「Firefox」興亡史:一時代を築いたブラウザーの歴史と衰退

今回は「「Firefox」興亡史:一時代を築いたブラウザーの歴史と衰退」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 1998年にウェブブラウザー「Netscape」のソースコードがオープンソースとして公開されたのは、絶望的な状況を打開するための一手だった。

 Netscapeと米司法省は、Microsoftの「Windows」と「Internet Explorer(IE)」が独占禁止法に違反していると訴えた裁判では勝利したが、Netscapeは結局救われなかった。かつては最も人気のあるブラウザーであったNetscapeの運命は尽きた。同社の初期の従業員だったJamie Zawinski氏は当時、コードの公開に関して、「瀕死のプロジェクトに『オープンソース』という魔法の粉をかけたところで、魔法のようにうまくいくようなことはない」と語っている。

 それでもNetscapeのコードが公開されたことは事実であり、Mozilla Projectは、そのソースコードを元に、インターネットのさまざまなアプリケーションに利用できる汎用クライアントを作った。また2002年には、そのクライアントが純粋なウェブブラウザーである「Firefox」に生まれ変わった。この年には、インターネットユーザーの90%以上がIEを使用していた。

 しかし、Firefoxはその状況から順調にシェアを拡大していく。まずNetscapeの愛用者や、オープンソースや「Linux」のファンがFirefoxに移行し、その後時間が経つにつれて、多くの人に支持されるようになった。2010年の夏には、Firefoxのシェアが最高記録である34.1%に達している。

 しかし、それからは下がる一方だ。

 これは以前からのことだが、どのブラウザーが本当に最もよく使われているウェブブラウザーかを把握するための正確なデータを手に入れるのはかなり難しい。というのも、NetMarketShareやStatcounterなどをはじめ、十分な統計を持っていると主張する企業はいくつもあるのだが、それらの企業はそれぞれ独自の手法を採用しているからだ。

 しかし米政府の「Digital Analytics Program(DAP)」が提供しているデータを使えば、米国政府のウェブサイトへのアクセスに関する直近90日分の生データが得られる。このデータでは世界的なブラウザーの利用状況は分からないが、米国のウェブブラウザーユーザーに関して言えば、最も優れた情報源だと言えるだろう。

 DAPが提供している過去90日間、52億7000万回分のアクセスデータ(本稿執筆時点)によれば、現在最もよく使われているブラウザーは(おそらく読者の予想通り)「Google Chrome」で、シェアは47.9%だった。一方、Firefoxのシェアはわずか2.2%であり、取るに足りない存在になりつつある。

 米国での「iPhone」人気のおかげで36.2%のシェアを持っている「Safari」や、8.3%の「Edge」はどちらもFirefoxを上回っている。一方IEは、2022年には完全にリストから外れてしまった。

 Firefoxの衰退はなにも新しい話ではない。2021年のシェアは2.7%で、2022年にはさらに2.6%に低下していた。筆者がDAPの統計を追い始めた2015年には、Firefoxが11%の市場シェアを持っていたが、2016年にはすでに8.2%にまで縮小している(もっとも、2018年には9%と若干持ち直した)。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
CISO/CSO設置率は約7割、サプライチェーン攻撃経験は約4割–トレンドマイクロ調査
IT関連
2022-07-07 13:28
Google、BIツールのLooker Studioのグラフからプレゼンテーション用スライドを自動的に生成する「Gemini in Looker」の新機能プレビュー公開
BI
2024-07-25 13:58
Google フォトの新規約、きょうから 容量超過2年でコンテンツ自動削除の対象に 前日にバックアップ“駆け込み勢”も
クラウドユーザー
2021-06-02 03:43
マイクロソフト、プロンプトエンジニアリングツールなどを含むAIアプリケーションの統合開発環境「Azure AI Studio」発表。Build 2023
Microsoft
2023-05-25 22:00
専門団体も設立–生成AIの企業実装を考える
IT関連
2024-02-07 00:48
生徒の習熟度に合わせ難易度をリアルタイム調整するAI学習システム「Monoxer」をクラーク記念国際高等学校が正式採択
EdTech
2021-06-24 20:32
商船三井、ESG情報開示支援クラウドを活用–サステナビリティー経営を強化
IT関連
2024-05-03 08:02
Alphabet傘下の気球ネット企業Loon、解散
企業・業界動向
2021-01-23 03:01
経産省が示すデジタル変革への本気度とは?
IT関連
2021-03-11 09:21
国内通信サービス、5G通信や在宅勤務の拡大などにより成長–IDC Japan
IT関連
2022-06-09 01:23
ZoomやTeamsでホスト(主催者)でなくてもリモート会議を録画できるソフト、会議専用機をソースネクストが発表
ソフトウェア
2021-06-16 22:16
宇宙ごみ回収に日本のベンチャー企業が相次ぎ名乗り 宇宙の環境問題を技術で解決
IT関連
2021-03-17 08:28
テレワークで「つながり弱い同僚」との会話は激減、しかしそれが不安をもたらす──NTT調査 :Innovative Tech(1/3 ページ)
トップニュース
2021-08-21 21:40
クラウドインフラ市場、AWSのシェアトップは変わらず。アリババ、Tencent、Baiduら中国勢が高い成長を見せる。2021年第1四半期、Synergy Research Group
AWS
2021-05-10 14:30