慶應大病院が全国のApple Watchユーザーを対象とする睡眠中・安静時の脈拍に関する臨床研究開始
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慶應義塾大学病院は2月1日、全国を対象とするApple Watchヘルスケアビッグデータの構築と医学的な網羅的解析を目的に、Apple Watchを利用した臨床研究「Apple Watch Heart Study」の開始を発表した。研究責任者は副病院長陣崎雅弘氏、実務責任者は循環器内科特任講師木村雄弘氏。
同院独自の研究用iPhoneアプリケーション「Heart Study AW」は、App Store(日本)よりダウンロード可能。同臨床研究の対象者は以下の通り。また参加同意後、いつでも自身の意思で同意を撤回し、参加を取りやめられる。
慶應義塾大学病院は、今回の臨床研究について類を見ない試みとしており、今後家庭でのデジタルヘルスケアと適切な医療との連携に貢献することが期待されるという。なお、本臨床研究は慶應義塾大学病院が行うもので、Appleが共同研究などで関与するものではない。
同院は、日常生活で着用し、血中酸素ウェルネスや脈拍数などの生体情報を自動的に計測・記録できるApple Watchが、心電図アプリケーションで心電図も記録できるようになり、家庭で可能な予防医療の幅が広がりつつあると指摘。同種の機器が取得するデジタルヘルスケア情報を医療に橋渡しするには、これら情報を集約したヘルスケアビッグデータベースを構築・解析して実際の医療に応用できる情報を抽出することが必要とされるという。
そこで同臨床研究では、Apple Watchの心電図アプリケーションで測定する心電図や脈拍などの様々なヘルスケアデータと、同院独自の研究用iPhoneアプリケーション「Heart Study AW」(App Store)で収集する睡眠・飲酒・ストレスなどに関する調査データを解析することで、睡眠中・安静時の脈拍と生活習慣との関連について、分析を行う。
また、アプリケーション経由でなされる「脈がとぶ」「脈が速い」などの動悸の申告を元に、心電図やヘルスケアデータの変化を解析するという。
心電図は心臓に異常がある時に記録することが重要なものの、病院での限られた検査時間中に症状や異常が現れない場合、病気を検出することが困難という。同研究により、家庭でApple Watchのような機器を使用し的確に心臓の異常を記録できるタイミングはどのような場合であるのかが明らかになり、病気の早期発見につながることが期待されるとしている。
同研究は、対象者の異なるふたつの研究から構成。そのうちひとつは、「Apple Watch Heart Study慶應義塾版」を利用したもの。同院に通院する心房細動患者の協力のもと、臨床現場で使用している心電図検査(2週間。Holter心電図、携帯型心電図)と、Apple Watchおよび心電図アプリケーションから得られる脈拍データと心電図との比較を行う。
また、ヘルスケアデータを睡眠・飲酒・ストレスとの関係に関して人工知能で解析し、どのような時に不整脈になりやすいかを推定するアルゴリズムを構築する。
全国のApple Watchユーザーを対象とした「Apple Watch Heart Study」では、睡眠中および可能な範囲での日中安静時のApple Watch装着と、動悸などの症状の記録の協力(7日間)を依頼。
Apple Watchで収集するデータを活用し、日本におけるヘルスケアビッグデータの構築と解析を行うとともに、慶應義塾版で開発するアルゴリズムを一般国民のデータに対して適用。生活スタイルや申告された症状のデータに焦点を置いた解析を行うことで、適切な精度となるよう評価・改修を行う。
収集したデータは、学会や論文での発表を予定。取りまとめられた情報を医学雑誌、データベース(UMIN-CTR)上などに公表する場合には、統計的な処理が行われ、個人の情報は一切公表しないとしている。
なお同研究は、慶應義塾大学病院が内閣府より受託している戦略的イノベーション創造プログラム「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」研究開発事業(研究責任者:病院長 北川雄光)として実施。Apple提供の臨床研究用フレームワークを利用したアプリ開発の技術的サポートをAppleから受けている。また、ジョンソン・エンド・ジョンソングループBiosense Webster, Inc.のInvestigator-Initiated Study Programからの資金提供および指定寄附の支援によって実施される。
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