HPE国内売り上げの2割が「GreenLake」に–2023会計年度の事業戦略

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 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は12月9日、オンラインで事業戦略説明会を開催し、従量課金型サービス「HPE GreenLake」が国内売り上げの2割を占めるまでに成長したことを明かした。2023会計年度(2023年11月期)の事業戦略も引き続きGreenLakeを中核に据え、顧客企業のハイブリッド型のIT利用やデータ活用の支援に注力する方針を表明した。

 説明を行った代表執行役員社長の望月弘一氏は、まず2022会計年度(2022年11月期)のグローバルでの業績を報告した。売上高は前年同期比12%増の790億ドルと順調で、GreenLakeの売り上げも通期で同68%増、第4四半期(2022年9~11月)で同33%増となるなど、全体的に好業績だったとした。

 望月氏は、2015年の分社化時から掲げる、オンプレミスやエッジ、クラウドにまたがる顧客のIT利用に対応していく「ハイブリッドIT」が着実に拡大し、ハイブリッドITの環境にクラウドライクなサービスや提供モデルを展開していく同社の経営戦略「Everything as a Service」が顧客からの支持を獲得していると総括した。これを踏まえて2022会計年度では、顧客のデータ活用にもフォーカスする「データファーストモダナイゼーション」を掲げてきた。

 望月氏によると、現時点でハイブリッドIT型を採用する企業は50%を占め、今後3年以内に70%に高まる見込みだという。一方で、セキュリティやコンプラインスなどの制約からクラウドに展開されるワークロードが30%程度にとどまっているとし、「顧客がハイブリッドなIT環境をクラウドのように利用したいと考えている。さまざまな要件に対応しつつ、データ活用を含め、顧客のITコスト最適化やアジャイルなIT利用を実現するための当社の戦略を継続し、進化させていく」(望月氏)という。

 2022~2025年の国内IT市場の見通しとして望月氏は、各種の市場統計や予測を踏まえて、エッジコンピューティング領域が2.1倍、クラウド領域が1.6倍、データ領域が1.9倍にそれぞれ拡大するとし、各領域での提供ソリューションとパートナーエコシステムの拡充によって、国内事業をさらに拡大する余地が十分にあると述べた。

 事業戦略の中核となるGreenLakeは、国内売り上げ全体の20%以上を占めるという。グローバルでは10%程度とし、特に日本市場で顧客からの引き合いが高いそうだ。2023会計年度の事業戦略では、GreenLakeのさらなる推進を中心とする「ソリューションメニューの拡大」、営業体制を中心する「セールスエンゲージメントの変革」、循環型経済の実現を中心とする「持続可能な社会への貢献」の3つを重点施策に位置づける。

 「ソリューションメニューの拡大」では、GreenLakeを“第2段階”に引き上げる。“第1段階”はIT製品・サービスを従量課金型で使う利用モデルの変革であり、これが顧客に浸透しつつある中で、“第2段階”としてはオンプレミスやエッジ、クラウドの環境の違いを吸収し一貫性のあるクラウド型のIT運用モデルに変える。同時にパートナーソリューションも従量課金型モデルで本格的に展開できるようにするという。

 具体的には、エッジ領域では5GおよびIoTの業界別ソリューションを新規展開し、ローカル5G(自営型5Gシステム)とWi-Fiをシームレスに連携する機能を提供する。クラウド領域では、企業のミッションクリカルシステムに対応する「HPE GreenLake for Private Cloud Enterprise」の新規提供や、顧客がオンデマンドでIT管理サービスを利用できる仕組みの提供を予定する。データ領域では、マネージド型のデータ統合サービス「HPE GreenLake for Data Fabric」の提供と、人工知能(AI)開発におけるパートナーソリューションの連携強化を図る。この他に、HPEのデジタルトランスフォーメーション(DX)ノウハウをベースにしたコンサルティングサービス「DNA」にも注力する。

 「セールスエンゲージメントの変革」では、営業体制をテクノロジー製品販売と業界・業種別ソリューション販売に分け、それぞれの顧客ニーズにきめ細かく対応していく。また、ソリューション領域でパートナー協業モデルの拡充させるほか、既存顧客に対する提供価値の拡大を通じてアップセルを図る。

 「持続可能な社会への貢献」では、調達、製造、廃棄の製品ライフサイクル全般において環境負荷の小さな部材の採用や再生可能エネルギーの利用促進、他社製品を含む廃棄品のリサイクル化などを推進していくとした。

 また日本法人として、2030年までに女性社員と女性幹部の比率を30%以上にする「Vision 30」施策と、多様な社員が活躍できるようになる「DEI(ダイバシティー、エクイティー、インクルージョン)推進カウンシル」にも取り組むとしている。

 事業戦略説明会には、パートナーゲストとして伊藤忠テクノソリューションズ(CTC) エンタープライズ事業グループ エンタープライズビジネス企画室長の田中匡憲氏も登壇。HPEとの関係が旧Compaq製品の取り扱いを開始した1992年からの30年に及ぶとし、豊富な実績があると説明。近年は、GreenLakeの売り上げが年率170%で成長しているといい、CTCオリジナルの保守サポートなどを加味したサービスを提供するなど、今後もこのソリューションに注力していくなどと述べた。

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