地球温暖化で懸念されるインターネット障害の増加–大手IT企業の対策は?
今回は「地球温暖化で懸念されるインターネット障害の増加–大手IT企業の対策は?」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
カリフォルニア州サクラメントでは2022年9月初旬に気温が華氏116度(摂氏約47度)にまで上昇し、過去100年の最高気温を更新した。政府はその際、住民に対してできる限り屋内にとどまり、涼しい環境で過ごすよう呼びかけた。当時、人々はTwitter上で不平不満をぶちまけていたが、こういった状況において同ソーシャルメディアは他のインターネットサービスとともに、機能停止に陥ってしまう可能性があったという。
CNNの報道によると、該当地域内に設置されているTwitterのデータセンター全体が機能停止に追い込まれたという。Twitterユーザーらは、単なる乾燥した熱波であり、Twitter断ちはあらゆる人々にとって良いことだという冗談をツイートしていたが、実際の状況はそれ以上に深刻なものだった。同社のエンジニアリング担当バイスプレジデントであるCarrie Fernandez氏は社内向けのメモに、もしもアトランタかポートランドにあるデータセンターの機能が停止した場合、「Twitterユーザー全員のトラフィックが扱えなくなる可能性もある」と記していた。
同社は当時、この一件についての詳細な説明を控えていたが、10月に入った時点で、Twitterユーザーのアクセスや利用に影響が及ぶことはなかったと述べた。同社の広報担当者はその際、「われわれのチームがアップデートをリリースするためのツールやリソースを使える状況は維持されており、今後もシームレスなTwitterエクスペリエンスの提供に向けて取り組んでいく」と語っていた。
他のリージョンにある同社のデータセンターはオンライン状態を維持しており、ユーザーは通常通りのツイートが可能だったが、この一件によって、会社の業務を継続するための、そして友人や家族との連絡を絶やさないようにするためのオンラインサービスが、いかに気候変動の影響を受けるのかという点が浮き彫りにされた。2022年にはこの他にも、猛暑によるデータセンターの機能停止が発生している。7月にロンドンが観測史上最高の熱波に見舞われた際、GoogleとOracleそれぞれの施設で障害が発生した。こうした障害は、気候変動による温暖化が進み、天候が極端なものになっていくにつれ、増えていく可能性がある。
気候変動がかつてないほど速いペースで進む中、これは大きな問題となる。2022年は、その平均気温が20世紀の平均気温よりも華氏1.55度(摂氏0.86度)高くなり、観測史上6番目に暑い年となった。気温の上昇は常態化しており、国際連合(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2021年に、何の対策もとられなければ状況はさらに深刻になると予測している。
世界規模での温暖化が進む中、停電や水不足がさまざまな地域で発生している。データセンターは、こうした厳しいリソース状況に最初に直面する分野の1つと言ってもよいだろう。というのもデータセンターは、サーバーを稼働させ続けるための膨大な電力や、空調(しばしばサーバーを冷却するための水)、設備監視用のセンサー類、消火設備、電力逼迫(ひっぱく)時やソフトウェア異常時に備えたバックアップシステムといった、複雑かつ、回復力に優れたデータのエコシステムを必要としているためだ。