「拠点に関係なく人材を集める仕組みが重要」:Deel、日本上陸1年の成果と今後の戦略
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グローバルHRソリューションを展開するDeelの日本法人Deel Japanは、日本上陸から1年を迎えるに当たり、その成果やリモート雇用の状況、今後の戦略について説明した。
日本の雇用市場は、「年功序列化した給与や退職金制度」「非ジョブ型の評価制度」「生産性が低くとも解雇されない」といった日本独特のカルチャーや制度により“ガラパゴス化”しているとカントリーマネージャーを務める中島隆行氏は述べる。
その一方で、海外人材の必要性が高まっていることやリモートワークを容認しないと人材不足に対応できなくなっていることに加え、「『人的資本経営』『ジョブ型』『リスキリング』といったキーワードが出てきたことで、日本の雇用制度も少しずつ変えていかなければいけない状況になっている」という。
現在、日本では、普通国債残高は累増しており、国内総生産(GDP)に対する債務残高も他国に比べて多い。この状況を改善するためには、労働人口を増やすか生産性を高めるかして生産力を上げる必要がある。だが、労働人口は20年後には5000万人を下回る可能性があると言われている。生産性についても、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中28位と低く、政府としてはデジタル変革(DX)による改善を図ろうとしている。
しかし、DXを支えるIT人材は、2030年に最大で79万人が不足すると言われ、そのうち先端IT人材は55万人に上るという。教育やリスキリングだけでは需要の逼迫に対応できないと中島氏。
海外に目を向けると、グローバルでは人材争奪戦が激しくなっている。2030年までに8520万の人材が不足すると予測されており、多くの国が高度人材へのビザ発給を最優先化している。そのため、インドなどの人材供給国から優秀な人材を獲得するための競争が活発化しており、人材供給国では平均給与が高騰しているという。
これらの状況を踏まえ、日本企業がやらなくてはいけないこととして、「海外即戦力の活用体制を作る」「グローバルでの人材獲得競争に勝つ」「グローバル人材の効果的な活用」を中島氏は挙げ、これらをDeelとそのパートナーが実現するとした。
海外即戦力のリモート活用を容易にするため、Deelは、拠点を設立していない国向けの「Contractor(業務委託)」「EOR(代替雇用)」、拠点を設立した後の「Global Payroll(給与/労務管理)」といったサービスを提供し、越境人材のリモート雇用、契約書、ペイロール、税金申告、労務管理をワンストップで可能にする。
海外人材の獲得競争に勝つために活用できるのがEORと中島氏。EORは、日本企業が海外人材を獲得する際、現地に自社法人がなくても、Deelが法人を持っていれば代わりに雇用契約を結ぶ。Deelが全ての雇用責任を負い、企業は指示命令系統を受け持つ。これにより、人材を日本に連れてくることや現地に拠点を設立することに比べてコストを抑えられる。「その分を給与に上乗せできれば獲得競争で勝つことができる」(中島氏)