「企業全体の再創造」で不確実な時代に飛躍的な成長を–アクセンチュア、TER戦略を解説
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アクセンチュアは6月8日、「トータル・エンタープライズ・リインベンション(企業全体の再創造)」(TER)に関する記者説明会を開催した。同説明会では、ビジネスコンサルティング本部 ストラテジーグループ日本統括 兼 通信・メディア プラクティス日本統括 マネジング・ディレクターの廣瀬隆治氏とビジネスコンサルティング本部 テクノロジーストラテジー&アドバイザリーグループ日本統括 マネジング・ディレクターの村上隆文氏が、同社が実施したリサーチ結果を基に、高度成長企業の特徴や日本企業が抱える課題と解決に向けた打ち手を解説した。
同社は2022年11月に、日本やオーストラリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、英国、米国の10カ国、1516人の経営幹部を対象に、事業変革とインベンション戦略に対する取り組みについて調査した。これによると、先進的な企業では不確実な時代でも成長して業界をリードしていくために、先端テクノロジーや新たな働き方を取り入れ、継続的に企業を再創造するTER戦略を組み込んでいるという。
TERは、新天地を探求し続けることで企業価値を持続的に高める新たな発想の戦略。業界・社会変革のためのデジタルコアを中核に据え、飛躍的成長と経営最適化を実現する。同調査によるとグローバルにおいて、企業全体の再創造を推進する「リインベンターズ」(再創造企業)はわずか8%にとどまり、一部の事業領域の変革に注力する「トランスフォーマーズ」(変革途上企業)が86%、それ以外の「オプティマイザーズ」(部分最適企業)が6%だった。
再創造企業は、不確実性が増す時代の中で、業界・社会変革に挑み、持続的かつ飛躍的に成長している企業を指す。これはテック企業にとどまらず、ヘルスケアや金融、小売業界においても継続的に高い成長をしている企業があるという。
再創造企業は変革途上企業に比べ、収益成長で10%、コスト削減で13%、バランスシートの改善で17%高い成果を達成し、上半期の業績だけで1.3倍の財務的価値を創出しているという。また、再創造企業の76%が非財務指標を重要な成果として設定し、32%がサステナビリティーに関して高い成果を出している。
再創造企業の特徴として、(1)「リインベンションを戦略に設定」、(2)「競争優位の源泉としてデジタルコアを確立・強化」、(3)「社会の潜在価値を具現化し、業界内ベンチマークを超えた成果を探求」、(4)「人材戦略と人材のもつ能力が、リインベンションを実現」、(5)「リインベンションの取り組みスコープを限定しない」、(6)「絶えずリインベンションが進められる態勢を用意している」――があると同社は説明。
そして、再創造企業として企業価値を高めるためには、(1)「最高経営責任者(CEO)による共感を生む野心的なビジョン」、(2)「業界・社会変革を駆動するデジタルコア」、(3)「組織・企業を超えた共創型の働き方」――の条件を兼ね備えることで、業界・社会変革のけん引者として、企業価値創造につながるとしている。
(1)CEOによる共感を生む野心的なビジョンでは、業界の枠に閉じることなく、先駆的に業界・社会変革に挑み、共感を得ながら飛躍的成長を希求することが重要だという。CEOが掲げるビジョンは時代の変遷とともに変化しており、2020年からは従来の業界定義や業界の垣根を越えて、業界・社会の在り方を定義することで出てくる潜在価値を具現化して自社に取り組むことが求められる。
(2)業界・社会変革を駆動するデジタルコアは、変革を先導していくためのデジタルコアの具備が必要になる。業界・社会変革を駆動するためには、M&Aによる新たなケイパビリティーの取り込みやディスラプティブな先進技術の社会実装の主導が求められるという。また、変化する事業内容に迅速かつ機動的に対応する伸縮自在性を持つことや、取得した新たなデータを事業横断で活用することも必要になる。これらに対応するために、アジリティーやデータ流動性の高い仕組み、AIなどの先端技術の取り込みとスケール化が求められる。
(3)組織・企業を超えた共創型の働き方では、自社で保有するケイパビリティーやオペレーションを行う従業員だけでは業界・社会の変革を起こすことが難しいため、人材または人的ケイパビリティーへの注目が必要だという。そのために、カルチャー変革やスキル変革を行うことで、従業員が新規事業に打って出る環境を担保する。また、パートナーとの価値の共創や協働をいかに能動的にできるかが重要だという。