生活費高騰の中、購入の決め手にはCXも関与–クアルトリクス調査
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クアルトリクスは12月9日、良くない顧客体験(CX)による損失額に関するグローバルの年次調査「悪い体験後に起こること:2022年版」と、生活費高騰の中で消費者がCXに求めることの調査の結果を発表した。
これによると、回答者の約半数が「良くない体験をしたら、そのブランドへの支出を減らすか、支出を完全にやめる」とし、生活費が高騰する中、半数以上が「出費すべきものの優先順位を見直した」と答えたという。
良くないCXによる損失額の調査は、クアルトリクスの調査機関「XM研究所」が2022年8~9月に実施し、日本在住の18歳以上の回答者1199人から回答を得た。消費者がCXに求めることの調査は2022年10月に実施され、日本在住のフルタイムで働く18歳以上の回答者1006人を対象としている。
良くないCXによる損失額の調査結果によると、質の悪いCXによって、日本での消費者との商取引収益の3.3%に当たる、約890億米ドルが損失すると明らかになった(2022年12月7日時点で約12兆2450億円)。消費者が「過去90日間の中で非常に悪い体験をした」と回答した割合は7%と諸外国と比較して低いものの、約半数の47%が「良くない体験をしたら、そのブランドへの支出を減らすか、支出を完全にやめる」としている。
一方、消費者がCXに求めることの調査によると、最近の生活費高騰という状況において半数以上の53%が「出費すべきものの優先順位を見直した」と回答した。こうした中、特定のブランドから製品やサービスを購入する決め手となる要素は、「値段」(31.4%)、「品質」(26%)、「商品購入の手軽さ」(19%)が上位に来るものの、「カスタマーサービス」(3.8%)、「多様な支払いオプション」(4.8%)、「返品ポリシー」(2.3%)など、購入の検討から購入後にわたるCXが決め手になるという意見も一定数見られた。一連の顧客体験を通してロイヤルティーが向上し、ファンとなった同僚や友人からの勧めが決め手になるという回答も3.5%を占めている。
また、コロナ禍で多くの企業がオンライン上のカスタマーサービスの向上を目指す中、日本在住者の約6割が、オンラインで受けたサービスの質について「変わっていない」と回答。「少し低下している」または「著しく低下している」という回答も13%と、オンラインでのサービスが消費者の期待に沿えていない事態が浮き彫りとなった。
オンラインでの体験が期待に沿った場合、「より多く消費するか」という質問に「少し同意する」または「著しく同意する」と答えた割合は29%、「よりロイヤルティーが向上するか」(同)は40%だった。この結果からクアルトリクスは、オンラインサービスの向上はロイヤルティーの向上につながるとしている。そのため、オンラインサービスの目標や重要業績評価指数(KPI)を消費金額ではなくロイヤルティーの向上に変更するなど、消費者のニーズを見定める必要があるという。
CXソリューション ストラテジー シニア ディレクターの久崎智子氏は「今回の調査から、顧客体験の向上には、カスタマージャーニーやオムニチャネルで提供するサービスが顧客の気持ちに寄り添っているかを再考すること、実際の顧客の声に寄り添って考えることが重要であると改めて判明した」とコメントしている。
「これからの体験管理には、これまでのKPIをゼロベースで考えるほか、顧客に『何を求めているのか』と単純に聞くのではなく、『今どういう気持ちか』『目的を達成するまでの負担はどれくらいだったか』とリアルタイムに聞き続け、その答えの背景を解釈する力を育みながら、経営層を巻き込んでCXを向上させることが必要となる。ビッグデータに頼らず、一部の顧客の声だとしてもまずはその声を聞き続けて改善していく、それを繰り返すことでロイヤルティーの向上や他社との差別化につながるだろう」(久崎氏)