NEC、2023年度第3四半期決算も増収増益–ITサービス事業が好調

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 NECは1月30日、2023年度第3四半期累計(2023年4~12月)の連結業績を発表した。国内ITサービスの好調ぶりを示す内容で、売上収益が前年同期比5.5%増の2兆3932億円、調整後営業利益が同16.3%増の970億円、Non-GAAP営業利益が同150.7%増の461億円、Non-GAAP当期利益が同55.8%増の546億円と増収増益だった。

 特にけん引役となったITサービスは、売上収益が同10.9%増の1兆3145億円、調整後営業利益が283億円増の1061億円となり、そのうち国内ITサービスの売上収益が同12.8%増の1兆987億円、調整後営業利益が268億円増の979億円という力強い業績だ。また、海外DGDF(デジタルガバメント/デジタルファイナンス)の売上収益も同2.3%増の2158億円、調整後営業利益が14億円増の82億円となり、前年度にあったAvaloqの大型案件の反動減が影響したものの、KMDやNEC Software Solutions UKが増加し、着実な成長を遂げている。

 決算発表した取締役 代表執行役 Corporate EVP 兼 CFO(最高財務責任者)の藤川修氏が、「国内ITサービスは落ちるといった状況が見えないほど需要が旺盛。受注も高水準で推移している」と述べるほど、強気のコメントが印象的だ。

 第3四半期累計の国内ITサービスの業種別実績に見ると、パブリックは同10.5%増の2794億円、エンタープライズは同18.5%増の5114億円、クロスインダストリーが同6.1%増の821億円、DPF(Digital Platform)ほかが同6.4%増の2258億円となっており、全ての領域で高い伸びを見せている。「2023年度の期初にかなりのバッグログがあったことが、上期の好調さにつながっている。エンタープライズ領域のビジネスは、高いところで安定的な巡行速度で運行しており、パブリック領域のビジネスも上がってきている」(藤川氏)とする。

 ここでは、下期偏重型の同社のビジネスモデルから改善も注目点の一つだ。

 藤川氏は、「エンタープライズは第1~第2四半期と好調で、刈り取りの前倒しを進めながら第4四半期偏重の体質からの脱却に取り組んでいる」と語る。パブリック領域は依然として第4四半期偏重だが、エンタープライズ領域での積極的な前倒しがビジネスの平準化につながっている。

 一方で、ITサービスにおける受注状況も堅調だ。ITサービス全体の第3四半期累計の受注状況は前年同期並となったが、NECファシリティーズを除くと同4%増になる。内訳は、国内が3%減、海外(DGDF)が18%増となっている。また、国内の業種別受注状況は、パブリックが4%減、エンタープライズが12%増、その他が14%減となった。そして、国内エンタープライズのうち、金融は29%増、製造が2%減、流通・サービスが7%増という状況だ。

 主力となるエンタープライズの中では、製造の受注の前年割れが気になるが、ここでは、高収益案件の獲得へとシフトする「選別受注」を行っていることが影響しているという。「収益性の低いライセンスビジネスから収益性の高いSI(システムインテグレーション)ビジネスにシフトしている。SIビジネスだけで見れば前年同期比10%増、サービス関連では3割増となっており、その結果、利益率を3~4%引き上げ、利益率の改善につながっている」と藤川氏。今後パッケージを活用して回転率を高めるとともに、「NEC Digital Platform」(NDP)を通じた上流コンサルティングサービスの強化も進め、「利益率の高い良質な案件を選択的に受注できている」(同)と自信を見せた。

 また藤川氏は、製造分野を含むエンタープライズ全体の取り組みについても言及。「製造以外やパブリック領域でもモダナイゼーションやDXに対する需要が高く、基盤の共通化とともに、業界ごとに戦略を打っていく。NECは5年以上にわたりSIのモデル化にも取り組んでおり、回転率の上昇、ロスの減少、リソース不足への対応、効率化でも効果がある。SIモデル化は既に功を奏しており、利益率向上にも貢献している」と語った。

 今回の決算発表で2023年度通期の業績見通しは据え置いた一方、セグメント別の見通しを修正している。中でもITサービスは、売上収益で300億円増額し、前年比4.3%増の1兆8300億円、調整後営業利益は100億円増額の前年比190億円増の1879億円に上方修正した。この上方修正は全て国内ITサービスを対象にしたもので、海外は見通しを据え置いた。「国内ITサービスは好調な事業環境が継続している。エンタープライズを中心に上方修正を行った」(藤川氏)

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