WebAssemblyにガベージコレクション機能が登場、Chrome 111で試験的実装に。Dartなど高級言語のWebAssembly対応へ前進
今回は「WebAssemblyにガベージコレクション機能が登場、Chrome 111で試験的実装に。Dartなど高級言語のWebAssembly対応へ前進」についてご紹介します。
関連ワード (困難、機能、複数等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、Publickey様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
WebAssemblyのガベージコレクション機能が、Chrome 111 Devリリースにおいて試験的実装を示すOrigin trialとして実装されることが分かりました。
WebAssemblyのガベージコレクション機能はまだ仕様策定段階ですが、試験的機能として実装が登場することで仕様策定の作業などが進むと同時に、いわゆる高級言語でのWebAssembly対応が広がることも期待されます。
WASM GCはChromeのフィーチャーフラグで有効化
ChromeブラウザにはStable、Beta、Dev、Canaryなど、開発の段階に分かれた複数のリリースチャンネルがあります。
現在リリースされているChrome 111 Devリリースチャンネルには、試験的実装を示すOrigin Trialとして「WebAssembly Managed Objects / GC」が実装されました。
Chrome 111 Devリリースのフィーチャーフラグを実行すると、有効にするためのメニューを表示できます。
FlutterがWebAssemblyのガベージコレクションを用いた最初の例に
WebAssemblyはこれまでガベージコレクション機能を備えておらず、そのためにプログラマが完全にメモリを管理するC++や、シンプルな仕組みで自動的にメモリ管理が行われるRustのような、いわゆる低級プログラミング言語で書かれたコードをコンパイルすることが基本的なWebAssemblyバイナリの生成方法でした。
JavaやPythonやRubyなどのいわゆる高級プログラミング言語はプログラミング言語のランタイムが自動的にメモリ管理を管理し、ガベージコレクションを行ってくれる仕組みを備えています。
そのため、それらのコードをコンパイルしてWebAssembly対応のバイナリを生成したとしても、そこにガベージコレクションの機能を埋め込まなければ実行できず、コンパイルしてWebAssembly対応のバイナリを生成することは困難でした。
WebAssemblyに対するガベージコレクション機能の拡張は、こうした高級言語でのWebAssembly対応が主な目的です。
すでにUIフレームワークのFlutterとその開発言語であるDartが、WebAssemblyのガベージコレクション対応を利用した最初のフレームワークになることを宣言しています。
参考:Flutterが進化する方向とは? WebAssemblyサポート、コンポーネントとしてWebアプリに組み込み可能に。Flutter Forward 2023
FlutterとDart、そしてChromeブラウザはいずれもGoogleのプロダクトであるため、ここではそれぞれのチームが連係しているのかもしれません。
DartとFlutterの対応を皮切りに、さまざまな高級言語でのWebAssembly対応が進めば、今後のWebAssemblyの活用範囲はさらに広がることが期待されます。ただし最初にWebAssemblyに実装されるガベージコレクション機能はシンプルな実装で、しかもある程度性能を犠牲にすることになるとされているため、いきなり多くの言語が対応することはないと見られます。
WebAssemblyのガベージコレクション対応実装は、ChromeだけでなくFirefoxも前向きに進めているとのことです。