iOSアプリ内でそれぞれのサブスクの管理や返金が可能に、アップルがStoreKit 2を発表

今回は「iOSアプリ内でそれぞれのサブスクの管理や返金が可能に、アップルがStoreKit 2を発表」についてご紹介します。

関連ワード (App Store、Apple、WWDC、WWDC2021、アプリ、サブスクリプション等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


iOSアプリの中でサブスクリプションを購入し、後でキャンセルしたりアップグレード、ダウングレードあるいは払い戻しをしたいと思ったことのある人なら、そのための変更や申請のやり方がわからなくて苦労したことだろう。中にはアプリをiPhoneから削除するだけでサブスクリプション料金を取られなくなると信じている人もいる。iPhoneの設定アプリやApp Storeを探し回って返金方法を見つけようとする人もいる。Apple(アップル)が今週のWWDC 2021で発表したStoreKit 2は、そんなユーザーの苦労を少し和らげてくれるかもしれない。

StoreKitはAppleのアプリ内購入を管理するためのデベロッパーフレームワークだ。ここ数年複雑さをましている分野だ。なぜなら、多くのアプリが1回の買い切りからサブスクリプション方式に切り替ええ、さまざまなコースや期間や機能の選択肢を提供しているからだ。

画像クレジット:Apple

現在、サブスクリプションを管理または解約したい人は、App StoreかiPhoneの設定から行うことができる。しかし、設定アプリからそこへ至るためにはApple ID(画面トップの自分の名前とプロフィール写真がある部分)をタップする必要があることに気づかない人もいる。設定アプリやApp Storeの使い方に慣れていないために挫折することもあるだろう。

ちなみに「アプリ内サブスクリプション」の返金を要求するにはさまざまな方法がある。たとえばメールの受信箱からAppleの領収書を探し出して、「Report a Problem (問題を報告)」リンクをタップすれば、問題があったときに返金を要求することができる。これは、サブスクリプションを間違えて(あるいは子どもが!)購入してしまったときや、約束されていた機能が目的どおりに働かなかったときなどに有用だ。

Appleは、専用ウェブサイトも提供していて、そこではアプリやコンテンツの返金を直接要求することができる(「Apple 返金手続き」などのワードで検索すると、たいてい検索結果のトップにこのページが出てくる)。

しかし、多くのユーザーは技術に長けていない。そんな人たちにとって、サブスクリプションを管理したり返金手続きをする最も簡単な方法は、おそらくそのアプリ内で行うことだ。このため、多くの良心的アプリ開発者は、ユーザーをAppleのサブスクリプション管理や返金のページに誘導するリンクをアプリ内に設けている。

StoreKit 2は、デベロッパーがその種の仕組みをさらに簡単に実装するための新しいツールを導入した。

新しいツールの1つがManage Subscription API(サブスクリプション管理API)で、デベロッパーはユーザーをApp Storeにリダイレクトすることなく、アプリ内で直接サブスクリプション管理ページを表示することができる。またデベロッパーはオプションとして、ユーザーに「Save Offer(割引特典)」画面を表示して、解約を思い止まらせるための割引などを提案したり、サブスクリプションを中止する理由を尋ねる出口アンケートを行うこともできる。

新機能が実装されると、ユーザーはApp Storeでサブスクリプションの解約や変更を行う時とまったく同じ画面をアプリの中で見ることができる。解約後には、解約の詳細とサービスが使えなくなる日付の書かれた確認画面が表示される。

ユーザーが返金を要求したいときは、新しいRefund Request API(返金手続きAPI)を使えば、ここでもApp Storeや他のウェブサイトにリダイレクトされることなく、アプリ内で直接返金手続きを開始できる。ユーザーは表示された画面で、返金して欲しい項目を選択し、返金を求める理由にチェックを入れる。返金手続きはAppleが処理し、返金を承認または却下した通知がデベロッパーのサーバーに送られる。

しかし、中にはこの変更でもまだ十分ではないというデベロッパーもいる。彼らは顧客のサブスクリプション管理や返金の手続きを、プログラムによる方法を使って自分自身で行いたいのだ。ちなみに、現在ユーザーが返金申請の結果を受け取るまでには最大48時間かかるとAppleは言っているので、混乱を招く可能性もある。

「Appleは手続きを多少スムーズにしましたが、デベロッパーは未だに返金や解約を自身で主導することができません」とRevenueCat(レベニューキャット)のCEO Jacob Eiting(ジェイコブ・イーティング)氏は指摘する。この会社はアプリ開発者がアプリ内購入を管理するためのツールを提供している。「これは正しい方向への一歩ですが、誰が返金の責任を持つかに関して、デベロッパーと消費者の間の混乱を大きくする恐れがあります」。

関連記事:スケール展開が難しいサブスク事業の構築に必要なツールを提供するRevenueCat

つまり、アプリの中で申請がやりやすくなったことで、ユーザーは返金手続きをデベロッパーが行っていると信じる可能性がある。実際には今と同じくAppleが行っているのに。

People could write in after uninstalling the app. Or have subscribed on a device they no longer have. There are so many cases that this ignores.

This is only a marginal improvement over opening the manage subscriptions URL.

— Jacob Eiting (@jeiting) June 8, 2021

新しいプロセスが対応していないシナリオもあると指摘するデベロッパーもいる。例えばユーザーがアプリをすでにアンインストールしていたり当該デバイスをすでに所有していない場合には、従来と同じく他の方法で返金を申請しなくてはならないことだ。

しかし消費者にとっては、この種のサブスクリプション管理ツールができることは、今以上に多くのデベロッパーが、サブスクリプション管理や返金申請のボタンをアプリ内に置くようになり、体験が向上することを意味している。ユーザーがアプリを使うこともサブスクリプションを管理することも簡単にできるようになれば、デベロッパーは顧客維持や利用度の向上が見込め、App Storeのレビュー評価も高くなる、とAppleは述べている。

The new additions to SwiftUI, been wanting Pull to Refresh and to improve accessibility. Then surprisingly StoreKit 2, especially for users requesting refunds and managaging subscriptions seamlessly (also great for Buffer).

— Andrew Yates (@ay8s) June 8, 2021

StoreKit 2の変更は、サブスクリプションと返金を管理するためのAPIに限定されていない。

デベロッパーは、新たにInvoice Lookup APIも利用できるようになり、ユーザーのアプリ内購入を調べて請求書を確認したり購入に関する問題を特定したりすることができる。例えばApp Storeですでに返金処理が行われているかどうかを知ることができる。

新しいRefunded Purchases API(返金済み購入API)を使うと、デベロッパーが特定ユーザーによる返金をすべて見ることができる。

Sounds like StoreKit can validate receipts on device and allow users to request refunds. Didn’t have those on my bingo card but wow those are some nice quality-of-life updates!

— Conrad Stoll (@conradstoll) June 7, 2021

新しいRenewal Extension API(更新延長API)は、使用不可期間が生じた場合に、デベロッパーが有効な有料サブスクリプションの更新時期を延期することができる。たとえばストリーミングサービスがダウンした場合などのカスタマーサポート問題に対応するためだ。このAPIを使うとデベロッパーは、年間2回まで、それぞれ最長90日間サブスクリプションを延長することができる。

そして、新しいConsumption API(コンテンツ消費API)では、デベロッパーがユーザーのアプリ内購入に関する情報をApp Storeと共有できる。これはApp Storeでの返金承認手続きの際に役立つ情報だ。ほとんどの場合、ユーザーは購入直後からコンテンツを使用し始める。しかしこのAPIを使うことで、App Storeはユーザーがアプリ内購入したものを一部あるいは全部使ったのか、あるいはまったく使っていないのかを知ることができる。

他には、ユーザーがアプリを再インストールしたり別のデバイスでダウンロードしたときに役立つ変更がある。これまでユーザーは、新たにダウンロードしたり再インストールしたアプリに、完了した支払い状態を「購入の復旧」によって手動で同期する必要があった。これからはその情報はStoreKit 2が自動的に取得するので、アプリはユーザーの支払状況を直ちに更新できる。

Very interesting changes to StoreKit. Apps will now be able to automatically restore and sync purchases, so users won't need to restore when the app is reinstalled or downloaded on a new device! https://t.co/WSs6L9rTvK

— Marcos Tanaka (@mactanaka) June 8, 2021

全体としてはStoreKitフレームワークにとって大きな意味のあるアップデートだが、デベロッパーが自身のサブスクリプション顧客に対するコントロールを拡大することに対するAppleのためらいぶりは、この会社がどれほどアプリ内購入を支配したがっているかをものがたっている。おそらくそれは、過去にデベロッパーによる返金管理を許そうとして痛い目にあったためだろう。

2021年5月、Epic Games(エピック・ゲームズ)対Appleの反トラスト裁判に関連してThe Vergeが報じたところによると、AppleはかつてHulu(フールー)にサブスクリプションAPIを提供したところ、Huluが高額のサブスクリプション・プランにアップグレードしようとしたユーザーに対して、App Storeを通じて自動的にサブスクリプションを解約する方法(訳注:Appleの手数料を回避するため)を知らせていたことを知った。AppleはこうしたAPIの誤使用を防ぐために行動を起こす必要があることを認識し、Huluは後にAPIへのアクセスを失った。それは、当該APIが広く利用可能になる前のできごとだった。

その反面、サブスクリプション管理と返金を、デベロッパーではなく、Appleに任せることは、Appleが詐欺行為防止に関連する責任をもつことを意味している。詐欺行為はユーザー、デベロッパー両方によるものがあり得る。また、ユーザーにはサブスクリプション請求を1カ所、すなわちAppleで管理したい、という要望もある。デベロッパーとの個別のやりとりは、一貫性のない体験になりがちでユーザーにとってありがたくない。

一連の変更が重要なのは、サブスクリプション収入がAppleの裕福なApp Storeビジネスに多大な貢献をしているからだ。WWDC 21の前にAppleは、2020年のApp Storeでのデジタル製品とサービスの売上が前年比40%増の860億ドル(約9兆4080億円)に伸びたことを報告した。2021年1月Appleは、App Storeが2008年に開始して以来、2000億ドル(約21兆8800億円)以上をデベロッパーに支払ったてきたことを発表した。

画像クレジット:TechCrunch


【原文】

If you’ve ever bought a subscription inside an iOS app and later decided you wanted to cancel, upgrade or downgrade, or ask for a refund, you may have had trouble figuring out how to go about making that request or change. Some people today still believe that they can stop their subscription charges simply by deleting an app from their iPhone. Others may dig around unsuccessfully inside their iPhone’s Settings or on the App Store to try to find out how to ask for a refund. With the updates Apple announced in StoreKit 2 during its Worldwide Developers Conference this week, things may start to get a little easier for app customers.

StoreKit is Apple’s developer framework for managing in-app purchases — an area that’s become more complex in recent years, as apps have transitioned from offering one-time purchases to ongoing subscriptions with different tiers, lengths and feature sets.

Image Credits: Apple

Currently, users who want to manage or cancel subscriptions can do so from the App Store or their iPhone Settings. But some don’t realize the path to this section from Settings starts by tapping on your Apple ID (your name and profile photo at the top of the screen). They may also get frustrated if they’re not familiar with how to navigate their Settings or the App Store.

Meanwhile, there are a variety of ways users can request refunds on their in-app subscriptions. They can dig in their inbox for their receipt from Apple, then click the “Report a Problem” link it includes to request a refund when something went wrong. This could be useful in scenarios where you’ve bought a subscription by mistake (or your kid has!), or where the promised features didn’t work as intended.

Apple also provides a dedicated website where users can directly request refunds for apps or content. (When you Google for something like “request a refund apple” or similar queries, a page that explains the process typically comes up at the top of the search results.)

Still, many users aren’t technically savvy. For them, the easiest way to manage subscriptions or ask for refunds would be to do so from within the app itself. For this reason, many conscientious app developers tend to include links to point customers to Apple’s pages for subscription management or refunds inside their apps.

But StoreKit 2 is introducing new tools that will allow developers to implement these sort of features more easily.

One new tool is a Manage subscriptions API, which lets an app developer display the manage subscriptions page for their customer directly inside their app — without redirecting the customer to the App Store. Optionally, developers can choose to display a “Save Offer” screen to present the customer with a discount of some kind to keep them from cancelling, or it could display an exit survey so you can ask the customer why they decided to end their subscription.

When implemented, the customer will be able to view a screen inside the app that looks just like the one they’d visit in the App Store to cancel or change a subscription. After canceling, they’ll be shown a confirmation screen with the cancellation details and the service expiration date.

If the customer wants to request a refund, a new Refund request API will allow the customer to begin their refund request directly in the app itself — again, without being redirected to the App Store or other website. On the screen that displays, the customer can select for which item they want a refund and check the reason why they’re making the request. Apple handles the refund process and will send either an approval or refund declined notification back to the developer’s server.

However, some developers argue that the changes don’t go far enough. They want to be in charge of managing customer subscriptions and handling refunds themselves, through programmatic means. Plus, Apple can take up to 48 hours for the customer to receive an update on their refund request, which can be confusing.

“They’ve made the process a bit smoother, but developers still can’t initiate refunds or cancellations themselves,” notes RevenueCat CEO Jacob Eiting, whose company provides tools to app developers to manage their in-app purchases. “It’s a step in the right direction, but could actually lead to more confusion between developers and consumers about who is responsible for issuing refunds.”

In other words, because the forms are now going to be more accessible from inside the app, the customer may believe the developer is handling the refund process when, really, Apple continues to do so.

Some developers pointed out that there are other scenarios this process doesn’t address. For example, if the customer has already uninstalled the app or no longer has the device in question, they’ll still need to be directed to other means of asking for refunds, just as before.

For consumers, though, subscription management tools like this mean more developers may begin to put buttons to manage subscriptions and ask for refunds directly inside their app, which is a better experience. In time, as customers learn they can more easily use the app and manage subscriptions, app developers may see better customer retention, higher engagement, and better App Store reviews, notes Apple.

The StoreKit 2 changes weren’t limited to APIs for managing subscriptions and refunds.

Developers will also gain access to a new Invoice Lookup API that allows them to look up the in-app purchases for the customer, validate their invoice and identify any problems with the purchase — for example, if there were any refunds already provided by the App Store.

A new Refunded Purchases API will allow developers to look up all the refunds for the customer.

A new Renewal Extension API will allow developers to extend the renewal data for paid, active subscriptions in the case of an outage — like when dealing with customer support issues when a streaming service went down, for example. This API lets developers extend the subscription up to twice per calendar year, each up to 90 days in the future.

And finally, a new Consumption API will allow developers to share information about a customer’s in-app purchase with the App Store. In most cases, customers begin consuming content soon after purchase — information that’s helpful in the refund decision process. The API will allow the App Store to see if the user consumed the in-app purchase partially, fully, or not at all.

Another change will help customers when they reinstall apps or download them on new devices. Before, users would have to manually “restore purchases” to sync the status of the completed transactions back to that newly downloaded or reinstalled app. Now, that information will be automatically fetched by StoreKit 2 so the apps are immediately up-to-date with whatever it is the user paid for.

While, overall, the changes make for a significant update to the StoreKit framework, Apple’s hesitancy to allow developers more control over their own subscription-based customers speaks, in part, to how much it wants to control in-app purchases. This is perhaps because it got burned in the past when it tried allowing developers to manage their own refunds.

As The Verge noted last month while the Epic Games-Apple antitrust trial was underway, Apple had once provided Hulu will access to a subscription API, then discovered Hulu had been offering a way to automatically cancel subscriptions made through the App Store when customers wanted to upgrade to higher-priced subscription plans. Apple realized it needed to take action to protect against this misuse of the API, and Hulu later lost access. It has not since made that API more broadly available.

On the flip side, having Apple, not the developers, in charge of subscription management and refunds means Apple takes on the responsibilities around preventing fraud — including fraud perpetrated by both customers and developers alike. Customers may also prefer that there’s one single place to go for managing their subscription billing: Apple. They may not want to have to deal with each developer individually, as their experience would end up being inconsistent.

These changes matter because subscription revenue contributes to a sizable amount of Apple’s lucrative App Store business. Ahead of WWDC 21, Apple reported the sale of digital goods and services on the App Store grew to $86 billion in 2020, up 40% over the the year prior. Earlier this year, Apple said it paid out more than $200 billion to developers since the App Store launched in 2008.

(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook )

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[E3 2021]ギター教習ゲーム「Rocksmith」の新作が発表。スマホをマイクとして使えるうえ,サブスクリプション形式での提供に

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