萌芽的トピックは少人数による継続的論文発表によって創出―筑波大学が萌芽的トピック創出のプロセスを数量的に解析

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本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


研究テーマには、独創的で意外性のある芽生え期の研究である「萌芽的」と呼ばれるものがある。筑波大学(大庭良介 准教授)では、そうした萌芽的トピックの創出の特徴と、研究者の関わり方について、過去半世紀にわたって数量的に解析を行った。その結果、萌芽的トピックとノーベル賞級のインパクトのあるトピックとでは、創出のプロセスが違うことがわかった。

今日、世界では数多くの萌芽的研究が発表されるものの、大きく発展するものはごく一部であり、残りは期待された成果を得られずに消えている。これに関して筑波大学は、「萌芽的トピックを把握し、その萌芽する原理を理解することは、科学技術の発展促進に不可欠」と考えた。そこで、生命科学と医学の分野で最大規模を誇るアメリカの文献検索エンジン「PubMed」で検索可能な、この半世紀間に出版された3000万件の論文を対象に、「萌芽的トピックを同定する独自の方法」を用いて解析を行った。

それにより判明したのは、「既存の萌芽的トピックが新たな萌芽的トピックの創出を促す」のが大半であるのに対して、ノーベル賞級の影響力を持つ萌芽的トピックは「それとは異なるプロセスで創出される割合が高い」ということだった。萌芽的トピックを持つ論文は、比較的少人数のチームによって発表されるが、事前に関連トピックの継続的論文発表が行われており、そこで重要性を増している。それに対して、ノーベル賞級トピックは、さらに少人数のチームが、事前の関連論文の発表などがなく突然発表される傾向が強い。このことから、萌芽的トピック創出には、過去の業績を見ることが研究費投資の評価指標として有効であるが、ノーベル賞級研究成果の創出には有効でないことがわかった。

萌芽的トピック創出後の研究者の関わりについては、1990年代半ばまでは、創出された萌芽的トピックが別の研究者の参入により発展していたのに対して、2000年以降は、それを発表した研究者自身が継続的に研究している傾向が見られた。その理由は、トピック外の研究者が参入しにくい障壁が生じているか、他の研究者には魅力のないものになっていることが考えられるという。近年、1つの研究結果を出すのに必要な人的金銭的な資源は増加を続けているものの、それに見合う成果は得られず、投資に対して期待したリターンが得られていない。この研究は「その原因の一端を表している」とのことだ。

生命科学と医学の分野では、実験設備は人員に多大な資金がかかるため、資金獲得が研究の成否に結びついている。しかし、研究費の大きさが本当に萌芽的トピックやノーベル賞級トピックの創出と発展に貢献しているのか、今後は、その投資のあり方について探索を進めるという。

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