第1回:電子帳簿保存法で対応するべきこと、しなくてもよいこと

今回は「第1回:電子帳簿保存法で対応するべきこと、しなくてもよいこと」についてご紹介します。

関連ワード (2024年1月から対応必須に。改正電子帳簿保存法への対応、CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 2022年1月から施行されている改正電子帳簿保存法。2年間の宥恕(ゆうじょ)期間を経て、いよいよ2024年1月から全事業者の対応が必須となります。この連載では、改正電子帳簿保存法やインボイス制度について、企業がどのように対応していくべきか、法令の背景や規定の変更まで含めて解説していきます。

 改正電子帳簿保存法への対応が迫っています。しかし、改正電子帳簿保存法は、すでに施行されている法律。なぜ、2024年1月から対応必須と言われるのでしょうか。それは2022年1月の施行開始直前の2021年12月27日、国税庁が改正省令により、2年間の宥恕期間を設けることを発表したからです。

 宥恕期間とは聞き慣れない言葉ですが、この場合「加算税の対象だが、対応できないやむを得ない事情があれば、特別に刑事処罰を求めない期間」を意味します。

 施行開始直前に宥恕期間が設けられた背景には、当初の見込みよりも対応できている企業が少なかったという事情があるようです。しかし、いよいよ2年の宥恕期間を経て2024年から対応できていない企業は加算税の対象になります。

 電子帳簿保存法の成立は、1998年までさかのぼります。国税関係の帳簿類や証憑(しょうひょう)類の全部または一部を電子データで保存することを認めた法律です。なお、税務書類のうち紙で受領した請求書、領収書、契約書などは、データでも紙のままでも保存方法は選択可能となっています。

 この法律では、次の4つの電子データの保存要件を定めています。

 1は、システムのマニュアルなどを備え付けておくこと、2は画像とプリンターで内容が確認できることを要件としています。この2つについては、問題なく対応できるでしょう。

 しかし、3と4については対応方法を考慮する必要があります。まず、4のデータの真実性を担保する措置についてみていきましょう。2020年の電子帳簿保存法改正の前は、データに「タイムスタンプ」を付与し、いつ保存されたのかを明らかにし、それ以降変更がないことを証明できるようにする必要がありました。

 タイムスタンプとは、単に保存した時刻が分かればよいものではなく、公開鍵暗号技術(PKI)と電子署名を使って付与するものです。電子帳簿保存法に対応するスタンプは、セイコーソリューションズとアマノの2社が有名ですが、利用は有償になります。タイムスタンプを付与する運用の場合は、付与期間が最長2カ月以内となっています。

 しかし、電子契約が進んできており、スキャニングが不要になり、タイムスタンプによるコスト増も懸念されることから、2020年の改正において要件が緩和されました。例えば、データの改ざんなど不正を検出できるようにログを保存できるシステムであれば、タイムスタンプは不要です。それも難しい場合は、事務処理規程を定めて、文書を修正・削除する場合はルールに従って申請し、管理者が許可を出して対応するという運用でも構いません。事務処理規程については、国税庁のウェブサイトにサンプルが用意されており、次のような内容を含めます。

参考:電子帳簿保存法関係 電子帳簿等保存に関するもの

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