「Salesforce」で実現する新規上場–ラバブルマーケティンググループが語る、導入の勘所
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マーケティング企業グループのラバブルマーケティンググループは、グループ企業である24-7の伴走型支援を得て「Salesforce」を導入し、「業務プロセスの標準化」と「労務管理」への対応を実現した。その目的は、東京証券取引所・グロース市場への新規上場である。
一朝一夕では成し遂げられないのが新規上場株式(IPO)である。一般的には、IPOの数年前から監査法人や主幹事証券会社の選定、資本政策の検討に取り組まなければならない。併せて内部統制の文書化や内部監査ポリシーの決定も必要だ。上場のタイミングをゴールとして、直前期、直前々期と期間を区切るが、その間には取引先に反社会的勢力が含まれていないか、社内の経費使用は適切かなど、チェック範囲は多岐にわたる。
2021年12月21日に東京証券取引所・グロース市場へ上場を遂げたラバブルマーケティンググループは、コロナ禍で上場のタイミングこそ遅れたものの、Salesforceの導入でIPOに至った。執行役員 コーポレート本部管掌の中川徳之氏は「創業時からIPOを見据えていたが、上場基準に合わせた内部統制や業務プロセスの標準化が必要だった」とSalesforceを導入した理由を説明する。
Salesforceは一般的に営業支援システム(SFA)や顧客関係管理(CRM)として利用されることが多いが、社内の業務プロセス改善に用いられるケースも少なくない。中川氏は「定められた業務プロセスの展開を設計・実行するには、システムの導入が必要」と語る。
SFA/CRMソリューションは多岐にわたるが、Salesforceを選定した理由として同氏は「当然、Salesforceよりも安価なソリューションは存在したが、導入や運用、会社のフェーズに合わせたカスタマイズの容易さで決めた」と説明する。同時にグループ企業であるコムニコが先行してSalesforceを導入し、活用例を示していたのも大きかった。
ラバブルマーケティンググループでは、Salesforceを新規取引先の反社チェックや与信審査、契約書の締結審査、見積書、請求書などの帳票や受発注などの売上原価の承認などに用いている。「反社チェックの例で言うと、営業担当者が持ち込んだ案件を上長が承認し、法務担当者が各種データベースから確認して、最終的にコーポレートの責任者が最終承認する仕組み」を構築した。従来は案件によっては申請・承認フローが可視化されず、承認のログが取れていない状態だったが、同システムを構築することで一連業務の工数短縮や多角的な分析が可能になったという。
ラバブルマーケティンググループは、Salesforceを勤怠/工数管理サービス「TeamSpirit」や会計ソフト「freee」などのSaaSと連動させて運用している。「他のソリューションと組み合わせてバックオフィスを管理できるのもSalesforceが持つ特徴の一つ」と中川氏は説明し、他部署へ異動した従業員の引き継ぎに要する期間も短縮したと評している。一連のシステムを構築した24-7 代表取締役の守屋玲央氏は「データの可視化が重要」と強調した。何らかの問題が発生した場合も役員レベルにまで確認してもらう必要がない承認フローを構築し、東京証券取引所が求める上場申請会社に必要な体制に適合させている。
「当社は2019年初頭からSalesforceのパートナー申請を検討し、2020年1月に取得した。その結果、導入支援や開発・連携支援、運用・定着化支援をサービスとして提供している」と守屋氏。当初は24-7とは別の企業が導入を担当していたが、その内容は内部統制の構築に対するニーズを満たせているものではなかった。「例えば反社チェックを回したいと伝えれば対応するが、承認後の契約対応などの業務フロー構築までは提案してくれない。当社に声がかかった時、『同じ目線で一緒に考えてほしい』と強く言われたことを覚えている」と同氏は当時を振り返る。
その上で、Salesforceの導入時は「顧客の要望を具体化し、要件定義をするのが重要なポイント。ここが成立せずに機能を追加すると、構築期間の長期化やコスト増につながり、結局使いにくいソリューションになってしまう」と守屋氏は指摘した。
Salesforceについても「海外製品は、ローカライズや日本産の製品との連携が十分ではないと評されることが多いが、Salesforceは製品の日本語対応が進んでおり、サポート体制も充実している。日本産の製品との連携も進んでおり、国内の各ベンダーもSalesforceと連携することを強く意識した開発がされている」と守屋氏は評している。24-7はラバブルマーケティンググループを含めたグループ企業のSalesforce運用支援と、顧客企業へのサービス提供を継続していく。