ボストン・グローブ紙が記事内の実名や顔写真の削除を求める人々の要望を検討する委員会設置

今回は「ボストン・グローブ紙が記事内の実名や顔写真の削除を求める人々の要望を検討する委員会設置」についてご紹介します。

関連ワード (プライバシー、メディア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


The Boston Globe(ボストン・グローブ)紙は、新聞の記事が自分の評判を害していると感じた人が、その記事の更新や匿名化を求めることができる新しいプログラムを開始している。これはEUの「忘れられる権利」を連想させるが、物議を醸す可能性は少ないだろう。同紙の編集部のみに関係することで、コンテンツにとらわれない検索エンジンとは違うからだ。

この「Fresh Start(フレッシュスタート)」と名づけられた取り組みは、レストランの悪いレビューや重大な犯罪の報道を削除するためのものではなく、むしろ、ごく一般的な犯罪事件記事のためのものだ。たとえば「誰々が無秩序な行為で逮捕され、逮捕に抵抗した」と100語程度で書かれた顔写真つきの記事などである。

もちろん、このような記事は、読者に地域の犯罪を知らせるという目的を果たしている。しかし、グローブ紙の編集者であるBrian McGrory(ブライアン・マクグローリー)氏は、次のように指摘する。

短くて比較的重要ではないグローブ紙の記事が、その対象となった一般の人々の未来に影響を与えることは、決して我々の意図ではありませんでした。

刑事司法制度を考えると、これは有色人種に過度な影響を与えているというのが私たちの感覚です。このプログラムの背後にある考え方は、それに対処を始めるというものです。

警察官の偏見による証言が、報道で遺伝的な偏見に変わる。これは深刻な問題であり、米国が何十年にもわたって取り組んできた問題だ。しかし、それはデジタル記録の性質によって悪化している。

応募書類を見る雇用主は、名前や他のいくつかの詳細を検索するだけで、顔写真付きの犯罪記録のような目立った情報を見つけることができる。また、メディアは低所得層の逮捕者についてよく取り上げるが、低所得層者が無罪判決や不起訴処分になったことはほとんど取り上げない。結局、誰もそんな記事をクリックしないからだ。そのため、報道は不完全なものになり、記事に書かれた人にとって潜在的に不利益な情報となることが多い。

検索エンジンのレベルでこれを修正しようとする欧州での試みは、反対と困難に直面している。検索エンジンはそれ自体が索引を作成する情報に関わっているわけではないし、検索エンジンが何を削除するべきか、または削除するべきではないかを決定する立場に置かれるべきではないという意見もあるからだ。さらに、1つの記事が複製されたり、何十回、何千回と引用されたり、インターネットアーカイブのようなサイトにバックアップされたりすることがあるので、タスクは複雑になるだろう。では、どうすればいいのだろうか?

同時に、出版物の削除や内容の変更を求めるよりも、検索エンジンの検索する可能性に制限を求める方が、言論の自由を脅かすものではないことは確かだ。議論は現在も続いている。

グローブ紙のアプローチは、Google(グーグル)に人の記録を「忘れさせる」ほど包括的なものではないが、ずっと単純で反対意見も受けにくい。グローブ紙はもちろん自身の記事に対する編集権を行使しており、問題は情報の一部を消し去ることではなく、そもそもそれがニュース価値のあるものであったかどうかを再検討することだ。

グローブ紙の新しい試みの発表の中で、デジタル版担当のJason Tuohey(ジェイソン・トーヘイ)編集長は次のように述べている。「フレッシュスタート委員会でそんな記事を変更したとしても、我々はなぜ、来週も同じような記事を載せるのか?」

グローブ紙は、記事の更新を求める人々からの嘆願を審査するために10人の委員会を設置した。「更新」であり、決して「削除」されることはない、とつけ加えておくことが重要だ。以前のCleveland Plain Dealer(クリーブランドのプレイン・ディーラー紙)による同様の取り組みでは、人々は裁判所の記録抹消命令を提示する必要があったが、グローブ紙の場合は法的なハードルはない。

フレッシュスタートのチームは、これが複雑なものになるだろうということはすぐに認めている。自動化された要求や詐欺的な要求が確実に押し寄せてくるだろうし、公人はとりあえず要求してみるだろう。出来事や身元を確認するために証拠が必要な場合、それが何であるかについては意見が分かれるだろう。そして最後に達成されるのは、1本の記事、あるいはその1行だけが、変更されることになるだろう。そしてそれは、おそらくインターネット上で散々複製されたりアーカイブされた後のことになる。しかし、これはスタートだ。

1つの新聞だけがこれをやっても大きな効果はないかもしれないが、プログラムが成功すれば、他の新聞社も注目するかもしれない。そして、トーヘイ氏が指摘したように、実際に司法制度がどれほど凋落しているかを知ると、そもそも報道機関の英知が揺らいで見えるようになる。新たに発見した懐疑論を、人々が過去の出来事にも適用したくなるのは当然だろう。

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画像クレジット:terekhov igor / Shutterstock


【原文】

The Boston Globe is starting a new program by which people who feel an article at the newspaper is harmful to their reputation can ask that it be updated or anonymized. It’s reminiscent of the EU’s “right to be forgotten,” though potentially less controversial, since it concerns only one editorial outlet and not a content-agnostic search engine.

The “Fresh Start” initiative isn’t for removing bad restaurant reviews or coverage of serious crimes, but rather for more commonplace crime desk reporting: a hundred words saying so-and-so was arrested for disorderly conduct and resisting arrest, perhaps with a mugshot.

Such stories do serve a purpose, of course, in informing readers of crime in their area. But as the Globe’s editor, Brian McGrory points out:

It was never our intent to have a short and relatively inconsequential Globe story affect the futures of the ordinary people who might be the subjects. Our sense, given the criminal justice system, is that this has had a disproportionate impact on people of color. The idea behind the program is to start addressing it.

Evidence of bias in policing, which is turned into inherited bias in reporting, is a serious problem and one the country has been grappling with for decades. But it is exacerbated by the nature of the digital record.

An employer looking at an application has only to search for the name or a few other details to find any standout information, such as a crime sheet entry with a mugshot. And while outlets often cover low-level arrests, they rarely cover low-level acquittals or dropped charges. No one clicks on those, after all. So for many the result is incomplete and therefore potentially damaging information.

The attempt in Europe to fix this at the search engine level has been met with opposition and difficulty, since search engines are not in charge of the information they index and felt they should not be put in the position of deciding what should or shouldn’t be removed. Furthermore the task may be complex, as a single article may be replicated or referenced dozens or thousands of times, or backed up on a site like the Internet Archive. What then?

At the same time, it’s certainly less of a threat to free speech to ask a search engine to limit discoverability than to ask a publication to remove or change its content. The debate is ongoing.

The Globe’s approach is nowhere near as comprehensive as making Google “forget” a person’s record, but it is considerably simpler and less open to opposition. The paper exerts editorial control over itself, of course, and the question is not one of putting a piece of information down the memory hole, but revisiting whether it was newsworthy to begin with.

“It’s changing how we look at our coverage,” said managing editor for digital Jason Tuohey in the Globe announcement of its new endeavor. “If we change a story like this with the Fresh Start committee, why would we assign one like it next week?”

The newspaper has established a 10-person committee to examine petitions from people asking to have articles updated — never removed, it’s important to add. While an earlier effort like this at the Cleveland Plain Dealer required people to show a court record expungement order, there is no legal bar to meet here.

The team admits off the bat that this will be complicated. Automated or fraudulent requests will surely pour in, public figures will take a shot, there will be conflicting opinions on what evidence, if any, is required to confirm an event or identity, and so on. And at the end, all that will be accomplished is one article, perhaps even just one line, will be altered — long after it has been replicated across the web and archival infrastructure. But it’s a start.

One paper doing this may not have a large effect, but if the program is successful other outlets may take notice. And as Tuohey noted, the wisdom of publishing the information in the first place starts to look shaky when one learns how ramshackle the justice system really is. Perhaps it’s only fair that people have a shot at applying that newfound skepticism to events of years past.

Anyone who thinks they could benefit from Fresh Start can apply here.

(翻訳:TechCrunch Japan)


プライバシー – Wikipedia

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プライバシーマーク制度|プライバシーマーク制度は、事業者の個人情報の取扱いが適切であるかを評価し、基準に適合した事業者に”プライバシーマーク”の使用を認める制度です。

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日本大百科全書(ニッポニカ) – プライバシーの権利の用語解説 – 伝統的な意味では、「一人で放っておいてもらう権利」right to be let alone、つまり、人がその私生活や私事をみだりに他人の目にさらされない権利をいう。たとえば、家庭の内情や個人の会話を公開されたり、私室をのぞきこまれたり、過去の経…

COMMENTS


190:
2021-01-27 10:30

GoogleがCookieに代わるターゲット方式による広告収入はほぼ変わらないと主張するもプライバシー面は不透明 co/F1q7h3nuaO (2021-01-26 05:39 PM)chCrunchJP

189:
2021-01-27 10:30

しかし、行政機関の情報を開示請求した場合には、プライバシーは関わる部分や、法人の利益に関わる部分は法律上、開示されない情報になります。 なので、どの情報のことをいっているのか知らないですが、基本的に公開された情報で、企業の営業妨害になるような情報は少ないのでは、と思います。

188:
2021-01-27 10:30

一日あたりの検索数が1億を突破( co/3SPE2S9dtW )し、徐々に成長しているDuckDuckGoさん。 現段階の[コロナ ワクチン]7-10位の様子です。 プライバシーを守る事は重要と思いますが、その前に命を守って欲しい。 h…

187:
2021-01-27 10:30

プライバシー特化のメッセージングアプリのシグナル、仮想通貨決済サービスを導入か co/tVVqIamA2e

186:
2021-01-27 10:30

もう少し言うと、公開されている情報でも、誰でも手に入る情報でも、ネットにあげるという行為が不法行為になることはあり得ます。 会社の登記簿に取締役の住所が載ってますが、それをネットで公開すると、プライバシー侵害になり得ます。

185:
2021-01-27 10:30

簡易ボイチェン機能っぽいの試したらプライバシー保護音声と化して笑ってる(シマリスのような甲高い声を試した)(お外の車の音すごいけど許して) co/EkmvXKZRGD

184:
2021-01-27 10:30

しかし、行政機関の情報を開示請求した場合には、プライバシーは関わる部分や、法人の利益に関わる部分は法律上、開示されない情報になります。 なので、どの情報のことをいっているのか知らないですが、基本的に公開された情報で、企業の営業妨害になるよう…

183:
2021-01-27 10:30

グーグルは22年までに「クローム」でサードパーティークッキーを利用できなくする一方、「コホートの協調機械学習(=FLoC)」と呼ぶ技術で代替する方針だ。プライバシー保護と効率的な広告配信を両立させることを狙う。グーグル、脱「クッキ… co/Ynq74eiQkP

182:
2021-01-27 10:30

ネットのプライバシーは話が大きすぎて実感ない人多そうだけど、例えば会社が従業員のネット閲覧履歴を監視して閲覧内容に応じて何か会社が言ってくる、みたいなものだと考えると気持ち悪いですよね。 Google、脱「クッキー」加速 4月から広告主と試…

181:
2021-01-27 10:30

プライバシー特化のメッセージングアプリのシグナル、仮想通貨決済サービスを導入か co/duZp8LG0En co/yLq9QBhAHV

180:
2021-01-27 10:30

これは論点がズレてて DMを晒さないのは送ってきた人との信頼関係を壊したくないから 元々信頼関係もクソもない相手からのDMはプライバシーもなけりゃコンフィデンシャルでもねえ セクハラや嫌がらせDMはじゃんじゃん晒すべし 晒されたくないなら送るな h…

179:
2021-01-27 10:30

@noah_marugari 「設定とプライバシー」→「プライバシーとセキュリティ」→「ダイレクトメッセージ」から「フォロー外のメッセージを受け取る」をONにすれば、誰からでもDMを受け取れるようになります! もしくは、私が感想を… co/ZDqIFTncLl

178:
2021-01-27 10:30

またしてもアップルの対応に手間どったのでブログにまとめた。 > [iOS] App Store Connectの「Appのプライバシー」のチェック項目について co/VsiC0uGkqy

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