Linux Foundationは「オープンソースの管理人」–J・ゼムリン氏が振り返る20年の歩み

今回は「Linux Foundationは「オープンソースの管理人」–J・ゼムリン氏が振り返る20年の歩み」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 The Linux Foundationのことを好きな人もいれば、嫌いな人もいる。オープンソースプロジェクトを未来へと導く組織だと考える人もいれば、企業とのつながりを快く思わない人もいる。しかし、1000件以上のオープンソースプロジェクトを監督する同財団は無視できない、という点に異議を唱える人はいない。その存在感は主に、エグゼクティブディレクターであるJim Zemlin氏の卓越したリーダーシップによるものだ。

 筆者が初めてZemlin氏に会ったとき、同氏はFree Standards Group(FSG)の責任者を務めていた。FSGの主なプロジェクトは「Linux Standard Base」(LSB)プロジェクトだった。LSBの目標は、「Linux」デスクトップの世界の関係者全員を標準に同意させて、ディストリビューション間やアプリケーション間で互換性を確保することだった。これらの取り組みに終わりはない。

 Open Source Development Labs(OSDL)という別の組織も、FSGと同時期にエンタープライズLinuxの標準化に取り組んでいた。この2つの非営利組織は、Linuxの利便性向上と普及促進という共通の目標を持っていたため、合併に同意した。Zemlin氏がこの新組織の責任者に選ばれたのは自然な流れだった。これが後にThe Linux Foundationと呼ばれる組織だ。

 同氏は当時、筆者に次のように語った。「2つの組織が合併することで、LinuxプラットフォームとThe Linux Foundationの全メンバーが非常に効果的に機能するようになる。組織の憲章をどのようなものにすべきかは、よく理解している。われわれは、コミュニティーと業界に役立つサービスを提供するとともに、Linuxを保護、促進し、継続的に標準化していかなければならない」

 最初の目標は達成だ。

 当初はLinuxに重点を置いていたが、The Linux Foundationの規模は2010年頃に大幅に拡大した。それまではLinux OS関連のプロジェクトを10件ほど運営していた。しかし、Linuxがさまざまな分野(高性能コンピューティング、自動車、組み込みシステム、モバイルデバイス、クラウドコンピューティングなど)で優位に立つにつれて、The Linux Foundationは視野を広げていくようになった。

 FSBを率い始めて20年後、Zemlin氏は「Linux Foundation Member Summit」において、同組織が「基盤の中の基盤」となり、オープンソースの活用を望む開発者やコミュニティーをサポートしてきた歴史を振り返った。

 Linus Torvalds氏がLinuxのアイデアをひらめくはるか前、Zemlin氏の祖父は最初のスーパーコンピューター企業の1社であるCray Researchを共同創設した。同氏の祖母は、障害を持つ成人の職業訓練を支援する非営利組織を1950年代に設立したという。Zemlin氏のキャリアは、テクノロジー関連の非営利組織に進むことが最初から運命づけられていたようだ。同氏は次のように回想する。

 Zemlin氏はさらにこう語った。「『Ubuntu』が初めてリリースされた2004年を振り返るのはおもしろい。『Firefox』や『Ruby on Rails』が初めてリリースされた年だ。『MySpace』の利用者が非常に多かった。MySpaceの話をすると、年を取ったように感じる。ご存じのように、私はソーシャルメディアに詳しいわけではない。『Clubhouse』に招待してほしい人は、私に連絡してほしい」

 2004年は、Zemlin氏がLinus Torvalds氏の上司になった年でもある。だが、「Linusはあまり構ってくれない」とZemlin氏は語る。

 余談はさておき、Zemlin氏は、Linuxとオープンソースソフトウェアが3つの段階を経てきたと考えている。まず、「オープンソース開発は非常に反体制的なものだった。まさに、既存のプロプライエタリーソフトウェアと張り合う手段だった。データベーステクノロジーのフリーでオープンな代替テクノロジーによって、『Windows』のフリーでオープンな代替OSになるつもりだ。オープンソースは、既存のプロプライエタリーソフトウェアに対抗するものとみなされていた」。

 2010年代には、「オープンソースからテクノロジーの大きな変化が始まるようになった。例えば、ソフトウェア定義ネットワーク、コンテナーテクノロジー、クラウドコンピューティング、モバイルテクノロジーなどだ。オープンソースは、特にAIにおけるイノベーションの原動力だった。この時期に、組織や大小のテクノロジー企業は、オープンソースが素晴らしいリソースであることや、オープンソースの構成要素を利用すれば短期間で市場に参入できるだけでなく、多数のイノベーションを実際に実現できることに気づいた」

 オープンソースがプログラミングの主要なパラダイムとなったのはその時期だ。Zemlin氏はHarvard Business Schoolの最近の調査に言及し、オープンソースの成果を一から作り上げるには、約9兆ドル(90億ドルではなく9兆ドル)のコストがかかると指摘した。

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