NTT Com、ゼロトラスト対応の統合ネットワークサービスと液冷方式対応のDCサービスを発表
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NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月4日、クラウド型セキュリティと一体化した統合型ネットワークサービス「docomo business RINK」と、液冷方式で最大80kW(キロワット)の電力消費に対応するデータセンター(DC)サービス「Green Nexcenter」を発表した。docomo business RINKは11月30日に提供を開始する。Green Nexcenterは2024年度内の提供を予定している。docomo business RINKの価格は未定、Green Nexcenterは5年間で累計1000億円の収益を目指す。
記者会見した執行役員 プラットフォームサービス本部 クラウド&ネットワークサービス部長 金井俊夫氏は自社調査の結果を踏まえ、「企業規模や役職を問わず、4割以上がゼロトラストセキュリティに注力すると回答した。(docomo business RINKは)アフターコロナの時代に求められる顧客需要と課題を解決する」とサービス展開の理由を説明した。
docomo business RINKは、ネットワークサービスをクラウド型で提供するNetwork as a Service(NaaS)を前提とし、クラウド型セキュリティとオープン/クローズドネットワーク、固定/移動式アクセスを組み合わせた2種のネットワークをソフトウェア定義型で提供する。
背景には、コロナ禍後による経済活動の活発化や労働環境の多様化、安価なセキュリティ対策費用などがあるものの、現状をアフターコロナと定義付けるのは違和感を拭い切れない。だが、ハイブリッドワークが定着しつつある現在は、安全かつ快適なネットワーク/IT環境がコロナ禍以前よりも欠かせなくなった。同社がNaaSをパッケージ化して従量課金サービスとして展開するのも当然だろう。なお、RINKは「Resilient Integrated NetworK」の略称で「回復力あるいは強靭(きょうじん)な統合ネットワークを意味する」(金井氏)
docomo business RINKについて、同氏は3つの特徴を挙げた。1つ目は、固定ネットワークに加え、5G対応のモバイルネットワークを提供できる点だ。モバイルネットワークのみのサービス利用や固定回線と組み合わせたバックアップ回線としての利用も可能だ。サービス開始直後はベストエフォート型だが、2024年第1四半期以降はネットワーク品質を保証するギャランティー型も用意する予定だ。回線工事などを除けばサービス申し込みや開通状況の確認、廃止までウェブページで完結する。
2つ目はネットワーク品質である。コロナ禍以前は社外から仮想私設網(VPN)でアクセスしても混雑などを理由に満足できるネットワーク速度に達しないことがあった。そこで同サービスは特定通信で広域通信網(WAN)などを経由せず、各拠点から直接接続するローカルブレイクアウト(LBO)を採用。
例えば、一般のウェブページやサービスへの通信と、オンライン会議ソフトが使用する通信を分離することで安定性を確保する。また、オプションとしてオンライン会議用の回線帯域を3倍まで拡張可能。数分で処理できるので、会議がある当日に有効にすればよい。具体的な価格は未定ながらも「分単位で課金する。丸一日使用しても500円前後で提供」(金井氏)する予定だ。
3つ目は安全性になる。原則としてシステムインテグレーション(SI)が不要でクラウド型セキュリティとネットワークを構築できる。金井氏は「顧客の利用環境を想定したテンプレートを用意し、個別構築の手間を省いた。一部機能はオプションを組み合わせることで対応できるが、フルカスタマイズ時はSI的な対応が必要」だと説明した。さらに今後はIoT環境やOT(制御系技術)環境を前提としたセキュリティ対策機能の展開を予定している。
Green Nexcenterは従来の再生可能エネルギーを用いたゼロカーボンと、液冷方式で高発熱サーバーに対応したDC向けサービスだ。昨今は生成AIなどサーバーの高性能化が求められるものの、「最新のCPU/GPU(を搭載したサーバーの冷却)に従来の空冷では限界」(金井氏)を迎えている。
加えて、電気料金の高騰を踏まえると省エネルギー化は喫緊の課題だった。同社が提示したデータによれば2020年時点で1ラック(2サーバー搭載)当たりの電力量は15kWを切っていたものの、2023年に入ると20.4kWに達している。顧客からの問い合わせも急増する中、同社が液冷方式のDCを用意するのは至極当然だ。
なお、水冷方式は熱伝導率の高い液体を用いた直接水冷方式や今回の液冷方式、液体で冷却した空気を取り込むリアドア冷却方式など複数存在するが、同社は保守性と冷却性能を踏まえて液冷方式を選択したと説明している。
Green Nexcenterは特定部分における電力効率性を指すpPUE(パーシャルPUE)は1.15に達し、消費電力を約30%削減した。一般的なDCのpPUEが2~3であることを鑑みると優位性のみならず、最大80kWまでの高発熱サーバーに対応するのも理解できる。また、ラック単位で液冷方式を選択できるため、GPUの並列処理や単独運用など必要に応じた構成も選択可能。再生可能エネルギーも併用できるので、電力高騰など情勢を踏まえながら選択するといいだろう。
現在は横浜第1データセンターの一部を大規模改修し、2024年度の第4四半期までにサービス提供する予定だ。また、液冷方式を標準装備した京阪奈データセンター(仮称)を新設して2025年内の提供を予定している。今後はGreen Nexcenterを次世代基幹網「IOWN」上で光波長を専有するAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)で結び、低消費電力型のIT基盤を目指す。