ウィズセキュアの成長戦略–BtoBへの集中とSaaSモデルへの移行

今回は「ウィズセキュアの成長戦略–BtoBへの集中とSaaSモデルへの移行」についてご紹介します。

関連ワード (セキュリティ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 フィンランドのセキュリティ企業F-Secureの法人事業部門が分社化されたWithSecureは現地時間6月1日、同社カンファレンス「SPHERE22」においてプレス限定セッションを開催した。社長兼最高経営責任者(CEO)Juhani Hintikka氏が登壇し、同社戦略について話をした。

 WithSecureが“良きビジネスと良きパートナーシップ”という理念に基づいていると述べるHintikka氏は、サイバーセキュリティの課題全てを一社で解決することはできず、協業が不可欠という考えがブランドの中核にあると説明する。同社は、分社化という変化の時期にあるが、デジタル社会における信頼を築き、維持するために存在するというパーパス(存在意義)は、F-Secureを創設した30年以上前からと変わりはなく、現在の世界情勢下においてこれまで以上に重要だとする。

 「フィンランドが国際ニュースで大きく取り扱われることは滅多にないが、その状況は、ロシアのウクライナ侵攻により一変した」とHintikka氏。フィンランドは、国防について常に現実的なアプローチを取っており、それは、ロシアと長く国境を接するというだけでなく、強力な国防体制を常に保っていることによるためだという。

 同氏は、フィンランドがロシアへの恐怖から北大西洋条約機構(NATO)加盟を申請したという見方はあまりにも単純化され過ぎているとし、フィンランドは、ロシアによる脅威を常に意識しており、NATOにとっては重要なパートナーで、北欧の安全保障と防衛力を強化するだろうと続ける。

 ロシアがウクライナに侵攻して以来、フィンランドの重要インフラを標的とした攻撃はさほど増加していないという。しかし、北大西洋条約機構(NATO)加盟を申請したことにより、ロシア系のハッカー集団にとって興味深い標的になりつつあることは確かだとHintikka氏は述べる。

 NATO加盟に関して世論に影響を与えることを目的とした偽情報をまん延させるという活動は、遅きに失した感があるが、より懸念すべきは、ロシア政府、あるいは同国から支援を受けたグループがサイバー攻撃を仕掛ける可能性だとHintikka氏は語り。サイバースパイ攻撃もあり得ると続けた。

 フィンランドにとって、今日のような戦争の脅威は驚きではなく、強力な官民パートナーシップ(PPP)といった準備を数十年にわたってしてきたという。その上で、デジタルアセットのバリューチェーンやほとんどあらゆることがグローバルな性質を帯びていることから、フィンランドがNATOという文脈で新たなパートナーに依存するというアプローチからも恩恵を得られる可能性があるとの考えを示した。

 ヘルシンキで起業した同社は、「Windows」用ヒューリスティックスキャナー、モバイルフォン用ウイルス対策といった製品を最初に立ち上げたイノベーターであり、その創業者らは、サイバーセキュリティに関してフィンランドを世界的に知らしめることに貢献したとHintikka氏。WithSecureは、創設30年以上を経た現在でも、政府と法執行機関を支援する役割を担っており、フィンランドのサイバーレジリエンス(回復力)に対するアプローチは、あらゆる種類のサイバー攻撃に対する備えを開発・維持するために協業を活用する方法において、世界中でモデルとなっているという。

 欧州での紛争は、フィンランドとその国防能力に注目を集める原因となっただけでなく、国々が主要技術を他国に依存していることも明らかにしており、半導体価格に影響を与える可能性をHintikka氏は示唆した。また、技術的な標準も重要になり、欧州連合(EU)が規格を独自に制定しないと、他国の規格を採用せざるを得なくなるとも警告した。

 サイバーセキュリティは現在、欧州のICT分野で約3%を占めているという。最も急速に成長している市場の一つであり、2025年には450億ユーロを超えると予想されている。同社はこの分野で主導的な役割を果たしたいと考えているとHintikka氏。

 企業は、投資の拡大にもかかわらず、侵害行為やサイバー攻撃の成功の増加に悩まされており、これはサイバーセキュリティ業界が抱える課題だとHintikka氏は指摘する。同社は、セキュリティのアウトカム(成果)に注力することで、測定可能な価値を提供するという。

 同社は、与えられた予算に対してライセンスやサービスを販売する通常のティック・ア・ボックス・アプローチを超え、セキュリティとビジネスを結びつけたいと考えている。それがクラウドへの安全な移行や新たな脅威に対するレジリエンスであろうと、アジリティー(俊敏性)を高めるための競争優位性の獲得であろうと、セキュリティとビジネスを結びつけるのが同社の目標だという。

 Hintikka氏は、マトリックス(下図)を示し、列挙されている業界プレーヤーのほとんどがソフトウェア企業かサービス企業に区別されることを指摘。それに対して、WithSecureは、ソフトウェアと人、テクノロジーと人の両方を組み合わせており、それこそが「勝利の組み合わせ」だとした。その理由として、急速に進化・成長する市場においては、適切な製品を適切なタイミングで提供してニーズに応えることはほとんど不可能なことを挙げた。

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