プログラマーの仕事はAIを部下として使う管理職になるのか
今回は「プログラマーの仕事はAIを部下として使う管理職になるのか」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
筆者はこの10年ほど、フルタイムでアドバイザーや評論家、コラムニストなどの仕事をしているが、その前は企業で管理職として働いていた。キャリアの最初の頃は製品マーケティング担当の企業役員を務めていたし、その後、出版社でも働いたことがある。長年の間、自分の部下を持っていたわけだ。
自分が管理していた部下には、編集者や、営業担当者や、プログラマーや、製造チームや、ほかの役員などがいた。
キャリアを変えて本当に良かったと思うことの1つは、部下の報告を聞かなくていいことだ。今は、誰の仕事も管理せずに済む。
管理職になった経験がない人は、上司は部下に仕事を押し付け、威張り散らして過ごしていればいいと考えている。しかし、管理職をしたことがある人なら、上司は、ただ部下に指示通りに仕事をさせるためだけに、非常に多くの時間を費やしているという現実を知っている。
そうなってしまう原因の一部は、明確な指示を出していない上司の側にあるのかもしれない。しかし、指示を誤解したり、受動攻撃的な態度で文字通りにしか指示に従わなかったり(これは筆者自身が自分の上司にやっていたことなので、因果応報とも言える)、単に何をしなければならないかについていちいち交渉する必要があったりする部下の方にも同じくらい責任がある。
筆者がプログラミングを好きな理由の1つがそれだ。プログラミングでは、コンピューターは人間の指示通りに動き、指示から外れることは一切ない。もちろん、プログラムが正確に指示に従ったことでバグにつながる場合も多いし、特に、初めて実行したときにはバグが発生しやすい。でも、それは構わないのだ。間違いはそのコードの中にあると分かっているのだから。
適切なアルゴリズムを編み出したり、頭の中にあるアルゴリズムやデータ構造を、実際に動くコードに変換するのは大変ではあるが、コードはコードだ。一貫性があるし、それなりに予測可能だと言える。
そこに登場したのがAIだ。ChatGPTのようなAIに指示を与えることは、プログラミングよりもプログラマーに指示を与える作業に近く、すべてが解釈と交渉の対象になる。もちろん何らかの結果を得ることはできるし、大量のコーディングなしでは得られなかったような結果が得られることもある。しかし、それには一定の駆け引きや、交渉や、指示の見直しなどが必要で、うまくいくまでには何度も試行錯誤を繰り返さなくてはならない。
AIに同じプロンプトを2回与えても、返ってくる答えは毎回違う。コードであれば、何らかのランダム化の機能を入れているか、深刻なバグが発生しているのでない限り、2回実行すれば、2回ともまったく同じ結果が返ってくる。