創業から100店舗超え–無人店舗の仕掛け人・TTG阿久津社長に聞く、ニーズと夜明け
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スーパーマーケット/コンビニエンスストアチェーンを中心に導入が進むセルフレジ。来店客が店舗スタッフを介さずに商品バーコードのスキャンから会計までを行うことは珍しくなくなった。人手不足が深刻化して少人数での店舗運営が求められる中、省人化を越えて無人化に挑む企業がある。無人決済店舗システムを展開するTOUCH TO GO(TTG)だ。
TTGは、2020年の「TOUCH TO GO 高輪ゲートウェイ駅店」(東京都港区)開店を皮切りに、着々とシステムを提供。導入店舗数は100店舗を突破した。どのような企業が無人店舗を必要としているのか。無人店舗の本格普及には何が必要なのだろうか。代表取締役社長 阿久津智紀氏に聞いた。
TTGの無人決済店舗システムの核となるのが、天井に設置されたAIカメラと商品棚に設置された重量センサーだ。高輪ゲートウェイ駅店では、AIカメラが約20台、重量センサーが商品数と同数の500~600台設置されている。
来店客は入店時に会員登録などの準備を行う必要がなく、通りすがりで入店・会計できる。店内の専用ゲートを通過後、通常の買い物のように欲しい商品を手に取り、店内を回遊。商品棚の重量センサーが手に取った商品、天井のAIカメラが来店客の動きを捉え、2種類のデータをひも付けて「誰が何を取ったか」をリアルタイムに認識する。精度は約95%で、手に取った商品を元の位置に戻しても正しく認識するという。
会計時に商品バーコードをスキャンする手間もない。レジの前に立つと、AIカメラと重量センサーで収集されたデータを基に、商品の明細と合計金額がディスプレー画面に表示される。TTGの無人決済店舗システムにより、企業は無人/少人数で店舗を運営でき、来店客はスムーズに買い物ができる。高輪ゲートウェイ駅店では開店当初、一度に来店可能な人数を最大10人ほどとしていたが、現在は来店人数に制限を設けていない。
TTGは2017年、JR東日本グループのコーポレートベンチャーキャピタル・JR東日本スタートアップと、無人AIレジの開発などを手掛けるサインポストの合弁会社として発足した。斬新なサービス開発の背景には、阿久津氏がJR東日本の社員時代に抱えていた切実な課題意識がある。阿久津氏はJR東日本に新卒入社後、駅ナカコンビニ「NewDays」の店長を務め、その後はJR東日本ウォータービジネスでの自動販売機事業、青森県産のりんご酒の開発事業などを手掛けた。
店長時代は店舗スタッフの確保に苦労したほか、青森県への赴任時も地元店舗の年間売上の6~7割は毎年8月開催の「青森ねぶた祭り」によるもので、冬季は人件費の回収に頭を悩ませたという。「人を介して物を売ることに苦労した経験があるので、顧客企業に極力負担をかけることなく、少ない人員で店舗を運営できる仕組みを作れないかと思った」と阿久津氏は振り返る。
TTGの無人決済店舗システムには、AIカメラや商品棚を店舗に合わせて自由に設置できる「TTG-SENSE」、組み立て式で簡易設置が可能な「TTG-SENSE MICRO」、商品棚1台から利用できる「TTG-SENSE SHELF」などがある。高輪ゲートウェイ駅の店舗でも活用されているTTG-SENSEは、30~100平方メートルの敷地、500~2000アイテムに対応しており、月額利用料は税込50万円から。同社は、券売機/セルフレジの「TTG-MONSTAR」も展開している。