【コラム】大学では技術職に備えられない今こそ徒弟訓練を利用するときだ

今回は「【コラム】大学では技術職に備えられない今こそ徒弟訓練を利用するときだ」についてご紹介します。

関連ワード (アメリカ、コラム、教育等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


編集部注:この原稿はSophie Ruddock(ソフィー・ラドック)氏とRyan Craig(ライアン・クレイグ)氏の寄稿である。ラドック氏はMultiverseの北米GM担当VP。同社はプロの見習いによる質の高い教育と訓練に焦点を当てた技術系スタートアップ。クレイグ氏はAchieve Partnersのマネージングディレクターであり、「A New U: Faster + Cheaper Alternatives to College.」の著者。Achieve Partnersは、教育と雇用の交差点に焦点を当てた投資会社。

ーーー

入力を変えても結果が改善されないならば、システムが破綻していることがわかる。ソフトウェアエンジニアなら誰もがそういうだろう。

このメトリックを使用すると、米国の時代遅れの高等教育制度は明らかに破綻している。高すぎる教育費で標準以下の教育を提供しているこの教育制度は、人種的不平等への取り組みや、テクノロジー分野における技能ギャップの拡大解消という2つの重要課題の解決がうまくいっていない。

制度を変更し、有色人種を教室に迎え入れて得られた結果は、豊かさ、公平性、および多様性の観点からみると、これまで以上に悪化の一途を辿っているといえる。

平均的な黒人の大卒者は白人の大卒者よりも学生ローンを2万5000ドル(約270万円)多く抱えている 。さらに悪いことに卒業の喜びから4年後には、黒人の大卒者の48%が平均して当初の借り入れよりも12.5%以上多くの債務.を抱えることとなる。

学位要件の上に築かれた労働市場には、軌道修正の望みはほとんどない。

大卒者が経験していることに目を向けると、失業率に関していえば、白人の5.5%に比べて、アフリカ系米国人大卒者の失業率は10%近くになる。一方、白人家庭と比べて、典型的なアフリカ系米国人家庭の財産は8分の1となっている。これは黒人がラッセル3000指数内の企業における役員の4.1%に過ぎないことに関連している。これらの企業の役員は人口の13.4%を占めているというのにだ。

こうしたことは深刻な不正義の問題だけではない。毎年、人種間の貧富の格差はGDP(国内総生産)に 1兆ドル(約108兆9053億円)から1兆5000億ドル(約163兆3579億円)に上る損失を与え、米国経済に影響を与えている。財政面からも道徳面からも、こうした問題に対処する必要がある。

次に技能ギャップの問題がある。学問的プログラムやカリキュラムに対しての変更が出遅れた一方で、大学は、学生が長期に渡って成功するために必要とする、知的思考力や批判的思考をうまく身につけさせている。大学では、2021年において仕事で必要とされているトレーニングが欠けているだけだ。10年前、 CEOの56%はデジタル関連の仕事を担う才能あふれる人材の欠如に「極めて」もしくは「多少」懸念を抱いていた。2019年までに、このような懸念は79%まで急増した。これが大学を卒業して初めて就く仕事で50%をはるかに上回る新卒者が、不完全就業(能力を十分に発揮できないまま就業)している理由だ(そのうちの3分の2は5年後になっても、半数は10年後になっても不完全就業をしている)。

もっと良い方法があるはずだ。若者が数十年に渡る学生ローンの重荷を回避し、需要の高いスキルを習得できるようにする。社会経済的背景による差別をなくし、有望な人材を求める雇用主に対して、新たな資格要件のある意欲的な人材を紹介できるようにするのだ。

新たなアプローチによるEdTechビジネスが爆発的に増加する中で、これらの課題を解決するのに適した、すでに存在している制度を見落とす危険がある。それは徒弟訓練のことだ。

米国では徒弟訓練は建設業、あるいは金属工芸や吹きガラス製品などの昔ながらの製造業のためのものという認識がいつまでも残っていた。だが、もはやそうではない。EdTechに注目し、技能ギャップの拡大を嘆いている間に、徒弟訓練は再起動された。現代的なテクノロジー主導の徒弟訓練は、より迅速に低費用で高い効果が得られる高等教育の代替え手段だ。

ヨーロッパではテック企業やノンテック企業が、テクノロジースキルを持つ未経験者をどんどん雇用 し、すでに徒弟訓練を活用して、多様な人材のために労働市場への直接的なルートを提供している。ソフトウェアエンジニアからデータアナリストまで、21世紀の徒弟訓練では、レンチではなくキーボードを巧みに操ることになる。

徒弟訓練は、初日から完全雇用され、無料で利用できるプログラムで学びながら賃金を得ることができる。トレーニングは仕事と並行して提供され、この学習アプローチにより、関連スキルをすぐに試し、確実に身に付けられるようになっている。

既存の制度が抱える課題は、キャリアの開始時に、大学ではスキルではなく知識に焦点を当てた教育しか受けられないことだ。時間のかかる従来の教育制度ではなく、高度なスキルが要求される職種向けの人材教育や、役割の変化に応じたトレーニングを生涯に渡って受けられるよう注力することを企業に働きかける必要がある。

仕事ではあまり使えない知識しかない卒業生を量産する大学制度に対して、徒弟訓練では、テクノロジーやデジタル分野で実務経験を積み、活用できるスキルセットを得ることができる。

これを執筆している時点で、テック企業は米国の徒弟訓練実施企業の1%以下に過ぎず、実習生の78%は白人だ。だが、変化はすぐに訪れるだろう。ここ数週間に渡って、バイデン政権はテクノロジー分野での徒弟訓練の発展に尽力することを強調した。

また大統領は、業界内の質が低く、厳密さに欠ける徒弟訓練プログラムから脱却し、徒弟訓練の基準を引き上げるとの公約を発表した。

これらは単なる言葉だけではない。徒弟訓練の再起動は新たな全国徒弟法により実行される。この法案では、今後5年間で30億ドル(約3267億3600万円)を投じ、広範な分野に渡り、登録された徒弟訓練プログラムの拡大が明言されている。これが適切に行われた場合、テクノロジー業界はその中心となるだろう。

これはすべて、技術ギャップを埋めようと躍起になっている企業にとって、歓迎すべき良いニュースだ。職種の進化が一層加速するにつれて、大学の学位によって個人の能力を知るのは、ますます困難になってきている。そう、彼らは「良い」大学を卒業している。だが、半数の米国人が現在の職種と学位は無関係だと言っている中で、職場での業務遂行能力はいうまでもなく、仕事に名門の学位はどのようにつながるのだろうか?

暗中模索的な状況の中で、技術職の採用を行っているテック企業やノンテック企業のマネージャーたちは、競い合って経験豊富な人材を要職へと引き抜いている。それは非常に限られた同種の人材プールから探し続ける、費用の掛かる短期的な解決策だ。

職業上の徒弟訓練のおかげで、ビジネスリーダーはより戦略的かつ積極的に採用を行うことができる。組織の特定の要件に重点を置きながら、実際に必要な役割を担えるように人材を育成することができる。それは画一的な時代遅れの教育制度への依存からの脱却を意味する。

さらに良いのは、採用者をキャリアの最初からトレーニングすることで、企業は忠誠心を刺激し、新卒者や外部採用者に通常必要となる移行期間を排除することができる。正社員になってからは、徒弟訓練の参加者は従来の採用者よりも2倍長く在籍する傾向がある。

技術ギャップは猛スピードでやってくる未来によって作り出されるが、人種的不平等は過去に根差している。職業上の徒弟訓練は、テクノロジーのような業界でのキャリアに深く根付いた、構造的障壁を打破するのに役立つことになる。

最も重要なのは、黒人の67%、ラテン系米国人の79%をふるいにかけて落とす学位要件の先を考慮していることだ。なぜなら、徒弟訓練は有償で行われる経済的機会への道筋であり、公平な機会を与え、企業における真の人種的平等への前進を可能にするからだ。それは巧妙に加工されたInstagramの投稿の域を越えている。一方、早くから多様な人材プールを活用することで、企業は人材を育成し、役員室への明確なルートを構築することができる。

マッキンゼーの2020年の報告書によると、最も多様性に富んだ企業はその業界の平均よりも35%多く収益を上げている。同様に、S&P 500企業のうちで最も多様性に富んだ企業の株主利益率は、最も多様性に欠ける企業を最大240%も上回っている。

今こそ変化のときだ。全米教育統計センターによると、卒業生の41%が、結局は学位の必要ない職種に就いている。新型コロナウイルスが若年労働者に対してとりわけ大きな打撃を与えているため、職業上の徒弟訓練を含む、新たなアプローチを採用しない限り、この数字は増加していくだろう。若者に対する直接的で意味のあるキャリアパスを形成することは、企業が技術ギャップを埋め、多様性の目標を達成するのに役立つ。

これらの課題に単独の解決策はない。だが、職業上の徒弟訓練は、専門教育に対して非常に大きな貢献ができる可能性を秘めている。

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画像クレジット: Hinterhaus Productions / Getty Images


【原文】

You can always tell a system is broken when you change the inputs and the outcomes don’t improve. Any software engineer will tell you that.

Using this metric, it’s clear the United States’ antiquated higher education system is truly broken. Overpriced and underperforming, the system is failing on two key fronts: addressing racial inequalities and closing our country’s growing tech skills gaps.

For all the changes made to the system to welcome people of color into the classroom, the outcomes in terms of wealth, equity distribution and representation are worse than ever.

On average, Black college graduates owe $25,000 more in student debt than their white peers. Worse still, four years after throwing their caps in the air, 48% of Black graduates owe an average of 12.5% more than they borrowed in the first place.

A labor market built on degree requirements has little hope of correcting course.

While colleges and universities do as good a job as they’ve ever done at preparing students with the cognitive and critical thinking skills they’ll need to be successful in the long run, the college system just isn’t providing the right training for jobs in 2021.

Looking past the college experience, the unemployment rate for Black Americans stands at nearly 10%, compared with 5.5% for white Americans, while the typical Black American family has eight times less wealth than a white family. This is coupled with the fact that Black people make up just 4.1% of Russell 3000 board members — compared to 13.4% of the population.

This isn’t just a matter of grave injustice. The racial wealth gap costs the U.S. economy $1 trillion to $1.5 trillion in GDP output each year. There is a financial and moral imperative to do something about it.

Then there’s the skills gaps: For all the belated changes made to academic programs and curricula, and while colleges and universities do as good a job as they’ve ever done at preparing students with the cognitive and critical thinking skills they’ll need to be successful in the long run, the college system just isn’t providing the right training for jobs in 2021. Ten years ago, 56% of CEOs were “extremely” or “somewhat” concerned by the lack of talent for digital roles. By 2019, this had jumped to 79%. This is why well over 50% of new and recent graduates are underemployed in their first jobs out of college (two-thirds of whom will be underemployed five years later, and half a decade later).

There must be a better way. A way that empowers young people to achieve in-demand skills while avoiding the decades-long burden of student loans. A way that doesn’t discriminate based on socioeconomic background while exposing talent-hungry employers to a new pool of qualified, driven individuals.

In the explosion of edtech businesses with new approaches, we are in danger of overlooking an established model that can be adapted to solve these challenges. That model is apprenticeships.

The apprenticeship movement

There’s a lingering perception in America that apprenticeships are the province of construction and building trades, or even medieval guilds like smithing and glass-blowing. Well, not anymore. While we’ve been focused on edtech, or despairing over the widening skills gap, apprenticeships have been rebooted. Modern, tech-driven apprenticeships are emerging as a faster, cheaper and more impactful alternative to higher education.

In Europe, tech companies — and nontech companies increasingly hiring entry-level workers with discrete tech skills — are already leveraging apprenticeships to provide a direct route into the labor market for diverse talent. From software engineers to data analysts, the apprentice of the 21st century is as likely to wield a keyboard as a wrench.

Fully employed from day one, apprentices earn a wage while they learn on a program that is entirely free to the individual. Their training is delivered alongside their role, with this applied learning approach ensuring relevant skills are tested and embedded right away.

Part of the challenge presented by the existing system is that college provides a single shot of learning at the start of a career, with a focus on knowledge rather than skills. Instead of time-consuming traditional education models, we should be encouraging companies to focus on training individuals for highly skilled jobs and adapting training as roles shift through a lifelong learning journey.

Against a college system churning out graduates armed with knowledge of limited applicability in the workplace, apprentices have real-work experience and transferable skill sets in the tech and digital spaces.

As we write this, tech apprenticeships represent less than 1% of American apprenticeships , while 78% of apprentices are white. But change is in the air. In recent weeks, the Biden administration has gone out of its way to highlight tech as a growth area for apprenticeships.

The president also announced his commitment to raising apprenticeship standards, starting with casting off industry-recognized apprenticeship programs lacking in quality and training rigor.

These aren’t just words, either. The apprenticeship reboot will be powered by a new National Apprenticeship Act . This proposed legislation commits $3 billion over the next five years to expanding registered apprenticeship programs across a range of industries. If it’s done right, tech will be front and center.

The benefit to businesses

All this is welcome good news for businesses desperate to close skills gaps. As roles evolve at an ever-faster pace, it’s becoming more and more difficult to know what a college degree actually says about an individual’s ability. Yes, they went to a “good” school. But when half of Americans say their degree is irrelevant to their current role, how does prestige translate to jobs, let alone ability to perform in the workplace?

Increasingly operating in the dark, tech businesses and nontech managers hiring for tech roles are competing with each other to poach experienced talent into senior roles. It’s continuing to fish in a very limited, homogeneous pool and an expensive short-term solution.

Professional apprenticeships allow business leaders to be more strategic and proactive in their hiring practices. They can mold apprentices to the roles they actually need to fill while focusing on their organization’s specific requirements. It beats relying on uniform, outdated education models.

Better still, by training apprentices from the start of their career, companies inspire loyalty and eliminate the tricky transition phase recent grads and external hires usually need. Once converted to full-time employees, apprentices tend to persist for twice as long as traditional direct hires.

While skills gaps are created by the future racing toward us, racial inequalities are rooted in our past. Professional apprenticeships help break down entrenched structural barriers to careers in industries like tech.

Most important, they look beyond the degree requirements that screen out 67% of Black and 79% of Hispanic Americans. Because apprenticeships are paid pathways to economic opportunity, they truly level the playing field and allow companies to make genuine advances toward racial equality — beyond a few neatly crafted Instagram posts. Meanwhile, by tapping into diverse talent pools early, businesses can develop individuals and build real, recognizable routes to the boardroom.

They would be right, too. A 2020 report by McKinsey found companies with the highest diversity earned 35% more than their industry average. Similarly, the share returns of the most diverse companies in the S&P 500 outperformed the least diverse by a staggering 240%.

The time for change is now. According to the National Center for Education Statistics, 41% of grads end up in roles that don’t require a degree. With COVID-19 hitting young workers particularly hard, this figure is set to rise unless we embrace new approaches, including professional apprenticeships. In creating a direct and meaningful career pathway for young adults, they can help businesses close skills gaps and hit their much-vaunted diversity targets.

There’s no single solution to these challenges. But the professional apprenticeship can be education’s biggest contribution.

(文:Sophie Ruddock、Ryan Craig、翻訳:Dragonfly)

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COMMENTS


28080:
2021-05-11 20:25

「商品棚、商品はドーナツだけ。飲み物の種類も極めてシンプルです。飲茶はありませんね。ねえんだわ普通のドーナツ屋には。」 現存するアメリカ唯一のミスタードーナツへ行ってきました | オモコロ

28082:
2021-05-11 17:57

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28081:
2021-05-11 12:15

アメリカってきちんとワク●ン で何人死亡って報告するよね。 ただ、この数より多そう? 認められた数だもんな。

28087:
2021-05-11 11:53

日本で強い規制をかけられないのは、私権が制限できないからという説明。いかにも胡散臭い。ニュージーランドやフランスやドイツやアメリカや英国…どこだって自由を尊重する民主国家だが、ロックダウンをはじめ私権を制限しとるだろ。

28078:
2021-05-11 11:13

アメリカミスドの店長から日本のみんなによろしくとメッセージを預かって参りました  現存するアメリカ唯一のミスタードーナツへ行ってきました | オモコロ

28076:
2021-05-11 08:06

中韓企業は、昔の日本企業の先人が進めた現地でニーズ、デザインを汲み取り、ブランドイメージを絶え間なく上げる事を地道に進めてた結果。 それは真似やパクリとは言わない。 今の日本企業は日米貿易摩擦時代のアメリカ。 株価の為の財務と過去のブランドと技術凄…

28085:
2021-05-11 07:45

日本の感動アニメを見て泣いてしまったアメリカ人男性が「男の証明書を失った」と掲示板に書き込んでたのは印象的だったな……

28084:
2021-05-11 06:15

韓国映画のゾンビは足速くて怖いな… アメリカのゾンビの方が共存できそう…

28083:
2021-05-11 04:11

アメリカひけで日経ショートしとけばたられば、、まよったんだがねぇ、、

28086:
2021-05-11 03:05

かって、アジア系移民の拒絶の法律があったからななぁ。 しかし太平洋戦争で日本敗戦でもアメリカが助けてくれたからなぁ。日本経済復興は一重にアメリカあってのこと。 ソ連が支配していたら貧困の北朝鮮になっていた。 co/7D…

28077:
2021-05-11 02:49

各国でコロナのワクチンの接種が進むなか、見方が分かれているのが妊娠中の女性への接種です。アメリカで、妊娠中にワクチンの接種を受けた日本人の女性が取材に応じ、当時の心境や判断のポイントについて話しました。各国の見方についてもまとめて…

28079:
2021-05-11 01:03

No.304 Operator: Northwest Airlines Aircraft: Boeing757-251 Registration: N504US Location: DTW/KDTW Date: 23 December 1992 この…

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