サイバネットら3社、XR技術を活用した都市設計ツールを開発–市民参加型のワークショップ実施

今回は「サイバネットら3社、XR技術を活用した都市設計ツールを開発–市民参加型のワークショップ実施」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 サイバネットシステムとインフォ・ラウンジ(横浜市)、山手総合計画研究所(横浜市)は、XR(クロスリアリティー)技術を用いた体験型の都市設計(アーバンプランニング)ツール「Tangible Interface XR」を共同で開発し、横浜市中区で実証実験を行った。4月21日に同実証の成果発表会を開催した。

 同実証は、国土交通省が主導する「3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクトPLATEAU」のユースケース開発事業の一つ「PLATEAU YOKOHAMA」として、2022年4月から2023年3月にかけて実施。横浜市の市庁舎がJR・関内駅前からみなとみらい線・馬車道駅に移転したことで、人の動線が大きく変化したことを踏まえ、新市庁舎周辺の大岡川沿いの街区を対象に実証を行った。

 PLATEAUは、国土交通省が作る3D都市モデルで、全国100都市でのデータ整備、50都市でユースケース開発が進んでいるという。横浜でも3D都市モデルの整備が進められており、同実証ではこのデータを活用してまちづくりを推進する。

 3社が共同で開発したTangible Interface XRは、都市模型(ジオラマ)を直接触れることができるようにタンジブルインターフェース化し、仮想現実(VR)と組み合わせたツール。テーブルに設置されたジオラマの形状とレイアウト情報を実寸大の3Dデジタルツインの景観としてVRヘッドセットやディスプレイに表示させ、模型を動かすとリアルタイムに景観に反映される。

 ソフトウェアは「Unity」で開発されている。模型の底面に配置した2次元マーカーをテーブル下部のカメラから読み取り、画像処理ライブラリー「OpenCV」と、拡張現実(AR)マーカーを扱うライブラリー「ArUco」を用いて2次元マーカーの位置をUnity内の座標に変換し、指定したオブジェクトを3D空間上に表示する仕組みだ。

 利用者はVRを用いて模型で造られた世界に入り、実際に都市の中を歩いているように風景の変化を主観的に観察するだけでなく、人物や調度品の模型を動かして実際の配置を体験できるという。実際にまちの景観を見て、その場で模型を動かして視覚化できるため、専門知識を持たないさまざまな人でも議論ができ、率直な意見や感想を出せると3社は期待している。

 今回取り組むPLATEAU YOKOHAMAでは、「ARセッション」「行政セッション」「タンジブルセッション」の3セッションを用意。空間に関する専門家と市民との有効なコミュニケーションのためのタンジブルインターフェースツールTangible Interface XRの開発とワークショップの企画を行い、実際に市民や専門家、行政を対象にワークショップを開催し、その実用性を検証する。

 ARセッションでは、インフォ・ラウンジが開発した「ARタグ付けアプリ」を活用。同アプリは、スマートフォンのブラウザー上で動作するウェブアプリで、ユーザーはまちに関する印象や改善のアイデアを写真とコメント付きで投稿できる。また、同アプリにPLATEAUの地物データを連携することで、建築物など任意の位置を特定して感じた印象やアイデアのタグ付けも可能だという。

 同セッションには、市民や横浜市職員、有識者など30人が参加し、対象エリアに関する印象やアイデアに関するタグは283個集まった。

 行政セッションでは、住民から出た意見を行政職員や専門家が分析し、「入り船通りのもったいないを魅力に変える」「水辺が人々の目的となる場所へ」というまちづくりの方向性を示した。この2つのテーマを軸にタンジブルセッションを実施。Tangible Interface XRを用い、参加者はグループごとの議論に沿って、建物やオブジェクトを動かし、画面上に再現される3Dの景観を見ながら新しいアイデアを試行した。

 タンジブルセッションの参加者からは、「(タンジブルインターフェースは)誰でも操作できるのが非常に大事で、年代などの立場を超えたコミュニケーションができて良かった」「メタバースは全てデジタルで完結しているが、今回のツールは模型を動かすことができるアナログな手法がデジタルと連動していて良かった」というポジティブな意見が出たという。

 また、行政職員からは「これからの都市デザインを考える意味で、さまざまな立場の人が同じ目線で議論できるツールだと感じた」「ステークホルダーなど多数の関係者との合意形成が必要となるまちづくりの現場において、このツールを活用することで双方が楽しみながら議論を展開することができるのではないかと感じた」という声も挙がった。

 3社は今後もタンジブルインターフェースの改善を行い、まちづくりの施策検討に活用していくという。

 同実証においては、インフォ・ラウンジが全体統括、ウェブシステム開発、ワークショップを企画・実施。サイバネットシステムは、3D統括と3Dオーサリングを担当。山手総合計画研究所は、ワークショップの企画実施協力およびタンジブルインターフェースの開発を行った。

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