企業が責任を持って活用できる生成AIで経営のAI Innovationを加速–グーグル・クラウド・平手氏

今回は「企業が責任を持って活用できる生成AIで経営のAI Innovationを加速–グーグル・クラウド・平手氏」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 2024年に向けたIT企業のトップメッセージを紹介する。

グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表 平手智行氏

 2023年は世界中で生成AIブームが巻き起こった非常に革新的な年となりました。Googleはビジネスの方向性を2016年からAIを中心に進めており、その翌年に発表した深層学習のモデルである「Transformer」は、現在提供されているさまざまな生成AIモデルの基礎となっています。そしてGoogleは、2023年5月に新たな大規模言語モデルである「PaLM 2」を、12月には、これまでで最大かつ高性能なモデルである「Gemini」を発表しました。Geminiの発表によって、「マルチモーダル」と呼ばれる言語や画像、音声などと複数のデータ種別を同時に取り扱うことが可能になりました。今後、生成AIを活用したさまざまな新しいユースケースが登場してくることになるでしょう。

 昨年はこの新しいテクノロジーである生成AIの大規模言語モデルを試された方も多いことでしょう。多くのお客さまから、生成AIの便利さへの驚きや期待の声を聞くとともに、「チャットボットのような用途以外にどうビジネスにつなげていけるのか分からない」「企業として活用するためにはまだ乗り越えるべき課題がある」という声を多くいただいています。

 2024年は、まさに生成AIを活用して社内外に向けたサービスを展開していく重要な年となるため、Google Cloudは大きく2点において、皆さまが直面する課題とその解決策をご提案したいと思います。1点目は生成される情報の正確さについて、2点目は非構造化データの取り扱いとプラットフォームの重要性についてです。

 1点目の課題である生成される情報の正確さですが、これは、自社のデータの多くは公開情報ではないため、大規模言語モデルの学習データに含まれておらず、回答させることができない、あるいは公開されているデータもすぐに古くなるため最新の情報に基づいた回答が得ることが困難であるということ、そして、生成された回答は事実には即していない、いわゆる「ハルシネーション」を起こす可能性があるということが原因です。

 ハルシネーションの抑制に有効なアプローチとして、「グラウンディング」という技術が挙げられます。グラウンディングは、生成AIを活用しようとする企業や組織が指定する、信頼できる情報ソースから回答を参照する技術です。グラウンディングを活用することで、事実に基づいた最新の情報を回答させることが可能となります。Google Cloudでは、長年検索で培った技術と経験から、グラウンディングの技術を提供することで、実用的な生成AIアプリケーション開発を実現可能とします。大規模言語モデルは汎用的なタスクを解く際に有効ですが、責任あるAIを実現し個別のタスクを解く場合や、事実に基づき、安全、安心な応答をするには、グラウンディングを始め、タスクに適したアーキテクチャーが重要であるとGoogleは考えています。

 2点目の課題は、データの利用、活用とそれを効率的に行えるプラットフォームについてです。これまでは数値データという構造化データをどう保存し活用していくかを考えていればよかったところから、今後は爆発的に増加する非構造化データの取り扱いについて考える必要があります。

 非構造化データとは、テキストやイメージ、さらに動画といったデータを指し、コールセンターなどでのお客さまの会話や、テレビ局などの動画アーカイブ、製造現場などでのオペレーションの画像などは全て非構造化データに当てはまります。多くの企業は、さまざまな非構造化データを持ってはいるものの、分析して活用するところまでできていないことが課題となっていました。例えばコールセンターでは、お客さまとの会話を録音しているものの、実際にそのデータを分析し、ビジネスの改善につなげるのは難しい状況だったかと思います。

 Google Cloudの「BigQuery」は、非構造化データと構造化データを組み合わせて分析することができる「AI レイクハウス」プラットフォームとして利用可能です。こういったプラットフォームを利用すれば、データと生成AIをシームレスに連携できるため、コールセンターなどでの蓄積されたお客さまとの会話の録音データを、AIを活用してテキスト化、さらにそのデータをPaLMのような生成AIを用いて分析し、お客さまの要望に関する全体的な傾向を特定するといった活用方法が可能になります。

 また、データがサイロ化して企業内に点在していると、AIも探すことが不可能です。さまざまなアプリケーションや環境がクラウド上にあるクラウドネイティブな状況でビジネスを行うことで、全てのデータをクラウド上に置くことができ、AIおよび生成AIを100%生かすことができるようになります。そのためには、真のクラウドネイティブコラボレーションツールである「Google Workspace」を活用いただくなど、クラウドネイティブな状況を構築することが重要です。

 Google Cloudが昨年公開した、AIがさまざまなアシスタントを行う「Duet AI」は今後Google Cloudの全ての製品に順次導入されていきます。これは、生成AIの専門的な知識や技術的スキルがなかった社員にとってAIの民主化を劇的に加速するものとなります。Google Cloud製品のDuet AIは、開発や運用の支援、データ分析やデータベース管理およびセキュリティ管理の支援を行います。では、メールの文脈に沿った情報を自動的に入れた返信作成やスライドの内容に沿ったオリジナル画像作成、さまざまなタスク管理が必要なスプレッドシートを自動で作成するなど、業務効率化を支援します。Google WorkspaceのDuet AI日本語版は今年公開を予定しています。

 2024年は、いよいよ生成AIを実際に活用して自社のビジネスの変革を行える年になります。Google Cloudは、大胆かつ責任あるAIの基本理念を守りながら、引き続き新たな技術、製品を提供しながら、パートナーさまと共に生成AIを通したお客さまのビジネス成長に貢献してまいります。

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