競合は米国企業–富士通が研究開発リソースを投じる、5つの技術領域

今回は「競合は米国企業–富士通が研究開発リソースを投じる、5つの技術領域」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 富士通は「研究開発リソースを集中している5つの技術領域」に関する研究戦略説明会を開催した。

 全体的な戦略について説明した執行役員 SEVP CTO、CPO 兼 システムプラットフォームBG Co-HeadのVivek Mahajan(ヴィヴェック・マハジャン)氏は「当社の戦略は『Fujitsu Uvance』を通じてお客さまに新しいソリューションを提供し、DXの最大のパートナーになるというもの」と説明した。

 顧客に提供するソリューションについては「ソリューションの元となる技術には、自社技術もあれば他社の技術もある。具体的にはSAPやServiceNow、SalesforceやMicrosoft、Amazonなどと戦略的なパートナーシップを締結しており、こうしたパートナーの技術をわれわれのソリューションの中に組み込んでいく。さらに、当社が自社で開発した技術、自社のIPは当然ながらわれわれがお客さまに提供する価値の一つになり、われわれのソリューションの基になっていくものでもある」と語った。

 Fujitu Uvanceは2021年10月に「サステナブルな世界の実現を目指す新事業ブランド」として発表された。Mahajan氏は同社の研究開発の取り組みをUvanceで提供されるソリューションを実現するための活動と位置付け、その戦略を明確にした。

 次いで同氏は「Uvanceを支える5 Key technologies」として「Computing」「Network」「AI」「Data & Security」「Converging Technologies」の5つの技術領域に研究開発リソースを集中している理由について「この5つの技術は、われわれ富士通が確実にグローバルでナンバー1かナンバー2になれる分野として選定したもので、開発した技術をお客さまに提供し、お客さまとIPを一緒に作った上でwin-winの関係を作っていく」と語った(図1)。

 続いて、執行役員 EVP 富士通研究所長の岡本青史氏が詳細を説明した。同氏は「5 Key Technologiesをけん引する研究戦略として「最先端技術の公開」「共創研究の加速」「海外拠点の強化」の3つの取り組みによって「研究開発と技術の事業化をスピードアップする」とした(図2)。

 まず、最先端技術の公開に関しては「それぞれの研究領域でプラットフォームを作ってそれをグローバルに公開する」という戦略となる。狙いは「最先端技術を研究開発するだけではなく、それを速く市場に公開し、市場からのフィードバックで技術を洗練させていく」ことだ。具体例としては、富士通独自のAIコアエンジンを含む「Fujitsu Kozuchi – Fujitsu AI Platform」、「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」、超伝導型量子コンピューターと世界最大級の量子シミュレーターを連携させた「Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platform」などの取り組みが挙げられた。

 2つ目の共創環境の加速では、OSSコミュニティー(Linux Foundationで技術の品質向上やユースケース開拓を推進)やグローバルのスタートアップ企業との連携(尖った技術を持つ企業と未踏の分野に挑む)、国内外の大学に同社の研究員が常駐/長期滞在してさまざまな分野の教員/学生と連携を深める「富士通スモールリサーチラボ」の取り組みなどが紹介された。最後の海外拠点の強化では、ヨーロッパ、米国、インドの研究拠点で250%増となっており、かつ増員された人材の54%が博士号取得者ということで、人数だけではなく質的な強化も行っているという。

 最後に、各技術領域における取り組みの詳細が紹介された。紹介を担当したのは、人工知能研究所 所長の園田俊浩氏(AI)、データ&セキュリティ研究所長の今井悟史氏(Data & Security)、フェロー(コンバージングテクノロジー研究担当) 兼 コンバージングテクノロジー研究所長の増本大器氏(Converging Technologies)、コンピューティング研究所長の中島耕太氏(Computing)、フェロー(量子研究担当) 兼 量子研究所長の佐藤信太郎氏(Quantum Computing)、先端技術開発本部長の新庄直樹氏(Processor)。

 AIの研究開発戦略では「激変するビジネス環境に迅速に対応するAIによって人の意志決定を安心・安全に支援」するとされ、同社の差別化要素としては「さまざまな強いAI技術保有 AI特許保有数 日本No.1」「多様な要望や変化に対応 6000件以上のAI導入実績」「各国の規制を考慮した独自のAIトラスト技術」が挙げられた。

 データ&セキュリティでは「『繋がる』と『守る』を両立する技術でエコシステム型の新たな社会システムを創出」がテーマとして掲げられ、差別化要素として「トラスト/ブロックチェーン技術と活用ノウハウ」「OSS Hyperledger Cactiの活動をけん引」「複数カメラを連携した人物トラッキング技術」が挙げられた。

 なお、この分野では「偽情報を見破る新技術 ~Trustable Internet~」のデモ展示も行われていた。「『リアルなフェイクニュース』『嘘っぽい真実』が飛び交う、昨今のインターネットにおいて、ネット上の投稿や記事の情報に確からしさ(根拠)を付与」するというもので、デモでは真偽を判断したい投稿や記事などを指定すると、リアルタイムにさまざまな根拠を検索して複合的に真偽判断を行うという流れが紹介された。

 具体的には記事の投稿者の地理情報などを参照したり、他の信頼性の高い記事情報との矛盾をチェックしたりするといった手法で真偽分析を行うという。真偽の根拠となる情報もインターネット上で検索されるため、「その根拠が本当に信じられるのか」という点も問題になるが、この点に関してはあらかじめ信頼できる情報源をホワイトリストのような形で保持しておくなどの工夫で精度を上げていけるだろうとのことだった。

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