ミスミに聞く、基幹システムのマイクロサービス化で挑戦する可観測性
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ミスミグループ本社は、最新の基幹システム「NEWTON」を整備するプロジェクトにおいて、全面的なマルチクラウド化とマイクロサービス化に取り組み、新たにオブザーバビリティ(可観測性)の仕組みを取り入れた。従来のシステム監視をさらに発展させるオブザーバビリティの意義などについて、同社NEWTON基幹開発推進室 セクションリーダーの石原昌尚氏に話を聞いた。
同社は、金型部品やファクトリーオートメーション(FA)関連製品などの製造(メーカービジネス)と、さまざまなメーカーの部品製品などの販売(流通ビジネス)を手掛ける。 紙カタログやオンラインカタログで取り扱う商品点数は、カスタマイズを含めると800垓(1兆の800億倍)という規模にもなる。顧客は約33万4000社に上り、約半数が海外企業という。 近年は、機械部品調達の AI プラットフォーム「meviy(メビー)」や、アルミフレーム筐体の設計・見積もり・発注のサービス「MISUMI FRAMES」などのデジタルサービスを展開している。
これまで基幹システムは、1989年に導入したメインフレームを約30年にわたり運用していた。この間に業績は、約200億円から約3500億円に、顧客とのやりとりも紙からウェブ、CAD(コンピューター支援設計)へと変化し、商品点数も激増しており、「EC企業と成長していくためにも、私たちが中心となって事業を支えていく基幹システムを実現すべく、抜本的かつ全面的な更改を決めました」(石原氏)
新しい基幹システム「NEWTON」は、正式名称は「NExt generation & World class Technology Oriented New platform」で、拡大し続ける同社のデジタルビジネスを支える基盤となるため、先進的かつ世界水準のテクノロジーを意欲的に採用した。
まずインフラ面は、ベンダーロックインが課題でもあったオンプレミス環境から、ビジネスの拡大へ柔軟に対応できるパブリッククラウドをメインとして、Amazon Web Services(AWS)を採用し、さらに高い可用性を担保すべくGoogle Cloudを組み合わせたマルチクラウド構成となっている。そして、モノリシック(一枚岩)となっていた各種業務システムをクラウド環境に即して最新化すべく、Google Cloudの「Anthos」を活用して、AWSとGoogle Cloudにまたがるコンテナーベースのマイクロサービス環境を構築した。
石原氏によれば、NEWTONでは、「アプリケーション層」「マイクロサービス層」「エンタープライズ層」の3層で構成するアーキテクチャーをとしている。アプリケーション層は、ユーザーの業務サービスと、インターフェースや体験(UI/UX)の部分で、ローコード基盤(「OutSystems」を採用)や業務プロセス管理(「Pegasystems」を採用)を整備している。エンタープライズ層は、「SAP S4/HANA」などのERP領域となる。
マイクロサービス層は、これまで顧客向けや社内向け、仕入れ先向けといった各システムで重複していた業務ロジックやルールを共通化し、「Apigee」を用いた APIのゲートウェイを介してそれぞれのシステムと接続するマイクロサービスアーキテクチャーとなっている。環境の構築・運用は「Pulumi」を用いたインフラストラクチャーアズコード(IaC)とした。そして、オブザーバビリティプラットフォームとしてDatadogを採用している。