核融合反応中に放出される膨大なエネルギーの利用に向け、核融合に関する研究を続けてきた。核融合は、太陽をはじめとする恒星のエネルギーの源となっている反応だ。そうした研究に取り組んでいる理由は、Hruby氏が指摘しているように、核融合によって生み出されるエネルギーが「クリーン」であるためだ。

 しかし、数十年にわたる取り組みにもかかわらず、このような核融合実験は1つの大きな壁に直面していた。その壁とは、核融合を達成するために必要となるエネルギーの量が、核融合で発生するエネルギー量を大きく上回っているというものだ。科学者らは長い間、NIFにおけるミッションの1つでもある「核融合点火」の達成を願っていた。核融合点火とは、出力されるエネルギーが、「レーザー装置を駆動するエネルギー以上となる」ような状態を意味している。

 一部の専門家は、現在稼働している核融合炉では核融合点火を達成できないとし、懐疑的な意見を有していた。しかし、NIFはゆっくりとではあるが徐々に成果に向けて近づいていった。その後、LLNLは2021年8月、1.9メガジュール(エネルギーの単位)のレーザー駆動で1.3メガジュールのエネルギーを生成し、核融合点火にあと一息というところにまでこぎ着けたと発表していた。

 そしてLLNLの科学者らが今回発表したところによると、2022年12月5日に核融合点火を達成したのだという。

 この成果は総じて喜ぶべきものであり、数十年にわたる科学研究と地道な進歩が積み重ねられた集大成と言えるだろう。こういった形式の核反応炉が実際にエネルギーを生み出せるということを実証するための、小さいながらも重要な一歩を踏み出したのだ。

 具体的に述べると、NIFの科学者らは約2メガジュールのエネルギーでレーザー装置を駆動して核融合反応を開始させ、約3メガジュールの出力を生み出した。NIFにおける核融合点火の定義に基づくと、1回の短いパルス中でその基準が達成されたことになる。

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