デジタル定着化支援ツールは従業員ケアにも貢献–Pendo.ioの高山代表

今回は「デジタル定着化支援ツールは従業員ケアにも貢献–Pendo.ioの高山代表」についてご紹介します。

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 企業や組織でデジタル化による業務効率化への取り組みの一つとして、クラウドアプリケーションなどの新規導入がある。使いこなせれば導入効果を期待できるが、導入当初は従業員が以前の使い慣れたアプリケーションからの移行にとまどい、その後もなかなか定着しにくいというケースが珍しくないだろう。こうした課題に対処する「デジタル定着化支援ツール」と呼ばれる製品やサービスへの注目が高まりつつある。

 デジタル定着化支援ツールには、主に動画やアプリケーション画面上でのポップアップ表示などで、ユーザーに対して目的に沿った操作の手順や入力方法などを案内するガイダンスやナビゲーションを行う機能、また、ウェブサイトなどの解析技術を応用してユーザーのアプリケーションの利用状況に関するデータを収集・分析する機能がある。

 前者の機能では、使い方に困ったユーザーが膨大な内容のマニュアルを参照してもなかなか理解しづらいといったケースでユーザーを支援する。後者の機能では、ユーザーの利用状況を可視化することで、多くのユーザーが操作方法に問題を抱えがちな部分を特定して改善に役立てたり、あるいは使いこなしているユーザーの特徴を把握して、使いこなせていないユーザーをサポートするための方策を検討する手がかかりに活用したりといったことができる。

 2021年に日本市場に参入したPendo.ioは、2013年に米国で創業し、デジタル定着化支援ツールにおける分析とガイダンス、またユーザーからのフィードバックを収集・管理する機能の3つを備える「Pendo Product Adoption Platform」を展開。現在は、トレンドマイクロなどグローバルで2000社以上の顧客を抱える。

 同社日本法人のPendo.io Japanでカントリーマネージャーを務める高山清光氏は、ツールの特徴を「ソフトウェアを活用するためのソフトウェアと位置づけている」と話す。アプリケーションは進化が速く、開発者にとってユーザーが使いこなせないまま取り残されてしまう状況は好ましくない。そのため、使い方を案内したり利用状況を把握したりする機能が求められ、これまで同社のツールは、主にソフトウェア開発会社で多数導入されてきたという。

 それに加えて最近増えているのが、前述した業務のデジタル化に伴う新規導入アプリケーションを組織に定着させていきたいとするIT部門などのニーズだという。「IT部門としても、新規導入した業務アプリケーションを定着させる必要がある。そこで利用状況を把握し、アプリケーションを使いこなして生産性を高めている部門や従業員の傾向を分析して、より多くの部門や従業員に定着させていく方法を検討し、組織全体での効果につなげようと活用している」(高山氏)

 高山氏によれば、さらに昨今では、コロナ禍で拡大するテレワークでメンタルヘルスに課題を抱える従業員をアプリケーションの利用状況から把握したいという問い合わせも出てきているという。

 「長引く在宅勤務でコミュニケーションの機会が減り、ふさぎ込みになりがちで心身に支障をきたしてしまう従業員への対応も課題になっているとお聞きすることが多くなってきた。そこでアプリケーションの利用状況から生産性を落ちてしまっているなどの兆候を把握し、問題を抱える従業員をできるだけ早くケアできるようにしたいというご要望が増えている」(高山氏)

 このようにデジタル定着化支援ツールは、活用できれば、多様な効果を望むことができる。だが高山氏は、デジタル定着化支援ツールを適用する上で対象とするアプリケーションに合わせた準備に一定の手間を要することが難点だとも話す。このため同社は、差別化のポイントとして、使い始めやすいことを考慮していると高山氏はアピールする。

 「例えば、ガイダンスの機能では、ユーザーに使い方を示す画面をHTMLで作成する必要が多く、エンジニアなどある程度の知識が求められる。そこでノーコード開発機能も用意しており、IT部門が本格的なガイダンスを用意している間に、導入部門の担当者でも対応できるようにしている」

 また分析機能でも、事前に分析シナリオを検討しておき、計測したい部分やその部分に計測のためのコードを設定する必要がある。同社の分析機能では「遡及(そきゅう)分析」を用意しているといい、まずは簡易的な計測を設定しておき、後から新たに分析したいシナリオが出てきても、先に計測したデータからさかのぼって目的に応じた分析を行えるという。

 同社の2021年の主な事業展開は、日本法人の立ち上げと販売店を開拓・育成する「チャネルデベロップメントパートナー(CDP)」としてマクニカとの協業開始だった。2022年は事業展開を本格化させていく。

 「2022年は、CDPとして数社、各CDPを通じて数十社の販売パートナーを開拓し、50~100社の新規導入顧客を獲得したい。デジタル定着化支援ツールへの期待は大きく、アプリケーションの定着化支援という元々の価値からしっかりと導入メリットを訴求していきたいと考えている」(高山氏)

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