企業はIT人材不足にあらゆる手で対応、約4割が週休3日制導入の可能性–ガートナー調査
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ガートナージャパンは8月1日、日本企業のIT人材に関する調査結果を発表した。それによると、日本企業ではあらゆる種類のIT人材の不足が課題となっており、採用方法の拡大や待遇の改善など多面的に対処している実態が分かった。
調査は、4月に年商500億円以上の日本企業でITやデジタルの戦略策定に携わる役職者を対象に実施した。
まず人材や組織の課題に関して、選択式で自社に当てはまるものを複数回答で尋ねたところ、「質的な人材不足」を1位に選んだ回答者が14.5%、3位までに選んだ回答者の合計では31.9%と、どの選択肢よりも多い回答があった。また、どのような人材がどの程度不足しているかでは、同社が選択肢に設定した13種類の人材の全てで、「大いに不足している」「多少の不足がある」の回答が8割を超えている状況が判明した。
この結果について同社 シニア ディレクター アナリストの一志達也氏は、「DXやクラウド、AIなど比較的新しい技術に対応する人材だけでなく、基幹系システムなど旧来のITに対応する人材でさえ不足している。多岐にわたる質的な人材不足を補うには、多様な能力を持つ相当数の人材を獲得する必要がある」と分析している。
人材不足への対応策は、採用面では「中途採用の積極化」が47.3%で最も多く、ほかは「インターン制度の活用」(31.8%)や「新卒採用の条件の改善」(30.8%)、「アルムナイ採用(退職者再雇用)」(23.8%)だった。また、「働き方改革の促進」(31.0%)や「福利厚生の充実」(23.5%)、「柔軟な報酬体系の導入」(19.3%)など、既存人材の離職防止に役立つと考えられる回答も目立ったとしている。
人材の定着率やエンゲージメント向上のための施策では、「フレキシブルな勤務時間」(59.1%)「リモートワーク」(58.8%)の採用が進み、「副業の解禁」(35.5%)もあった。「週休3日制の採用」は21.1%で、「今後12カ月以内に採用予定」(18.8%)を加えると、この調査結果に限っても1年後に日本企業の約4割が週休3日制を採用していることになるという。
一志氏は、「IT人材には専門性の高い技術的なスキルに加え、理解力やコミュニケーション力などのソフトスキルも求められる。さらに、データ分析やAIなどの台頭でITの多様化も進んでいる」とし、「人材を惹きつけるために、自社ブランディングに取り組む必要があるものの、『まだそうした認識がない』『何をして良いのかわからない』という昔ながらの日本企業も多く見られる。新卒一括採用の一部をIT人材にするのでは、先進的な企業に追いつけないばかりか、ますます取り残される。IT部門は独自のキャリアパスや処遇を整備し、IT専門人材に向けたブランディングで自社の魅力を伝え、必要な能力を備えた人材を獲得する努力が必要」とコメントしている。